2月2日(月) 2:20
令和8年度税制改正大綱において、「防衛力強化に係る財源確保のための税制措置」が盛り込まれました。概要は以下のとおりです。
・所得税額に対し、税率1パーセントを新たな付加税として課す
・課税期間は令和9年1月からとする
・足下で家計負担が増加しないよう、復興特別所得税の税率を1パーセント引き下げる
・上記と同時に、復興事業の着実な実施に影響を与えないよう、復興財源の総額を確実に確保する観点から、課税期間を令和29年までの10年間延長する
ここでいう「1パーセント」は、課税所得にかかる所得税率が1ポイント上がるという意味ではありません。すでに算出された所得税額に対して1%を上乗せする付加税であり、「所得税が1%上がる」と受け取るのとは負担の出方が大きく異なります。
現状、所得税については「超過累進課税」が採用されています。こちらは課税所得が上がるほどに税率および控除額が高くなる仕組みです。
例えば課税所得が500万円の場合、国税庁の「所得税の速算表」における区分は「330万円から694万9000円まで」に該当します。このケースでは税率20パーセント・控除額42万7500円となり、所得税の納税額は次のように求められます。
(500万円×0.2)-42万7500円=57万2500円
仮に税率1パーセントの防衛特別所得税が導入された場合、以下の金額が上乗せして課税されることになります。なお、ここでは税額控除はないものとして計算しました。
57万2500円×0.01=5725円
このように、所得税額の1パーセント分がプラスの負担となるようです。
一方、令和8年1月時点では2.1%の復興特別所得税が賦課されており、課税所得500万円の方は所得税にプラスして以下の付加税を負担しています。
57万2500円×0.021=1万2022円(1円未満切り捨て)
前記のように、税率1パーセントの防衛特別所得税を導入する代わりに復興特別所得税が1パーセント引き下げられる予定のため、このような短期的な負担増は発生しない可能性が高い見通しです。一方で、復興特別所得税の課税期間は10年間の延長が決まっており、長期的に見れば負担増となるおそれは残ります。
令和7年度税制改正においては、「防衛特別法人税」が創設されています。これは税額控除を適用しないで計算した法人税額から年500万円を控除した金額に、4%の税率を乗じた金額とされており、令和8年度(4月1日以降の事業年度)から適用される予定です。
また、消費者に影響範囲の広い税金としては「たばこ税」も財源として検討されています。激変緩和などの観点から、令和8年4月1日より段階的な課税標準の見直しが予定されています。
見直し後は加熱式たばこに関しても紙巻きたばこ基準の税額になる見込みであり、愛煙家にとっては、前記の1パーセントの所得税率アップよりもこちらの影響が大きい可能性もあるでしょう。
防衛特別所得税(仮称)として、所得税額に対して1%を付加する措置が盛り込まれましたが、復興特別所得税の税率引き下げとあわせて、短期的に家計負担が急増しないよう配慮されています。一方、財源確保のために各税金の引き上げも随時検討されています。家計と照らし合わせながら、最新の政治動向に注目していきましょう。
財務省 令和8年度税制改正の大綱の概要
国税庁 No.2260所得税の税率
国税庁 防衛特別法人税が創設されました
国税庁 加熱式たばこに係る課税方式の見直しについて(令和8年4月1日~)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
若い人がたばこを吸わなくなってきているワケ