1955年に国策による特殊会社として発足。現在も国が株式の約38%を保有する。北海道、秋田、山形、新潟で油・ガス田を操業する
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
今週の研究対象
中国の対日輸出管理強化
(石油資源開発)
高市首相の台湾情勢に関する発言を受けて、中国はレアアースなどの資源を含む対日輸出規制強化に乗り出した。果たして大丈夫なのか?実は資源の確保は、現在は上場中のある国策会社が昔から取り組んでいた!
助手
1月初めに、中国が日本向けの輸出管理強化を決めたって報道がありましたよね。自動車や電子部品の製造に使うレアアースが対象になるって話もあるみたいです。日本企業は大丈夫なんですか?
坂本
現時点では規制対象や運用は固まってないからね。投資先が心配なのはわかるけど、今焦って売買しないほうがいいと思うよ。
助手
日本って資源が乏しいから、今後もこういう国家間の綱引きが増えるんじゃないかと不安で。
坂本
その恐れはあるね。だから日本は昔から資源の確保に国家ぐるみで取り組んできました。その象徴的な存在のひとつが石油資源開発という上場企業です。もともとは国策会社で、国内外で油田・ガス田の権益を押さえてきました。今では石油や天然ガスの探鉱・開発・生産はもちろん、国内総延長800㎞の天然ガスパイプライン網を生かしたガス販売やインフラビジネス、さらには発電事業まで手広く展開してますよ。
助手
へぇー、今は民間の上場企業なんですよね?資源ビジネスって参入障壁が高そうだし、安定的な需要で儲かりそう。投資しようかなぁ。
坂本
参入障壁が高いのは確か。資源の開発には巨額の投資や許認可が必要だし、海外の権益なら政治や治安のリスクもあるからね。ただ、需要が途切れないから安定的に儲かるっていうのはちょっと違う。
助手
そうなんですか?石油も天然ガスも、日常生活から産業用途まで必須じゃないですか。
坂本
実は資源価格って変動が激しいんですよ。産業向けの需要が景気にかなり左右されるからね。2020年にはコロナで原油の需要が激減し、一方で保管施設は飽和状態になったことで原油先物価格がなんとマイナスになったこともある。
助手
ゼロですらなくマイナス!?
坂本
さすがに史上初の出来事だったけど。ただ、ほかにもカーボンニュートラルの風潮は化石燃料にとって逆風だし、安心はできない。
助手
なら投資先としては微妙かぁ。
坂本
もちろん同社も対策を進めてるよ。足元は資源関連で稼ぎながらCCSや系統用蓄電所などの新領域に2200億円規模で投資して、資源価格の変動や市場規模の縮小に強い体質をつくるのが成長戦略なんです。
助手
CCSってなんですか?
坂本
工場などで出るCO?を集めて、地中深くに貯留する脱炭素の取り組みです。資源会社は地中が得意だから、その強みを脱炭素に横展開しているとみるとわかりやすい。今はまだ実証実験レベルだけどね。
助手
いろんな脱炭素の方法があるんですね。蓄電所っていうのは?
坂本
いわば電気のタンクです。再生可能エネルギーは発電量が天気でブレるでしょ?だから電気が余る時間帯にためて、足りない時間帯に放出して電気の需給をならす施設として蓄電所が注目されているんですよ。発電事業を通じて得た電力卸売りのノウハウを土台に、蓄電所を使った需給調整市場などにも参加して収益機会を広げる狙いです。すでに昨年8月に千葉で系統用蓄電所を稼働させ、北海道・苫小牧でも大型設備を建設しています。
助手
なるほど、時代に即して事業の柱を増やしてるわけですね。
坂本
そういうこと。短期で業績が急上昇するような銘柄ではないけど、参入障壁の高さを背景とした稼ぐ力の強さや新領域への投資意欲は魅力的。時間を分散しながら長期でコツコツ投資するとよさそうです。
今週の実験結果
参入障壁が高い業界で、積極的に新しい取り組みをしているのは好印象です!
構成/西田哲郎撮影/榊 智朗
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