この人となら一生をともにできるかも……。そう考えて結婚したはずなのに、いつの間にか相手を大切にできなくなっていたという人も多いのではないでしょうか。長くいっしょに暮らしているからこそ、自分の無礼な言動に気づきにくいことがあるのかもしれません。
ママ友との会話、大抵は悪口で盛り上がる
四宮杏沙さん(仮名・40代)の結婚生活は夫の重徳さん(仮名・40代)がメインで働く形。杏沙さんは気が向いたときだけパートに出るという日々を送っていました。そのため子どもを一時保育に預けはじめるとママ友たちからのお誘いで出かけることも増加。
「最初は楽しくほのぼのとした日々を送っていました。ただ、ママ友たちが集まると夫や姑さんの悪口がとにかくすごい。最初は笑って誤魔化すとか相づちを打つ程度だったんですが、愚痴や悪口はだんだんと酷くなっていって、意見も求められるようになっていきました」
重徳さんは杏沙さんにとってやさしい夫。杏沙さんのやることを肯定して励ましてくれるほか、自分の意見をやんわり上手に伝えるなど人間的にも尊敬できる部分がたくさんありました。ただ、いっしょにいると不満も多少なりとはたまるもの。
「いつの間にかママ友たちといっしょに悪口を言うようになっていました。ママ友たちから聞く話は驚くような話ばかり。自分の脱いだ靴下の臭いを子どもたちにも嗅がせるとか、出張に行っていると思っていた夫が実は浮気していたとかもありました」
そんなすごい話ばかりを耳にしているうちに、「自分の愚痴なんてたいしたことない」とちょくちょく夫に対する不満を口にするようになっていきます。最初は意見を求められたときに付け加える形だったのに、気づいたら自ら愚痴を言うようになっていた杏沙さん。
愚痴は子どもにも影響
「自分で言い過ぎかな? と反省することもありました。ただ、ママ友たちと悪口で盛り上がるのは正直すごく楽しかったんです。共通の話題といえば保育園のことか家庭のことしかありませんから。それから夫にはバレないだろうという浅ましい気持ちもありました」
ただ悪口が酷くなってくると、家でも愚痴っぽくなっていったといいます。さらに子どもまでもが保育園の友だちから影響を受け、夫の洗濯物といっしょに洗うことや同じ食器を使うことを嫌がるようになり、「パパ臭いから」「汚い」などと口走るように。
「そんなある日、夫の会社が経営不振に陥り、仕事を辞めることになってしまったんです。仕事はなかなか見つからず、パート先からの誘いもあって私が正社員として家計を支えることになりました。ただ、このことで私と夫の立場が逆転したんです」
立場逆転で気づいた自分の過ち
職場での人間関係や仕事でのストレスからイライラすることが多くなった杏沙さんを子どもたちが敬遠。もともとやさしく子煩悩だった重徳さんのところへ行き、絵本を読んでもらったりオモチャで遊んでもらったりと楽しそうな3人を目にする機会が増えていきました。
「ショックだったのは、仕事で汗をかくことが多かった私に対して子どもたちが『汗臭い』『汚い』などと言ってきたことです。すぐに夫が注意して子どもたちは謝ってくれましたが、すごく悲しい気持ちになりましたし、思い出すと涙が出てしまうこともあります」
そういった出来事があり、杏沙さんは自分の言動がどれほど重徳さんを傷つけていたのかを身をもって体験したのです。そしてやっと夫の気持ちを理解できるようになった杏沙さんですが、子どもたちをやさしく諭す夫を見るたびに胸が痛む毎日だと後悔しています。
「子どもたちが夫に酷いことを言っても見て見ぬフリをしたり、冗談のつもりで『パパ、子どもたちが嫌がっているから』などと言って加勢したりしていたことが申し訳ないです。過去は取り消せませんが、それからは夫に思いやりと敬意をもって過ごすようにしています」
自分自身の言動には気づきにくいもの。自然と口から出ている言葉や自分の行動が、誰かを傷つけていないか。振り返ることは大切ですし、やってしまったことは取り消せないということを、肝に銘じておきたいものですね。
―シリーズ「男と女の『ゆるせない話』」―
<取材・文/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。
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