親の遺産の中に、評価が難しい「未公開株」や「貸付金」が含まれています。こうした財産はどう評価され、相続税額に影響するのでしょうか?

親の遺産の中に、評価が難しい「未公開株」や「貸付金」が含まれています。こうした財産はどう評価され、相続税額に影響するのでしょうか?

2月7日(土) 0:00

相続税は、遺産の金額そのものだけでなく、財産ごとの評価方法で大きく変わります。現金や上場株のように値段が分かりやすいものと違い、未公開株や貸付金は、評価のルールを知らないと「思ったより高い評価になった」「申告の手間が大きい」といった事態になりがちです。 ここでは、相続税の評価の考え方と、税額に影響しやすいポイント、実務での注意点を分かりやすくまとめます。

未公開株は会社の規模と株主の立場で評価方法が変わる

未公開株は、上場株のように市場価格がないため、相続税では国税庁の定める方式で評価します。ポイントは二つあります。ひとつは、その株を相続する人が経営に影響を持つ同族株主等に当たるかどうかです。もうひとつは、その会社が大会社か中会社か小会社かといった区分です。
 
同族株主等が取得する場合は、原則的評価方式で評価します。会社の区分により、大会社は類似業種比準方式、小会社は純資産価額方式、中会社は両者を組み合わせる考え方になります。類似業種比準方式は、似た業種の上場企業の株価を基に、配当、利益、純資産などの要素で比べて株価を作る方法です。
 
純資産価額方式は、会社の資産と負債を相続税評価に置き直したうえで差し引きし、会社の価値を積み上げて株価を計算します。会社に土地や株式などが多い場合は、純資産価額が大きくなり、株価が上がることがあります。未公開株は「売れないから安い」と思い込みやすいですが、評価は会社の中身に強く左右されます。
 
一方で、同族株主等以外が取得する株は、特例的な方式として配当還元方式で評価するのが原則です。配当還元方式は、受け取れる配当を一定の利率で割り戻して価値を決めるため、原則的評価方式より低く出やすいことがあります。誰が相続するかで評価が変わり得るので、遺産分割を考える段階から税理士に確認する価値があります。
 

貸付金は元本と経過利息が基本で、回収可能性が重要になる

貸付金は、原則として元本に加えて、相続開始時点までに発生している利息も含めて評価します。利息は、まだ受け取っていなくても、相続開始時点で受け取る権利がある部分が評価に入るイメージです。
 
親が家族や親族の会社にお金を貸していた場合、帳簿上は貸付金として残っていることがよくあります。この場合、返済の約束が曖昧でも、基本は「返してもらえる金額」として評価されやすい点に注意が必要です。
 
ただし、実際に回収できない事情が明確であれば、評価は下がる可能性があります。たとえば、借り手が破産手続きや更生手続きに入っているなど、客観的に回収不能が見込まれる部分は、元本に算入しない扱いが示されています。
 
回収できないと言い切るには根拠が必要なので、借用書、返済予定表、入出金の履歴、督促の記録、相手先の決算書など、状況を説明できる資料をそろえることが大切です。資料が乏しいと、税務調査で「本当は回収できるのでは」と疑われ、評価の見直しにつながることもあります。
 

評価が税額に与える影響と、家族ができる現実的な対応

未公開株も貸付金も、評価が高く出るほど課税価格が増え、相続税の負担が重くなります。特に未公開株は、会社の資産内容によって評価が大きく変動します。
 
たとえば会社が土地を持っている場合、相続税評価に置き直した結果、帳簿より高い価値になることもあります。貸付金も、実態は返済が止まっていても、証拠が弱いと額面通りに評価されやすいです。
 
対応として現実的なのは、まず全体像を早めに把握することです。未公開株は、会社の決算書、株主名簿、定款、直近の配当状況などが必要になります。貸付金は、借用書や残高が分かる資料が鍵です。相続が始まってから探すと間に合わないことがあるので、可能なら生前からファイルを作っておくと安心です。
 
また、遺産分割の前に「誰が未公開株を持つと評価がどうなるか」「貸付金は実態として回収できるのか」を確認すると、納税資金の見通しが立てやすくなります。
 
未公開株の評価は計算が複雑になりやすく、専門家の関与が実務上ほぼ前提になります。費用はかかりますが、過大評価のまま申告して余計な税負担を抱えるより、納得できる評価で進める方が結果的に安心につながります。
 

まとめ分かりにくい財産ほど早めの資料集めが税負担の差になる

未公開株は会社の規模や株主の立場で評価方法が変わり、会社の資産内容によって思った以上の評価になることがあります。貸付金は元本と相続開始時点までの利息が基本で、回収不能を主張するには客観的な根拠が欠かせません。
 
どちらも、資料がそろうほど評価の説明がしやすくなり、申告の不安が減ります。相続が起きたら、まずは必要書類を集め、早めに専門家へつなげることで、無理のない納税計画を立てやすくなります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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