2月6日(金) 3:00
同じだけ部屋を暖めたとしても、光熱費は「暖房の効率」と「エネルギー単価」で決まります。エアコン暖房はヒートポンプという仕組みで、外の空気から熱をくみ上げて室内に運びます。そのため、使った電気の何倍もの熱を得られるのが特徴です。効率はCOPという指標で表され、ざっくり言うとCOPが3なら、電気1に対して熱3くらいが目安です。
一方、石油ファンヒーターは灯油を燃やして熱を作ります。燃やした分だけ暖かくなるので体感はわかりやすいのですが、燃料代がそのまま効いてきます。
つまり、灯油が安く、外がとても寒くてエアコンの効率が落ちる環境だと、石油ファンヒーターが有利になることもあります。逆に、断熱がそこそこ効いていて、外気温が極端に低くない日は、エアコンが安くなりやすいです。
まず電気代です。家電の電気代計算でよく使われる目安単価は、家電公取協が示す31円/kWh(税込)です(契約によって実単価は変わります)。計算は「消費電力(kW)×使用時間(h)×電気単価(円/kWh)」です。
石油ファンヒーターは、点火時は大きく、燃焼中は比較的小さい、という特徴があります。例えばダイニチの機種例では、点火時370W、燃焼時は小火力62W・大火力129Wといった具合です。
この場合、燃焼中を中心に見れば、1日8時間×30日で電気代は数百円〜千円弱くらいのレンジになりやすい、とイメージできます(使い方や機種で変動します)。
次に灯油代です。計算は「燃料消費量(L/h)×使用時間(h)×灯油単価(円/L)」です。灯油単価は地域や時期で動くので、資源エネルギー庁の「石油製品価格調査」で近い水準を確認しておくと安心です。
ここまでを合算して、石油ファンヒーターの1時間あたりコストは「(電気:kW×31円)+(灯油:L/h×灯油円/L)」で出せます。家計簿アプリのメモにこの式だけ入れておくと、買った後も管理がラクになります。
目安感をつかむ小ネタとして、灯油1Lの発熱量は低位発熱量で約36.7MJ(おおよそ電力量に直すと約10kWh分)です。
もちろん機器のロスはありますが、「灯油が1Lいくらか」と「エアコンの実効COPがどれくらいか」で、どちらが安くなりやすいかの方向性は読めます。
エアコンが安くなりやすい最大の理由は、先ほどのヒートポンプの“増える熱”です。電気をそのまま熱に変える機器と比べて、少ない電力で部屋を暖められます。
ただし、外が冷え込むほど効率は落ちやすく、霜取り運転などで一時的に暖房が弱まることもあります。寒冷地や、古い家で隙間風が多い場合は「設定温度まで上がりにくい」ことが起きやすく、結果として運転時間が伸びて電気代が増える、という形で不利になることがあります。
石油ファンヒーターが気持ちよく感じるのは、立ち上がりが速く、体感温度が上がりやすいからです。たとえば朝の30分だけリビングを一気に暖めたい、脱衣所付近を短時間だけ暖めたい、在宅ワーク中に足元の冷えを避けたい、といった「短時間・スポット」では満足度が高いです。
ただし注意点もあります。石油ファンヒーターは室内の空気を使って燃焼し、燃焼ガスも室内に出る“開放型”です。換気をしないと酸素不足や不完全燃焼で一酸化炭素が発生するおそれがあるため、定期的な換気が重要です。
さらに、燃焼により二酸化窒素などで室内空気が汚れやすいので、換気を前提に運用するのが安全面でも快適面でも大切です。
つまり「ファンヒーターは換気込みで使う」ものなので、換気で冷気が入り、その分だけ燃料が増える可能性も織り込んでおくと、費用の見積もりが現実に近づきます。
電気代と灯油代を合算すると、石油ファンヒーターが必ずしもエアコンより高い、とは言い切れません。ただ、一般にエアコンはヒートポンプで少ない電力から多くの熱を得られるため、外気温が極端に低くない環境では安くなりやすい傾向があります。
一方で、短時間で一気に暖めたい、スポットで使いたい、寒冷地でエアコンが伸びにくい、といった場面では石油ファンヒーターが頼りになります。購入で迷ったら、まず「よくいる部屋で、何時間、どれくらい換気しながら使うか」を決めて、この記事の式で1時間あたりコストを出してみてください。数字で納得できると、暖房選びがぐっとラクになります。
公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会よくある質問Q&A
株式会社ENECHANGE石油ファンヒーターの電気代・消費電力はどれくらい?エアコン・ストーブとも徹底比較!
資源エネルギー庁石油製品価格調査 調査の結果
経済産業省産業ヒートポンプの概要と普及拡大について(資料PDF)
岩谷産業株式会社各種燃料比較
製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全教育DVDハンドブック(燃焼器具の事故)
東京都生活文化スポーツ局石油ファンヒーター等の使用時は効率的な換気が不可欠です
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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