私(アイ)は夫のマサヒロと、2人の息子ハヤトとダイチの4人家族です。私たちはハヤトが希望するA中学に入れるように、家族総出で必死のサポートを始めたのでした。そんなある日、事件が起こるのです。感情が爆発してしまったハヤトは、ダイチのパズルを壊しながら、家の中のものに当たり散らし始めます。力ずくでハヤトを制止させた夫に対し「虐待だ」と言い始めたハヤト。そして警察に通報してしまうのでした。その後訪れた父の日、ハヤトは「父の日のプレゼントを買いに行く」と嘘をついて、夫の財布から1万円を盗み、遊びに行っていたことが発覚してしまうのでした。私はもう、何を信じていいのか分かりませんでした。ただ目の前にいるハヤトが、私の知っているハヤトではないことだけはハッキリしていました。
ハヤトは、早朝に夫の財布から1万を盗み、父の日のプレゼントを買うと言って出かけ、カードショップでカードを買い、余ったお金でクレーンゲームをして遊んでいたのだそう。表情をなくし、淡々と話し続けるハヤトを見つめながら、今までの頑張り屋さんのハヤトが走馬灯のように思い浮かびました。
苦しくなって小さなSOSを私たちに何度も送っていたハヤト。そのハヤトの変化に私たちは気が付かなかった。いや、気付こうとしなかった。私たちはいつも、ハヤト自身をテストの点数だけで評価していたのです。私の目から涙が溢れていることにハヤトが気付きました。私はハヤトを抱きしめて言いました。
お金を盗んで嘘ついて遊びに行ったことを淡々と話すハヤトを見て、私は「なぜそんなことをしたのか」と問いただすことよりも、どこで間違えてこんなことになったのか……そればかり考えます。
ハヤトはいい子でした。私たちもハヤトが元気で笑顔で暮らしてくれれば、何も望まない……そう思っていたはずなのに……。いつしか私たちはハヤトに「期待」という名の毒薬を与えていたのです。
そしてハヤトはその期待に応えようと必死になり、いつしか「自分」というものを見失っていたのでした。
ハヤトが悪いんじゃない。受験が悪いのでもない。ハヤトを上手にサポートしてあげられなかった私たちが未熟だったのでした。
久しぶりに思いっきりハヤトを抱きしめて泣いた父の日に、私たちは中学受験から撤退することに決めたのでした。
原案・ママスタ脚本・渡辺多絵作画・よしはな編集・石井弥沙
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