2月3日(火) 5:10
まずは、老後の支出の目安を確認しましょう。総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の平均支出(消費支出と非消費支出の合計)は、およそ29万円となっています。
一方で、実収入はおよそ25万円となっており、毎月およそ4万円もの赤字が発生している計算となります。赤字額を年換算すると、なんと48万円もの金額です。
では、現在の貯蓄が2500万円あるということで、この「年48万円」の赤字をどれくらいの間カバーし続けられるか考えてみると、単純計算で、およそ52年もの間カバーし続けられる計算になります。
単純に、現在の貯蓄額と平均的な生活費から考えていくと、2500万円あることで、老後はある程度余裕であると考えてもよいかもしれません。
とはいえ、2500万円の貯金で不安になるというその考えも、あながち間違いではありません。なぜかといえば、人生には何があるか分からないからです。
今後起こるかどうかも分からないハイパーインフレや未曽有の不景気などを過度に考えても仕方ないですし、余裕を感じる人と不安に感じる人とでは、この点なかなか分かり合えないこともままあります。
そこで、かなり現実的な問題で考えてみましょう。例えば居住費の問題です。先に挙げた統計において、居住費は1ヶ月の消費支出およそ26万円のうち、6.4%とかなり少ない割合になっています。年換算で約20万円です。
これは老後、賃貸物件に住むことを予定している場合、一般的には実現困難な金額と考えられます。仮に持ち家であったとしても、リフォームや修繕などで、それよりも多くの金額の支出が生じることもあり得ない話ではありません。
ほかにも、保健医療にかかる支出は年換算で22万円ほどとされていますが、けがや病気、入院などが続けば、年に25万円、30万円と支出が増えることもあるでしょう。
特に老後はけがや病気をしやすい状態が続いたり、新たな持病が発病したり、既存の持病が悪化したりして、医療費が想像以上にかかることも珍しい話ではありません。
では、結局どうすればよいのかという話をしましょう。それこそ夫婦でこれから話し合って決めればよい、と言いたいところですが、ひとつの案を示すのであれば、2500万円を基準に物価の上昇を加味した金額分だけ毎年貯金を増やすというのもよいでしょう。
例えば、ある年に2%物価が上昇したのであれば、その翌年は貯金を50万円増やすといったような具合です。
こうすることで、夫の余裕からも妻の不安からも必要となる最低限の行動で備えることができます。そのうえで、これから先、常に夫婦でどうするべきか考え話し合い、ゆっくり結論を出していくのです。
また、定年後も夫婦の一方あるいは双方で短時間でも働き、収入を絶やさないようにするなど、貯金以外の面から生活を安定させる方法を考えていくのもよいでしょう。
貯蓄が2500万円あれば、老後の生活は必ずしも余裕とは言い切れませんが、過度に不安になる必要もない状態であると考えられます。
現状、最も必要なのは、今ある貯蓄を守りつつ、今後について夫婦で話し合い、将来に備えていくことです。余裕と考えるだけの理由も、不安と考えるだけの理由も十分あります。
まずはもう一度冷静にお互い歩み寄って、相手の意見を聞くところから始めてみてください。そうすることで、時間はかかるかもしれませんが、夫婦の方針というものが自然と見えてくるでしょう。
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
執筆者 : 柘植輝
行政書士
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