連載:アナログ時代のクルマたち|Vol. 69マツダ737C

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連載:アナログ時代のクルマたち|Vol. 69マツダ737C

1月23日(金) 18:11

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日本車によるル・マン24時間挑戦は、1970年に始まった。この年、ベルギーのチームがシェブロンB16に10Aロータリーエンジンを搭載して出場したが、残念ながら4時間でリタイアしている。この年は3台のシェブロンB16がル・マンに出場しているが、残りの2台は、コスワースエンジンとBMWエンジン搭載車であり、こちらは両者ともに完走した。

【画像】1984年のル・マンにエントリーした2台のマツダ737C(写真8点)

1973年にはシグマオートモティブが、マツダオート東京がチューンした12Aロータリーを搭載した、MC73と呼ばれたマシンでル・マンの地を踏んだ。ドライバーは生沢徹/鮒子田寛/パトリック・ダル・ボの3人体制だが、残念ながら12時間でリタイアしている。

翌1974年には、同じくシグマのニューマシンMC74がマツダオート東京チューンのエンジンを搭載して出場。24時間を走り切ったものの、規定周回数不足で完走とはならなかった。マツダが本格的にル・マンを目指すようになったのはこの年からで、1975年からは市販車ベースで参戦し、75年はRX3、79年以降はRX7ベースのマシンで参戦を続けた。そして1983年、初めてマツダはグループCカーによる挑戦を開始した。もっともグループCは当時、C1とC2の2カテゴリーがあり、717Cと名付けられたマシンがエントリーしたのは、下位のC2クラスであった。結果は3台出場し、うち2台が完走。総合12位と18位であった。総合12位の車両はクラス優勝したが、C2にエントリーしていたのはマツダだけで、完走すれば自動的に優勝というおまけがついたわけである。

717のカウルデザインは、ムーンクラフトの由良卓也氏。そのユニークなスタイルは、空力係数、いわゆるCD値を極限まで低めたスムーズなスタイルだったが、独特な姿をしていたことから、「ソラマメ」のニックネームが付けられた。ソラマメはその翌年もル・マンに登場。727Cと呼ばれたエボリューションマシンで、717C同様13Bの2ローターエンジンを搭載していた。カテゴリーは717同様グループC2で、総合15位と20位に入った。実は13Bを搭載したマシンは他に2台登場し、ローラT616のシャシーに搭載されてエントリーしていた。この2台は総合10位と12位に入り、10位のマシンがC2クラス優勝を遂げている。ちなみに10位のローラには、マツダワークスの片山義美が乗っていた。

そして1984年、C2クラス最後の挑戦となったマシンが、737Cであった。このマシンもムーンクラフトの由良卓也氏が手掛けた717のエボリューションモデルで、ホイールベースを伸ばして操縦安定性向上を図ったモデルであったが、結果は芳しくなく、完走は果たしたものの、それぞれ19位と24位と前年を下回る成績であった。

737Cは2台制作されたようで、1984年のル・マンには#85と#86がエントリーされた。85番車はラッキーストライクがメインスポンサー、そして86番車の方はニコンがメインスポンサーであった。ロッソビアンコ博物館に収蔵されていたマシンは86番車の方で、グリーンハウスが黄色く塗られている。一方の85番車の方は、テストの段階では赤とシルバーに塗り分けられていたそうである。ところが、ル・マン直前のイギリスでのテスト中、燃料漏れから火災を起こしてしまった。幸いマシンへのダメージは軽微であったようであるが、修復にはそれなりの時間を要してしまった。したがってカラーリングを元に戻すには僅か3日間では不可能で、このためル・マンに出場した85番車は、白一色のカラーリングとなってしまったのである。

この燃えてしまった85番車は、現在日本に生息しており、レストア作業の末に、2021年のオートモビルカウンシルに出品され、その後も各地のサーキットで元気な姿を見せている。この737Cを最後に、マツダはクラスをIMSA GTPに格上げし、85年にはマシンの名称も757Cとして、3ローターエンジン搭載車で参戦した。90年には4ローターの787が登場するが、決勝はリタイア。そしてロータリーエンジンがル・マンに挑戦できる最後の年の1991年に、改良を加えた787Bが見事総合優勝をもぎ取るのである。

737Cは排気量654ccの2ローターで、実質的には1308ccのところ、係数をかけて2.6リッター車の扱いになる。パワーは300psといわれ、C1カテゴリーの半分程度のパワーしか持ち合わせていなかった。86号車は現在ロッソビアンコ博物館の多くのモデルを引き取った、オランダのローマン博物館に収蔵されている。


文:中村孝仁写真:T. Etoh
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