友人から「父から生前贈与を受けた」と聞きました。“普通の相続”と生前贈与ってどう違うのですか?

友人から「父から生前贈与を受けた」と聞きました。“普通の相続”と生前贈与ってどう違うのですか?

2月5日(木) 22:40

友人から「父から生前贈与を受けた」と聞き、「相続と何が違うの? どちらが得なの?」と疑問に思った方もいるでしょう。 相続と生前贈与は、財産を引き継ぐという点では同じですが、税金のかかり方、手続きのタイミング、注意点が大きく異なります。仕組みを正しく理解していないと、「節税のつもりが、逆に税負担が増えた」ということも起こりかねません。 そこで本記事では、普通の相続と生前贈与の違いを分かりやすく整理していきます。

「相続」と「生前贈与」の基本的な違い

相続とは、人が亡くなった時点で、その人が持っていた財産を配偶者や子などの相続人が引き継ぐことをいいます。これに対して、生前贈与は、親が生きている間に、子などへ財産を無償で渡す行為です。最大の違いは「いつ財産が移転するか」です。
 
相続は死亡時、生前贈与は生前に財産が移ります。この違いによって、適用される税金が相続税か贈与税かに分かれ、税率や控除の仕組みも大きく異なります。
 

相続税と贈与税では課税の仕組みがどう違う?

最大の違いは、相続税には贈与税と比べて、比較的大きな基礎控除があるという点です。具体的には、「3000万円+600万円×法定相続人の数」までであれば、相続税はかからず申告も不要です。
 
一方、贈与税の基礎控除は年間110万円と少額で、これを超えると原則として贈与税の申告・納税が必要になります。
 
さらに贈与税は累進課税で、金額によっては相続税よりも税率が高くなるケースもあります。そのため、「生前贈与=必ず節税」とはかぎらないということを知っておきましょう。
 

生前贈与が有効になるケース

生前贈与が有効なのは、長期間にわたり計画的に行う場合です。例えば、毎年110万円以内で贈与を続ければ、贈与税をかけずに財産を移転できます。また、教育資金贈与や結婚・子育て資金贈与など、一定の条件を満たすことで非課税枠が設けられている制度もあります。
 
ただし、贈与の事実を明確にするため、贈与契約書の作成や通帳管理の移転など、「あげた vs. もらった」が客観的に分かる形を残すことが重要です。
 

「相続時になかったこと」になる贈与のケース

生前贈与で特に注意したいのが、相続開始前一定期間の贈与が相続財産に加算される制度です(「生前贈与加算」といいます)。これにより、「贈与したはずだったのに、相続時に合算されて相続税の対象になる」ことがあります。
 
また、通帳や印鑑を親が管理し続けていると、税務上は名義預金と判断され、贈与自体が否認されるケースもあります。形式だけでなく、実態が伴っているかが判断の基準になります。
 

どちらを選ぶべきかはケース・バイ・ケース

相続と生前贈与のどちらが有利かは、財産額、家族構成、相続人の人数、将来の生活資金などによって異なります。相続税の基礎控除内に収まる家庭では、無理に生前贈与をする必要はない場合もあるでしょう。
 
一方、財産額が大きい場合は、早めに生前贈与を活用することで税負担を抑えられる可能性があります。大切なのは、数字と制度を確認したうえで選択することです。
 

まとめ

相続と生前贈与の違いを、図表1にまとめました。
 
図表1相続と生前贈与の比較のまとめ

比較項目 相続 生前贈与
財産移転のタイミング 被相続人が亡くなったとき 親など生存中
課税制度 相続税 贈与税
基礎控除 3000万円+600 万円×法定相続人 年間110万円
税率のかかり方 比較的緩やか(相続人ごとに配分) 累進課税
申告期限 相続開始から10ヶ月以内 贈与した年の翌年2月1日~3月15日
節税効果 基礎控除内なら課税されない 長期・計画的に実施するのであれば効果あり
注意 名義預金も対象 名義預金・生前贈与
効果が認められるケース 財産額が基礎控除内 財産額が大きく、早めに対策したい場合

(筆者作成)
 
図表1を参考に、相続方法を検討しましょう。
 

出典

財務省 もっと知りたい税のこと 4. 「相続税」と「贈与税」を知ろう
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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