2月5日(木) 22:30
結論からいうと、原則として相続税の対象です。相続税は「口座の名義」ではなく、誰がそのお金を実質的に所有していたかで判断されるからです。被相続人(この場合は父)が資金を出し、管理・処分していた預金は、たとえ名義が子であっても「父の財産」とみなされ、相続財産に含まれます。
口座の名義は相続人でも、管理していた人が被相続人のような預金は税務上「名義預金」といわれます。名義預金かどうかを判断する際、税務署は、以下の点などから総合的に判断します。
(1)資金の出どころ(父の収入・資産か)
(2)通帳・印鑑・キャッシュカードの管理者
(3)預金の使途(父が自由に使っていたか)
(4)名義人(子)が存在を認識していたか
例えば「子名義だが通帳は父が保管し、入出金も父が管理していた」場合、名義預金と判断される可能性が極めて高いといえるでしょう。
「生前に子へ贈与していたのでは?」と考える方もいますが、この場合でも注意しなければならない点があります。贈与として認められるには、贈与の意思表示と受贈の認識が必要になります。
また、年間110万円を超える贈与の場合は贈与税の申告が必要で、申告がなければ「贈与が成立していない」と判断される可能性があります。贈与契約書がなく、贈与税申告もされていない場合、相続時に名義預金として相続財産に組み戻されるケースが多いので要注意です。
では、この300万円に必ず相続税がかかるのでしょうか。ここで知っておきたいのが、「相続税の基礎控除」です。基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。仮に法定相続人が2人なら基礎控除は4200万円となり、相続財産の合計がこれ以下であれば相続税の申告も納税も不要ということです。
つまり、たとえ名義預金として相続財産に含まれても、全体で基礎控除内なら税負担は発生しないという結論になります。
名義預金は税務調査で指摘されやすく、追徴課税の原因にもなり得ます。日ごろの対策としては、以下の対策を講じておくことが有効です。
(1)贈与するなら贈与契約書を作成する
(2)年間110万円以内でも記録を残しておく
(3)贈与後は通帳・管理を子に完全に移す
相続税の判断基準は「誰の名義か」ではなく、「誰の財産か」です。被相続人が管理・拠出していた預金は、相続人名義であっても相続財産となる可能性があります。
相続税に関しては、基礎控除内であれば税金がかからないケースも少なくありません。生前贈与についても、「記録をつけておく」ことが重要になります。相続で損をしないためにも、「名義」と「実態」の違いを理解しておきましょう。
国税庁 相続税のあらまし
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
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