1月28日(水) 4:30
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、50代単身世帯の平均貯蓄額は999万円、中央値は120万円です。一方、2人以上世帯では平均1908万円、中央値700万円となっています。
今回のケースにおける貯金額「1500万円」は単身平均を上回り、2人以上世帯の中央値も大きく超える好水準です。中央値が低いのは全体のばらつきが大きく、一部の富裕層が平均を押し上げているためと思われます。
金融広報中央委員会 知るぽるとの「金融リテラシー調査(2022年)」によると、50代で定年退職後の生活費を意識している人でも、約70%以上が老後資金を十分確保できていないのが実態です。
このため、1500万円保有者は上位層ですが、定年後の支出増を考慮すると追加準備が推奨されます。
金融庁金融審議会の過去報告書で話題となった「老後2000万円問題」は、月約5万円の赤字(公的年金と生活費差)を30年で試算したものです。
総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における月平均の消費支出は約26万円で、非消費支出も含めると月28万円を超えます。
一方、厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の平均受給額は、国民年金で月約6万円、国民年金含む厚生年金で月15万円程度とされています。
インフレや医療費の増加などによって、想定以上に生活費がかかる可能性もあり、老後資金として1500万円~2000万円あれば安心とは一概にいえません。ただし、パート収入や投資などで年金以外の収入がある場合は家計に余裕が生まれることもあり、老後の資金状況には個人差が大きいといえるでしょう。
まず考えられる不安は、物価高の進行などにより将来の年金受給額が目減りする可能性や、受給開始年齢の引き上げが懸念されることでしょう。さらに、生活費に加えて医療費や介護費として年に数十万円がかかるケースもあり、公的保険だけではまかなえないおそれがあります。
また、長寿化により想定していた資金計画が崩れ、老後資金に過度な期待をすると資金不足に陥るリスクもあります。
パートや投資など年金以外の収入がある場合でも、健康上の理由で働けなくなったり、投資で損失を出したりする可能性は否定できません。現在の収入が将来も変わらず得られると確信するのは危険です。
50代で貯金1500万円あれば統計的には上位水準ですが、定年後の長寿化や物価・医療費の上昇などを考えると、不安を感じるのは自然です。「安心できる金額」は一律に決まるものではなく、個々の年金額、生活費、働き方、資産の使い方などによって大きく変わります。
2000万円はひとつの目安にすぎず、重要なのは不足リスクを想定したうえで、支出の見直しや収入の補完策を含めた現実的な老後設計を持つことだといえるでしょう。
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2025年 二人以上世帯 各種分類別データ(令和7年) 4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)、単身世帯 各種分類別データ(令和7年) 4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融広報中央委員会 知るぽると 金融リテラシー調査(2022年) 3.調査結果 3-3. セグメント別分析(続き)(20ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
厚生労働省年金局 令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II. 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)、III. 国民年金 (2)給付状況 表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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