2月1日(日) 3:30
パソコンのように複数年使うものは、原則として購入年に全額を経費にせず、数年に分けて経費にします。これが減価償却です。ただし、一定の条件を満たすと購入年にまとめて経費にできる特例もあります。
ここで大事なのは、同じ金額を最終的に経費にするなら、(税率が毎年同じだと仮定すると)長い目で見た税金の総額は大きく変わりにくいことです。違いが出やすいのは「今年の税金がどれくらい下がるか」。一括で経費にできれば、その年の利益が下がり、所得税・住民税が軽くなるため、資金繰りが楽になります。
まず、パソコンは税務上「減価償却資産」に当たり、耐用年数は一般的なパソコン(サーバー用を除く)で4年とされています。つまり原則は4年に分けて経費化します。
一方で、金額が小さい資産には簡便な扱いがあります。ポイントは次の3つです。
パソコンは20万円なので今回は当てはまりませんが、取得価額が10万円未満のものは購入して使い始めた年に全額を必要経費にできます。
10万円以上20万円未満の資産は、一定の要件のもとで、3年間にわたって毎年3分の1ずつ経費にする「一括償却資産」という選択もあります。
一定の要件を満たす青色申告者には、10万円以上30万円未満の減価償却資産を、購入年にまとめて必要経費にできる特例があります(合計300万円まで、適用期限あり)。
フリーランス1年目でも、青色申告の要件を満たしていれば、「一括で落とす」が現実的な選択肢になります。逆に白色申告だと、基本は4年の減価償却です。
なお、仕事とプライベートの両方で使う場合は、仕事で使う割合(たとえば70%など)だけが経費になります。ここをざっくりにすると、後で説明がしにくくなるので、使用実態が分かるようにしておくと安心です。
「耐用年数4年」と聞くと、「4年で壊れる前提?」と感じるかもしれません。でも、これは壊れるまでの寿命ではなく、税金計算上、経費にしてよい配分の目安です。
実際には、同じパソコンを6年、7年と使う人も珍しくありませんよね。税務の世界では、技術の進歩が速い機器は価値が目減りしやすいと考えられ、パソコンは短めの年数が設定されています。
つまり、耐用年数は「モノの寿命」ではなく「税務上のルール」。このズレを知っておくと、減価償却への抵抗感が薄れるでしょう。
では、数字で見てみましょう。ここでは分かりやすく、仕事利用100%、取得価額20万円、耐用年数4年、定額法(毎年同額で経費化)とします。
・4年で減価償却:毎年5万円ずつ(20万円÷4年)
・一括で経費化:購入年に20万円
差が出るのは主に購入年です。購入年の経費の差は「20万円-5万円=15万円」。この15万円ぶん、購入年の利益が余計に下がるイメージです。
税率は人によって違いますが、目安として「所得税10%+住民税10%=合計20%」の人なら、15万円×20%=3万円
購入年に一括で落とせたほうが、購入年の税金が約3万円軽くなる計算です。
もう少し利益が出ていて「所得税20%+住民税10%=合計30%」の人なら、15万円×30%=4万5000円
購入年の税金差は約4万5000円になります。
ここで重要なのは、4年トータルで見ると、経費にできる合計はどちらも20万円だという点です。税率が毎年まったく同じなら、最終的な税金の総額は近づきます。ただし現実には、売上が増えて税率が上がる年もあれば、逆に赤字の年もあります。
たとえば初年度が赤字なら、購入年に一括で落としてもその年の税金を減らす効果は小さくなりがちです。そういうときは、翌年以降に利益が出る見込みと合わせて考えると判断しやすくなります。
パソコン20万円は、原則は耐用年数4年で減価償却です。一方で、青色申告の要件を満たすなら「30万円未満を購入年に全額経費」にできる特例があり、購入年の税金を数万円単位で軽くできる可能性があります。
判断のコツはシンプルで、「今年しっかり利益が出ていて、税金を軽くして手元資金を厚くしたいか」「青色申告の条件を満たしているか」。この2点から逆算すると、自分に合う処理が見えてきます。早めに方針を決めて、領収書や使用割合の記録も整えておけば、確定申告がぐっと楽になります。
国税庁No.2100 減価償却のあらまし
国税庁主な減価償却資産の耐用年数表
東京都主税局個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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