【男子バレー】日本代表と大阪ブルテオンの守備職人、山本智大の横顔「見返してやると思ったときが一番の転機」

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【男子バレー】日本代表と大阪ブルテオンの守備職人、山本智大の横顔「見返してやると思ったときが一番の転機」

2月5日(木) 9:45

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SVリーグ 主要選手インタビュー

山本智大/大阪ブルテオン 前編(全3回)

【「悩んだし、もがきました」】「もっとできるんじゃないか?」

中学3年でリベロへの転向を決めた山本智大は、野心に満ちていた。

心の底からバレーボールを楽しんでいると話す山本智大photo by Sunao Noto

心の底からバレーボールを楽しんでいると話す山本智大photo by Sunao Noto





「僕が小さい頃、日本の男子バレーはラリーがあまり続かなくて。女子バレーのほうがつながっていましたね。だから男子を見ていて、"このボールは拾えるんじゃないか"と、密かに思っていました」

山本少年の野望は、おごりでも無謀でも過信でもなかった。実際、彼はリベロとしてディグ(スパイクレシーブ)、レセプション(サーブレシーブ)で日本男子バレーに革命を起こした。それまで守備が堅牢とは言えなかった代表で、新たなプレースタイル、リベロ像を確立したのだ。

「ヤマモトには打つな!」

それが世界で合言葉になった。

控えめに言って、山本は日本バレーの構造を変えた。今や「拾う」「つなぐ」「攻め直し」の粘り強さは代表の真骨頂となっている。世界に対抗できるバレーの礎だ。

「悩んだし、もがきましたね。でもリベロとしてワールドカップ、ネーションズリーグ、2回のオリンピックを経験し、"山本はこういうプレーをするんだ"と見せられるようになって。日本のスタイルとして、"ブロック&ディフェンス"やレセプションのよさによって、世界に少しは衝撃を与えられたかなと」

そう自負を語る山本の守備者の肖像とは──。

現在31歳のリベロが見せるディグは、ほとんど神がかっている。"絶対に決まった"と思えた瞬間、奇跡的にボールを上げる。たとえばパリ五輪の準々決勝、イタリア戦では、相手の強烈なバックアタックをどう上げたのか、スロー再生で見ても理屈がわからなかった。驚くべきことに、直後のプッシュも地面すれすれ右手一本で見事に上げ、得点をアシストしたのだ。

そんな神業の境地に、どうやってたどり着いたのか。

山本はリベロになる前から、何度も何度もレシーブを繰り返してきた。膝と膝の間でボールを受ける型を作り上げ、その基本をどんどん応用していった。サーブやスパイクを受けるたび、自分の型を適応させた。リベロの進化と言うべきか。

試合でコテンパンにされた経験はないという。勝負のなかで、アジャストすることもできたようだ。ただその過程で、変身を遂げる節目もあった。

【ここ一本を止めて流れを掴む】「2019年に初めて代表に呼んでもらったんですが、(フィリップ・)ブラン監督にめっちゃイラついていました」

山本は笑みを浮かべて言う。

「周りのリベロはベテランで、自分は初招集だったんですけど、『(山本は)3番手だけど、大会には連れて行く』という監督の言い方に腹が立って。でもそれでスイッチが入りましたね。"見返してやる"と思ったときが、一番の転機だったと思います。ワールドカップで自分のプレーを示して、そこからは徐々に東京五輪、そしてパリ五輪と」

その反骨心が、山本の感覚を極限まで研ぎ澄ませてきたのかもしれない。

〈潮目を変える〉

それを可能にするのが、至高の守備者だと言われる。山本はまさに、勝機を作り出せるリベロだ。

「すべてのボールを取れるとは思っていません。でもバレーは流れのスポーツなので、"ここで一本上げたら"、"ここで一本返せたら"という勘が大事で、それについては自分もよいのかなと。それはパリ五輪でも、先日のウルフドッグス名古屋とのリーグ戦でも宮浦(健人)のスパイクを上げたときとか。ここ一本を取ることで、流れを変えられるポジションなので」

バレーボールだけでなく、たいていのボールゲームの守備者は受け身で対応せざるを得ない。強力なアタッカーの能動的な攻撃に対応し、それを重ねていくことで技術が磨かれていく。言わばミスは大前提で、失敗を糧にできるかどうか――そちらのほうに、守備者の本分はあるのだろう。

強力な相手に失敗させられる。その点、世界バレーで山本が対峙したトルコのラマザン・マンディラーチのサーブは実に強力だった。

「過去で一番、エースを取られたんじゃないですかね。僕だけじゃなく、(髙橋)藍までエースを取られていて。僕らふたりとも、あそこまでやられることはなかなかないので、びっくりしました。

(SVリーグ初代MVPの)ニミル(・アブデルアジズ)選手もすごいんですが、彼はトスが高いんでリズムが取れる。でもマンディラーチ選手はトスが低いうえ、無回転の速いフローターみたいなのが飛んできて。それも絶対に入ってくると感じるくらいミスもない。次も相手にいたら嫌ですね」

【「個人的には日頃からあれを受けたい」】山本はそう言いながらも、次の対戦を楽しみにするような明るい声を出した。

「(対策は)難しいけど、まずはエースを取られないこと。自分たちのコートでキープしながら、リバウンドを取ってうまくやることが大事だと思います。

オリンピックであれをやられたら、たしかにやばかったと思いましたけど、日本はきっと(対応)できるはずなので。個人的には、日頃からあれを受けて練習できたら一番いいですけど。自分のスキルアップにつながると思いました」

結局のところ、山本は心の底からバレーを楽しんでいる。反骨心以上に、その好奇心と上達の欲求こそ、リベロ山本の正体なのだろうか。

(つづく)

中編を読む >>> 世界クラブ選手権のベストリベロ、山本智大の矜持「コンスタントにプレーできるのが自分の強み」

山本智大(やまもと・ともひろ)

1994年11月5日生まれ、北海道江別市出身。小学1年生のときにバレーボールを始め、酪農学園大附とわの森三愛高、日本体育大を経て、2017年にFC東京(現・東京グレートベアーズ)に加入。2018年に日本製鉄堺ブレイザーズへ移籍するとレギュラーに定着し、2019年に日本代表に初選出された。東京、パリと2度の五輪のほか、世界選手権に5回、ネーションズリーグに5回、ワールドカップに2回出場。日本随一のリベロの座を確立している。2024-25シーズンのSVリーグのベストリベロ、2025年世界クラブ選手権のベストリベロにも選出されている。

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