1月29日(木) 20:10
「お正月くらい、家族みんなで集まるもの」
そう言われるたびに、心の中でため息をついてしまう。そんな高齢者は決して少なくありません。年金と長年の貯金を切り崩しながら生活する中で、お正月の集まりは年々負担の大きい行事になってきています。
孫の成長を間近で見られることは確かにうれしいものです。しかし同時に、お年玉の準備、食事の用意、場合によっては親戚分のもてなしまで求められ、出費も気力も削られていきます。
株式会社モロが行った「インフレとお年玉に関する実態調査」によると、約6割がお年玉を負担に感じると回答しています。昨今の物価高の影響もあり、お正月の出費を痛手と感じている高齢者は多いようです。
現役時代は、多少の出費も「働けば何とかなる」と思えたでしょう。しかし年金生活ではそうはいきません。収入はほぼ固定され、物価は上がり続け、医療費や介護費用の心配も現実味を帯びてきます。
「今年はいくらお年玉を包めばいいのか」「前年より少ないと気まずいのでは」と考え始めると、楽しみよりも不安が勝ってしまいます。それでも「祖父母としての務めだから」「いまさら断れない」と、無理を重ねてしまう人も多いのです。
また、年金生活では「予測できない出費」への不安も常につきまといます。急な病気や家電の故障、住まいの修繕など、いつ何が起こるかわかりません。
そうした将来への備えを考えるほど、「お正月のために貯金を減らしていいのだろうか」という迷いが生まれます。気持ちよく渡したいはずのお年玉が、家計を圧迫する存在に変わってしまうこと自体、多くの高齢者にとって大きな心の負担なのです。
お正月の集まりを「もうやめたい」と思うことは、決して身勝手ではありません。それは自分の生活や心を守ろうとする、ごく自然な感情です。
無理を続ければ、日常生活に支障が出たり、気持ちが沈んだりすることもあります。家族行事は本来、安心して参加できるものであるべきです。負担や苦しさを感じながら続ける必要はありません。
また、「これくらい我慢すべきだ」「周囲はもっと大変なのだから」と自分の気持ちを否定し続けることは、心の疲労を蓄積させます。表には出さなくても、行事が近づくたびに憂うつになったり、体調を崩したりする人もいます。そうしたサインは、休息や見直しが必要だという心からのメッセージなのです。
とはいえ、急に集まりを断つことに抵抗を感じる人もいるでしょう。その場合は「自宅での集まりをやめて外食にする」「お年玉は金額を決めて無理をしない」「毎年ではなく数年に一度にする」など、形を変える方法もあります。
また、「年金生活で余裕がない」「体力的に準備が大変」と正直に伝えることも大切です。多くの家族は、事情を知れば理解してくれるものです。
これまで家族のために尽くしてきたからこそ、今があります。これからは、自分の心と生活を守る選択をしてもいいのです。「やめたい」と感じる気持ちは、長年頑張ってきた証。
罪悪感を抱え込まず、自分にとって無理のない距離感を見つけることが、穏やかな老後につながるのではないでしょうか。
株式会社モロインフレとお年玉に関する実態調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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