ネイマールがセレソン復帰に向けてあの手この手 ブラジル全土が見守る「シナリオ」の結末は?

利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

ネイマールがセレソン復帰に向けてあの手この手 ブラジル全土が見守る「シナリオ」の結末は?

1月30日(金) 9:40

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ネイマール「最後の戦い」(後)

ブラジル代表の指揮官カルロ・アンチェロッティは、2026年ワールドカップ出場に執念を燃やすネイマールをこれまで一度も招集したことがない。現時点でそのワールドカップのメンバー候補リストに入っていないのは確かだろう。

だが今後は、各方面からアンチェロッティに「ネイマールをワールドカップに連れて行くように」という大きな圧力がかかってくるだろう。このことは彼自身もよくわかっているはずだ。

スポンサーはネイマールをワールドカップで見たい。世界のサポーターも同じだ。FIFAは2026年大会が、クリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシ、そしてネイマールという一世を風靡した3人の最後のワールドカップになるべきだと思っている。ネイマールのいないワールドカップは、商業的にも象徴的にも物足りない。彼がいればより多くの関心を集め、新たなニュースと物語が生まれるはずだ――。

そしてネイマール自身はそんな周囲の思惑を熟知している。だから自分の目標――「最後のワールドカップ」に出場するためなら、その圧力を存分に利用しようと考えている。

カタールワールドカップでは準々決勝で敗退したブラジル代表のネイマール photo by JMPA

カタールワールドカップでは準々決勝で敗退したブラジル代表のネイマール photo by JMPA



去年の11月、ネイマールはブラジルで開かれたあるコンサートのステージに上がり、マイクを手に、観客の前でアンチェロッティに公然とメッセージを送った。

「招集されるためには、できることも、できないこともすべてやる。アメリカでセレソンと一緒にいたい。アンチェロッティが手を差し伸べてくれることを願っている」

会場は拍手に包まれた。

もちろん、代表復帰は容易なことではない。競争はかつてないほど激しい。アンチェロッティには選択肢が山ほどある。現在のブラジル代表には、高いレベルのアタッカーと中盤の選手が溢れている。そしてその全員がワールドカップ行きを狙っている。

【父親がサントスを再構築】ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ(ともにレアル・マドリード)、エンドリッキ(リヨン)、ガブリエウ・マルティネッリ(アーセナル)、サヴィーニョ(マンチェスター・シティ)、ラフィーニャ(バルセロナ)、ジョアン・ペドロ、エステヴァン(ともにチェルシー)、マテウス・クーニャ(マンチェスター・ユナイテッド)、リシャルリソン(トッテナム)、ヴィトール・ロッキ(パルメイラス)、ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル)、ルイス・エンヒキ(ゼニト)、カイオ・ジョルジ(クルゼイロ)、イゴール・ジェズス(ノッティンガム・フォレスト)、ライアン(ボーンマス)......。

ネイマールが担えるポジションにはざっと挙げただけでも16人の名前が並ぶ。ワールドカップの最終登録は26人(うちGK3人)。枠は少なく、レベルは極めて高い。

ネイマールが代表入りをする唯一の方法は、6月までにサントスで活躍を見せることしかない。

そのサントスでは、チーム自体がネイマールを中心に再構築されようとしている。ネイマールの父親は現在、クラブのSAF(営利企業)化を助ける中心人物として、チームの戦略的な決定にも直接的な影響力を持つようになっている。

新シーズンに向けた補強も、まさに息子を助けるために進んでいる。その最初の補強はインパクトがあった。ガビゴル(ガブリエウ・バルボサ)。フラメンゴでの活躍が記憶に新しく、過去8年のブラジル国内の最多得点者だ。彼もまたキャリアをサントスで始めている。そしてある意味、ネイマールの「家族」でもある。ガビゴルはネイマールの妹の婚約者だ。ネイマールを支え、主役の責任と重圧を分かち合うために選ばれた最高の相棒と言っていいだろう。

【自らを「ペレの後継者」とアピール】ピッチからだけでなく、外堀からもネイマールはアピールを進めている。昨年11月末、彼は「ペレ」のブランドを、1800万ドル(約27億円)で買収した。そして広告のなかで、「王様ペレ」に対して自らを「サントスの王子」と呼んだ。これは単なるビジネスではない。ペレブランドを自分のものにすることで、ネイマールは自分を「ペレの遺産を受け継ぐ者」と位置付けようとしている。つまり、ピッチ上で果たせなかったことを、ピッチ外で成し遂げようとしているのだ。

ネイマールの現在の行動はすべて「ブラジル代表の一員としてワールドカップに行く」という、ただひとつの目標に向かって進んでいる。噂によるとこの冬、ネイマールにはローマやメッシのいるインテル・マイアミからもオファーがあったという。しかしネイマールはそれを断り、ブラジルに残ることを選んだ。アンチェロッティの近くにいて、自宅で家族とバットマン仕様の車やヘリコプターに囲まれ、わがままが通じる古巣で、気心の知れた仲間とともにプレーすることを選んだ。

つまり、本気で目標に向かうことを選んだのだ。

ネイマールは21世紀のブラジル代表最多得点者だ。公式戦128試合で79ゴールを挙げている。それでも、彼は一度もワールドカップ王者になっていない。痛みのない大会、負傷のない大会を、挫折のない大会を、一度も経験していない。

ネイマールは今、到達不可能と思える目標に挑もうとしている。それが、彼が最後に描く映画のストーリーだ。

残る疑問はただひとつ。ネイマールの身体は、彼自身が描いたシナリオについてくることができるのか。

その行く末をブラジル全土が見守っている。ドラマチックな結末が待っているのか、それともスーパーヒーローは敗れるのか。予測不可能な「ネイマール」という映画の観客は、結局、最後まで席から立ち上がることができないでいる。



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