1月29日(木) 4:20
年収の壁と勤務時間の関係について、パート勤務の女性を対象に実施された調査があります。
株式会社野村総合研究所(NRI)の実施したアンケート調査によると、有配偶パート女性のうち56.7%が年収の壁を意識し、勤務時間および日数を「調整している」と回答しています。
また、アンケートに回答した全有配偶者の半分以上は、令和7年に行われた年収の壁引き上げについて「知っている」と回答しています。
この点から、年収の壁が103万円から123万円に引き上げられてもなお、就業調整をしている共働き世帯は一定数存在すると推測できます。
株式会社野村総合研究所の同調査では、「就業調整をしている」かつ「年収の壁の引き上げを知っている」という回答者を対象に、「実際に収入を増やしたか、または今後増やしたいか」についてのアンケートを行っています。
これによると、学生では32%が「増やした」と回答しており、「今後増やしたい」との回答と合計すると、77.6%に収入を増やす意欲がみられます。
一方、同質問に対する有配偶パート女性の回答は以下のようになっています。
収入を増やした:11.8%
増やしたいと思わない・分からない:46.9%
「増やさない」と回答した理由について、学生では「親の扶養に入っておくため」が50.0%を占めています。対して有配偶パート女性では「社会保険料の負担を防ぐため」が65.9%でトップ、次いで「配偶者の配偶者手当・扶養手当をキープしたいから」が37.1%という結果でした。
有配偶パート女性の間では、社会保険への加入要件である「106万円の壁」を意識した「働き控え」を行うケースもあるようです。
「令和8年度税制改正大綱」においては、「6%」という消費者物価指数の上昇率を踏まえ、物価調整措置の一環として以下の内容が盛り込まれました。
基礎控除の本則:58万円から62万円に
給与所得控除の最低保障額:65万円から69万円に
所得課税に関する年収の壁は、令和7年12月時点で以下のとおりです。
基礎控除(年収200万円以下・特例適用)95万円+給与所得控除65万円=160万円
「基礎控除の本則」は控除の土台であり、これが給与所得控除の最低保障額とともに4万円ずつ引き上げられるため、課税の最低限度額は「168万円の壁」となりました。
さらに、中低所得者層への配慮として、「基礎控除の特例」および「給与所得控除の最低保障額」を5万円ずつ引き上げることが決定されました。
現行の「160万円」に「4万円+4万円+5万円+5万円」を加算するため、令和8・9年の時限措置として「178万円の壁」が適用される予定です。こちらは令和8年度分の年末調整から適用となります。
一方、社会保険の壁(106万円・130万円・週20時間の壁130万円の壁)は、引き続き存在しています。そのため、税制の課税最低限を178万円に引き上げただけでは、「年収の壁」問題を解決したとは言えません。
年収の壁は、所得税に関するもの、社会保険に関するものという複数のパターンが存在します。今後、議論される具体的な制度設計に注目し、自身の家庭や勤務の状況を整理し、最適な働き方を探していきましょう。
株式会社野村総合研究所 「年収の壁」に関するアンケート調査
自由民主党 日本維新の会 令和8年度税制改正大綱
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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