“おにぎり偽装”が招いた、ミニストップの巨額赤字。深夜に「一人で70個握る」現場の悲鳴…揺らぐコンビニのビジネスモデル

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“おにぎり偽装”が招いた、ミニストップの巨額赤字。深夜に「一人で70個握る」現場の悲鳴…揺らぐコンビニのビジネスモデル

1月22日(木) 8:53

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ミニストップが、2026年2月期通期7000万円としていた純利益を60億円の純損失見通しに一転させました。消費期限偽装問題で、手づくりおにぎりの販売を一時中止。客数も減少して2025年3-11月の日販は4%程度低下しました。

「店内手づくり」というミニストップ最大の差別化要因が、経営リスクとして顕在化したことを物語っています。

通期12億の黒字から35億の赤字へ下方修正

今期は通期で12億円の営業利益を計画していました。今回の修正により、35億円の営業損失となる見通し。緊急休業や客数の減少、チキン・総菜類の販売中止による購買量の減少など、偽装問題に端を発した関連要素が25億円を超える営業利益下押し要因になりました。

これに加え、手づくりおにぎりの販売中止に伴う加盟店へのバックアップとして8.7億円、厨房見守りカメラ、新型ラベル発行機など新設備導入で2.1億円の費用が発生しています。

今期の正念場、回復シナリオの完遂なるか

ミニストップの2025年12月における既存店(開店後13カ月経過した店舗)の客数は前年同月比で3.3%減少。平均売上高は1.7%の減少でした。オープンしたばかりの店を含む全店においても客数は2.3%、売上は0.5%それぞれ減少しています。

偽装問題が発覚して手づくりおにぎり、手づくり弁当の製造を中止したのが2025年8月9日。10月15日には「手づくりおにぎり等の今後の取り組みについて」を公表し、製造体制の見直しや衛生教育の実施、必要な設備の設置を行いました。そして、“食の安全・安心No.1”を改めて目標に定めて再スタートを切っていますが、客数が鈍化している現状を見ると、消費者の信頼回復は途上であるようです。

ミニストップはチキンやポテトの訴求を高め、商品の品ぞろえも充実させて既存店の日販を2026年2月に前年同月比で100%程度まで高めたい考え。今期の残りわずかな期間で回復させることができるのか、経営は山場を迎えます。

「作業効率」を優先した現場の切実な背景

今回の偽装問題は、手づくりおにぎりの消費期限のラベルをすべて作り終えてから貼ったなどというもの。通常のオペレーションでは、1つ作ったらラベルを貼り、次を作り終えたらラベルを貼ります。これを、すべてのおにぎりを作り終えた後、一斉にラベルを貼っていたことが明らかになっており、数時間程度のズレが発生していたのです。

他にも、一度売場に陳列した商品に再度消費期限が記載されたラベルを貼り付けるなどの事案がありました。

ミニストップは2024年度の国内総店舗数が1848で、85%はフランチャイズ加盟店が占めています。偽装問題が起こった25店舗はフランチャイズの店。現場サイドが独自で判断し、問題行動を起こしてしまったという実態が明らかになりました。

それはそれでもちろん問題なのですが、ポイントは店内調理というオペレーションの負荷が高いことです。手づくりおにぎりは、毎晩60~70個一人で作っているケースもあり、現場の負担が重いというのが実態です。

管理強化で不正は防げるか、試される底力

ミニストップはおにぎりや弁当以外にも、「ハロハロ」やパフェなどのコールドスイーツ、ホットスナック、クリームコーヒーなど、提供に手間のかかる商品を出しています。今は人件費が高騰しているうえに人材も集まりづらい状態が続いています。今回の偽装問題は、コンビニにおいてオペレーション負荷が高い状態を維持することの難しさが露見したと見ることもできるのです。

ミニストップは「作業効率を上げるため」「廃棄を減らすため」という現場の動機に対して、監視体制の強化、教育指導の徹底という解決策を導き出しました。これによって完全に解決しきれるのかどうか、ミニストップの底力が試される局面でしょう。

インフレが変えたコンビニのビジネスモデル

インフレに突入してコンビニのビジネスモデルは変化しつつあります。節約志向に傾いた消費者が少しでも安い商品を買い求めるため、コンビニの競合が別ブランドの店だけでなく、ドラッグストアやディスカウントストアになっているためです。

足元で大苦戦しているのがセブンイレブン。既存店の客数は2025年7月から12月まですべての月で前年を下回っています。

客数の回復を図るべく、取り組みを強化しているのが店内調理商品の充実。2025年11月から埼玉県の一部店舗で、できたて弁当の販売を開始しました。うなぎのかば焼きやから揚げなど4品目から開始し、状況によっては扱う店舗数を増やすというもの。

セブンイレブンは、ラーメンなどの麺類の店内調理マシンを導入するなど、できたてにこだわった商品開発を進めてきました。揚げたてのカレーパンやドーナツもこの流れの中に入るでしょう。

おいしいものを手軽に食べたい消費者には嬉しい一方で、気になるのはオペレーション負荷が高まること。現場の負担が重くなると、スタッフが疲弊することに加えて、レジの待ち時間が長くなるなどの弊害が生まれます。

人口減少で労働力が失われる日本。手間をかければ現場の負担が重くなり、効率化を進めれば商品力やサービス力が低下する。このトレードオフの関係が鮮明になるなかで、コンビニ各社がどのような取り組みを進めるのか、経営手腕が問われる局面になりました。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

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