2月5日(木) 4:20
息子の指摘通り、児童手当の総支給額は非常に大きな金額になります。 2024年10月の制度拡充により、支給期間が「高校生年代(18歳到達後の最初の3月31日)」まで延長されました。
もし、生まれた時から高校卒業まで、一度も使わずに全額貯めていた場合、誕生月によって多少の差はありますが、総額は次のようになります(※第1子・第2子の場合の目安)。
・0歳~3歳未満(月1万5000円×36ヶ月):54万円
・3歳~18歳(月1万円×180ヶ月):180万円
・合計:234万円
私立大学の初年度納付金の平均は文系で約120万円、理系で約160万円です。児童手当さえ残っていれば、入学費用と当面の授業料を十分に賄える計算になります。 息子が「あるはずだよね」と怒るのも、数字の上では無理もないかもしれません。
しかし、現実には多くの家庭で児童手当が「生活費」として消えています。 特に年収500万円前後の世帯では、近年の物価高騰や電気代の値上がりにより、家計の余力はほとんどない世帯が多くなっています。
・給与振込口座と同じ口座に児童手当が入る
・引き落とし日にお金が足りず、児童手当で補填(ほてん)される
このように、意図的に「使ってやろう」と思ったわけではなくても、日々の食費や塾代、スマホ代の支払いなどに「いつの間にか吸い込まれていった」というのが実情ではないでしょうか。 「子どもにご飯を食べさせるために使った」のですから、決して無駄遣いではありません。親として「仕方なかった」と自分を責めすぎる必要はないでしょう。
ただし、「教育費として残っていない」という厳しい現実だけは、直視しなければなりません。
まだ子どもが小さい家庭であれば、「児童手当専用の口座を作り、キャッシュカードは封印する」といった対策が有効ですが、もう大学入学は目前です。「使ってしまったものは戻らない」と腹をくくり、資金調達に動く必要があります。
もっとも有力な選択肢です。 奨学金(日本学生支援機構)の多くは「入学後」に振り込まれるため、最初にかかる入学金や前期授業料には間に合いません。一方、「国の教育ローン」は合格発表後すぐに申し込め、入学前の納付金に充てることができます。固定金利で安心感があり、子ども1人につき350万円まで借入可能です。
労働組合や生協の会員であれば、ろうきんの教育ローンが低金利で利用できる場合があります。奨学金が振り込まれるまでの「つなぎ融資」として活用できる商品もあります。
親だけで抱え込まず、息子に家計の状況を正直に話すことも大切です。「生活が苦しくて、児童手当は食費や塾代に消えてしまった。申し訳ないが、奨学金を借りて協力してほしい」と頭を下げましょう。
日本学生支援機構の奨学金(貸与型)は、学生本人が借金をして、卒業後に本人が返す制度です。息子にとっては厳しい現実かもしれませんが、進学を諦めないための現実的な手段です。
児童手当は、使わずに貯めておけば大学費用の強力な柱となります。しかし、家計の厳しさから生活費に消えてしまうことは、決して珍しいことではありません。
息子に責められてつらいとうなだれるより、まずは「国の教育ローン」などで当面の費用を工面し、入学手続きを済ませることが最優先です。その上で、在学中の費用をどう分担するか、親子で腹を割って話し合いましょう。
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
文部科学省 令和7年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
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