2月1日(日) 23:10
まず押さえたいのは、節税の入口が違うことです。
iDeCoは積み立てた掛け金が所得控除の対象になります。所得控除とは、課税対象となる所得を減らせる仕組みです。結果として所得税と住民税が軽くなります。さらに運用中の利益も非課税で、受け取るときも一定の控除が使えます。
一方のNISAは、口座の中で出た売却益や配当などの運用益が非課税になります。通常は利益に約20パーセントの税金がかかるため、そこがゼロになるのがメリットです。ただしNISAは、始めた時点で税金が下がるわけではありません。利益が出たときに初めて差が出ます。
つまり、今の税金を軽くしたいならiDeCoが効きやすく、将来の運用益に税金を払いたくないならNISAが効きやすい、という整理になります。
iDeCoの減税額はシンプルで、基本は次の考え方です。 年間の掛金合計に、所得税率と住民税率を足した分だけ税負担が軽くなります。住民税は多くの人が一律10パーセントです。所得税は所得に応じて段階的に上がります。なので同じ掛金でも、所得税率が高い人ほど減税額は大きくなります。
たとえば、毎月1万円を積み立てると年間12万円です。所得税が10パーセントの層なら、所得税10パーセントと住民税10パーセントの合計20パーセントで計算し、年間で2万4000円ほど税金が軽くなります。これは実際にiDeCo公式サイトでも例として示されています。
毎月2万3000円で年27万6000円積み立てる人が、所得税10パーセントだとすると、税金の軽減は年5万5200円ほどになります。ここまで来ると、質問にある手取りが数万円変わることは十分ありえます。
所得税が20パーセントの層なら効果はさらに大きくなります。毎月2万円で年24万円積み立てると、所得税20パーセントと住民税10パーセントの合計30パーセントで年7万2000円ほど軽くなります。毎月1万円でも年3万6000円なので、こちらも数万円です。
ただしここで注意したいのは、手取りが増えるというより、税金が減って同時に積立資金へ回っているという点です。毎月の給与明細で即座に増えるケースもありますが、会社員は年末調整、状況によっては確定申告で戻る形になることもあります。体感としては、毎月の手取りが少し増えるか、年末にまとまって戻るかの違いで、年間トータルの効果は同じです。
もう一つ大事なのは、iDeCoは原則60歳まで引き出せない点です。節税額だけを見ると魅力的でも、生活防衛資金が薄い状態で掛金を増やすと、急な出費に対応しにくくなります。数万円の減税を狙う場合ほど、無理のない掛金設定が重要です。
NISAの節税は、利益にかかる税金がゼロになる効果です。通常、株や投資信託の配当や売却益には約20.315%の税金がかかります。NISA口座で得た利益はこれが非課税になります。計算は、出た利益に約20.315%をかけるだけです。
たとえば1年間で利益が5万円出たなら、本来かかる税金は約1万156円で、NISAならこの分が浮きます。利益が20万円なら約4万630円、利益が50万円なら約10万1575円です。利益が増えるほど、節税額も増えます。
ただし、ここがiDeCoと大きく違うところです。NISAは利益が出なければ節税額はゼロです。相場が下がって評価額がマイナスの年は、税金が減ったという実感はありません。それでも、長期で見て利益が積み上がっていけば、将来の売却時や分配金のたびに税金を取られないのは大きな差になります。
手取りが数万円変わるかどうかは、利益の大きさ次第です。たとえば年20万円ほど利益が出る年があれば、NISAだけで税負担が約4万円変わる計算になります。逆に、始めた直後の数か月で手取りが増える、というタイプの節税ではありません。将来の利益に対する税金を減らす制度だと考えるとイメージしやすいです。
結論として、手取りが数万円変わることはあります。iDeCoは掛け金と税率次第で、年2万円台から7万円台以上の税負担軽減が現実的に起こります。NISAは利益が出たときに、利益の約2割に当たる税金がゼロになるため、利益が年20万円規模になれば数万円の差になります。
ただし、iDeCoはお金を途中で引き出しにくい制度です。まずは生活費の数ヶ月分など、すぐ使えるお金を確保したうえで、無理のない掛金で始めるのが安全です。
NISAは引き出しやすい一方、節税額は利益が出て初めて見えるものなので、短期の手取り増を期待しすぎないことが大切です。目的に合わせて、いまの税金を軽くしたいならiDeCo、将来の運用益の税金を抑えたいならNISA、という使い分けをすると納得感のある資産づくりにつながります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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