2月5日(木) 5:10
アドバイザーナビ株式会社が実施した「退職金に関する調査」によると、退職金が2000万円未満の人は全体の約73%を占めています。
退職金は「数千万円が当たり前」という印象を持たれがちですが、実際には2000万円に届かないケースが多数派であることが分かります。今回のケースにおける1800万円は、こうした調査結果から見ても、比較的一般的な水準といえるでしょう。
同調査では、退職金の使い道についても明らかにされています。それによると、退職金を何らかの形で運用に回している人は全体の約47%とされており、約半数が預貯金以外の方法を取り入れていることが分かります。
ただし、全額を運用に回す人ばかりではありません。「一部を運用している」と回答した人の多くは、金融資産全体のうち3割を資産運用に充てているという結果も示されています。一定額は預貯金などとして確保しつつ、残りを運用に回すという考え方が主流であることがうかがえます。
まず、退職金1800万円をすべて定期預金に預けた場合を考えます。ここでは、条件として年0.9%の金利で10年間預けたケースを想定します。なお、シミュレーションにあたって、税金は考慮しないものとします。
1800万円を年0.9%で10年間定期預金に預けた場合、10年後の金額はおよそ1960万円前後となる計算です。
増加額は約160万円です。基本的に元本割れの心配がなく、確実性を重視する点では安心感がありますが、運用による大きな増加を期待できる水準ではありません。
次に、退職金1800万円をすべて資産運用に回した場合を考えます。ここでは、想定利回りを年3%としてシミュレーションします。なお、シミュレーションにあたって、同様に税金は考慮しないものとします。
年3%で10年間運用(複利)した場合、10年後の金額はおよそ2420万円前後となります。
定期預金と比べると、増加額は約620万円となり、10年で460万円程度の差が生じる計算です。長期で見ると、利回りの違いが資産額に大きく影響することが分かります。
もっとも、「運用に回したほうが必ず有利」と断定できるわけではありません。想定利回り3%は長期的には現実的な水準とされることもありますが、元本割れのリスクがある点は避けて通れません。特に、退職後は安定した給与収入がなくなるケースが多いため、運用中の値動きに対する心理的な負担が大きくなる可能性があります。
一方、定期預金は利回りが低いものの、元本が確保される安心感があります。生活費や近い将来に使う予定の資金まで運用に回してしまうと、想定外の局面で資金を取り崩す必要が生じることも考えられます。
今回参照した調査結果が示すとおり、退職金を運用に回している人の多くは、全額ではなく一部のみを運用しています。金融資産の3割程度を運用に回し、残りを預貯金などとして確保する考え方は、リスクと安定性のバランスを取る方法といえます。
例えば、1800万円のうち1200万円を定期預金、600万円を年3%で運用した場合、10年後の総額は、両者を合わせて2100万円前後となります。すべて定期預金にした場合より増え、かつ、すべて運用に回す場合よりもリスクを抑えた形です。
今回参照した調査結果によれば、退職金を運用に回している人は約半数に達しますが、その多くは「すべてを運用」にしているわけではありません。退職金1800万円を10年間保有した場合、定期預金(年0.9%)と運用(年3%)では、最終的な金額に数百万円の差が生じる可能性があります。
一方で、退職後の資金は生活を支える重要な原資でもあります。どれだけ増やせるかだけでなく、どの程度のリスクなら許容できるかを踏まえて考えることが欠かせません。数字だけで判断するのではなく、資金の使い道や生活設計に応じて、預貯金と運用をどう組み合わせるかを検討することが重要といえるでしょう。
アドバイザーナビ株式会社 退職金に関する調査(PR TIMES)
資産運用ナビ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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