2月3日(火) 5:00
2026年1月15日、人気イラストレーターの岸田メルさんがX(旧Twitter)に投稿した内容が注目を集めました。店舗用にAmazonでマッキーをまとめ買いしたところ、書き心地に違和感を覚え、よく確認すると商品名が「マッキー」ではなく「マツキニ」だったというのです。
話題となったのは、その巧妙さでした。
パッケージの文字は一見「マッキー」に見えるフォントで書かれており、箱を90度傾けてよく見ないと「マツキニ」と気づかないほどだったといいます。
岸田さんは1ヶ月ほど使用して初めて気づいたとのことで、多くの人が「自分もだまされる」と反応しました。
この投稿を受け、マッキーを製造するゼブラ株式会社は翌1月16日、公式サイトや公式Xアカウントで「模倣品が流通している」と注意喚起を行いました。同社によると、模倣品は「インク漏れ」や「書き味の著しい劣化」などの問題が生じる可能性があるとしています。
このような紛らわしい商品名の使用は、法的にどう扱われるのでしょうか。商標法では、登録商標と同一または類似の商標を、同一または類似の商品に使用することは商標権侵害です。
商標の類似性は「外観(見た目)」「称呼(呼び方)」「観念(意味)」の3つの要素から判断され、今回のように外観を似せた商標は、類似商標と判断され、商標権侵害に該当する可能性があります。
また、不正競争防止法では「周知表示混同惹起行為」として、広く認識されている他人の商品等表示と類似の表示を使用し、混同を生じさせる行為も禁止の対象です。
特許庁によると、違反した場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、法人には3億円以下の罰金が科される可能性があります。
商標登録には費用と手間がかかります。特許庁によると、1区分で商標登録を行う場合、出願料1万2000円、登録料3万2900円、合計4万4900円の印紙代が必要です。弁理士に依頼する場合は、さらに手数料が加算されます。
それでも企業が商標登録を行うのは、ブランドを守るためです。興味深い事例を挙げると、ライオン株式会社は、自社ロゴ「LION」だけでなく「NO17」という商標も登録しています。
これは、「LION」を180度反転させると「NO17」と読めることから、悪用を防ぐための防衛的な出願といわれています。
商標登録をしておくことで、類似商標の使用に対して差止請求や損害賠償請求を行いやすくなり、より確実にブランドを守ることができるのです。
なお、商標権の存続期間は登録日から10年間で、更新登録の申請により何度でも延長できます。一度取得すれば半永久的にブランドを保護できるため、長期的な視点で見れば決して高い投資ではないでしょう。
また、商標登録は自社製品の保護だけでなく、消費者を模倣品の被害から守ることにもつながります。
今回の「マツキニ」のように、有名商品に誤認されるような紛らわしいフォントや名前を使った模倣品は、商標法や不正競争防止法に違反する可能性があります。
ネット通販では実物を手に取って確認できないため、模倣品を見抜くことが難しい場合もあるでしょう。消費者は購入する際、販売元の確認や価格が適正かをチェックすることが重要です。企業にとっても、商標登録でブランドを守る意義が改めて浮き彫りになった事例といえるでしょう。
経済産業省 特許庁 産業財産権関係料金一覧
経済産業省 特許庁 不正競争防止法違反被害への救済
経済産業省 特許庁 商標制度の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
食べる前のソフトクリームを落としてしまった息子。交換を依頼すると「新しいものを買ってください」と言われました。わざとではないのに、理不尽すぎませんか?