2月6日(金) 4:20
医療費控除は、1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得控除を受けられる制度です。対象となるのは、本人だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も含まれます。
国税庁によると、控除額の計算では、実際に支払った医療費の合計額から保険金などで補てんされる金額を差し引き、さらに次のいずれかの金額を引いた残額が対象になります。
・10万円
・その年の総所得金額等が200万円未満の場合、総所得金額等の5%の金額
つまり、「必ず10万円を超えなければならない」というわけではなく、総所得金額等が低い場合には基準額が10万円より低くなる点が重要です。
今回のケースは年収300万円です。給与所得者の場合、年収300万円から給与所得控除98万円を差し引いた給与所得は202万円となり、これが医療費控除判定時の「総所得金額等」の基礎となります。
この場合、「総所得金額等」は200万円以上となっているため、医療費控除の基準額は10万円が適用されます。結果として、医療費が9万円では基準額未満で対象外となる可能性が高いでしょう。
医療費控除の対象となるのは、治療を目的とした医療費です。診察代や処方された医薬品代のほか、通院のための公共交通機関の利用費なども含まれます。
一方、健康増進や予防目的の費用は、原則として対象外です。例えば、健康診断や人間ドックの費用、美容目的の施術費などは、医療費控除の対象になりません。医療費を集計する際には、「治療目的かどうか」を基準に整理する必要があります。
医療費控除とは別に、「セルフメディケーション税制」という制度もあります。国税庁によれば、これは、健康の保持増進や疾病予防として一定の取り組みを行っている人が、対象医薬品を購入した場合に利用できる所得控除です。
対象となる医薬品の年間購入額が1万2000円を超えた場合、その超過分(上限8万8000円)が控除対象になります。医療機関での医療費が少なくても、市販薬の購入額が多い人にとっては、有効な制度といえるでしょう。
注意点として、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。どちらか一方を選択する必要があります。
そのため、今回のように医療費が9万円で医療費控除の対象になるかどうか微妙な場合でも、市販薬の購入額が多ければ、セルフメディケーション税制を選択したほうが有利になるケースも考えられます。どちらが有利かは、実際の支出額をもとに計算して判断することが重要です。
医療費控除もセルフメディケーション税制も、原則として確定申告が必要です。医療費控除の場合は、「医療費控除の明細書」を作成し、医療費の領収書は自宅で5年間保管します。
セルフメディケーション税制の場合も、「セルフメディケーション税制の明細書」を確定申告書に添付したうえで、対象医薬品を購入した際の領収書や一定の取り組みを行ったことを証明する書類を、同様に5年間保管する必要があります。
近年はe-Taxやマイナポータル連携を利用することで、計算や入力の負担を軽減することも可能です。
医療費が9万円だった場合でも、必ずしも「医療費控除は受けられない」とは限りません。その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%の金額が控除額計算時の基準額となり、医療費控除の対象となる可能性があります。
今回のケースでは年収300万円ということなので、給与所得控除を差し引いた給与所得は200万円以上となり、基準額は10万円が適用されます。年間医療費が9万円の場合は、医療費控除の適用は難しい可能性が高いでしょう。
医療費控除が難しい場合でも、セルフメディケーション税制という別の選択肢があります。制度の仕組みを理解したうえで、どちらが自分にとって有利かを確認し、適切に手続きを行うことが大切といえるでしょう。
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 セルフメディケーション税制とは
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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昨年の医療費が11万円でした。「医療費控除」でいくら還付されますか?大した額ではないなら手間もかかるし確定申告したくないのですが。