「運転席から身を乗り出して怒鳴る」“あおり運転”してきたSUVが警察に捕まるまで

※写真はイメージです

「運転席から身を乗り出して怒鳴る」“あおり運転”してきたSUVが警察に捕まるまで

1月20日(火) 15:53

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ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。

自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険の『2025年あおり運転実態調査』によれば、5年以内にあおり運転をされたことがあるドライバーは34.5%であった。また、遭遇したあおり運転は、「後方から激しく接近された」が最多の84.3%。あおり運転された際の対処方法は、「道を譲った(51.1%)」、「何もしなかった(28.8%)」が上位を占め、あおり運転に遭遇しても、冷静に対応するドライバーが目立つことがわかった。

今回は、“あおり運転”に遭遇し、加害者がその場で取り締まられる瞬間を目撃した2人のエピソードを紹介する。

海沿いのバイパスで距離を詰められ…

加藤万里奈さん(仮名・30代)は、週末の夕方、海沿いのバイパスを走っていた。仕事の疲れもあり、とくに急いでいなかったという。

「スピードも出していませんでしたし、法定速度を守って走っていたんです」

すると、バックミラーいっぱいに黒の大型SUVが映り込んだ。加藤さんは「急いでいるのかもしれない」と考え、道を譲れるタイミングを探していた。

「でも、距離を詰めたまま離れなくて、ハイビームや蛇行を繰り返してきたので、『これは違うな』と感じました」

心拍数が上がり、車内では自分の呼吸音だけがやけに大きく聞こえたようだ。

腹立たしい気持ちもあったが、ここで反応すれば事態が悪化すると判断。加藤さんは速度を変えずに走り続けた。

「挑発に乗ったら、相手の思うツボだと思いました」

トンネルを抜けた先に“救世主”

加藤さんには、ひとつだけ考えていることがあった。トンネルを抜けた交差点付近は、警察署の分庁舎が近く、取り締まりが行われることが多い場所だったのだ。

「それしか頼れるものがありませんでした。とにかく冷静でいようと思っていました」

しかし、後続車の行動はさらに激しくなったという。クラクションを鳴らし続け、追い越し禁止のイエローラインを越え真横に並んできたそうだ。

運転席から身を乗り出し、怒鳴るような様子で幅寄せをしてくる。その瞬間だった……。

「ぶつかるかもしれないと思いました」

対向車線側の植込みの陰から、赤色灯が回転をはじめた。白バイとパトカーが待機していたのだ。加藤さんは、ドライブレコーダーの映像提出のために停車した。

「さっきまで威勢よくしていた人が、警察官に囲まれて“別人”のように見えました」

免許証を差し出す手が震えているのが、遠めでもわかったという。

「緊張感が一気に抜けました。やっと普通に呼吸ができた感じでホッとしたのを覚えています」

横断歩道で歩行者を威圧する車

中村健太さん(仮名・20代)は、自宅へ帰る途中、信号機のない横断歩道を渡ろうとした。天気もよく、人通りのある時間帯だったという。

すると、前方から一台の車が近づいてきたそうだ。

「目に入ったときから減速する気配がなくて、イヤな予感がしました」

その車は、横断中の歩行者に向けて小刻みにクラクションを鳴らしながら接近してきた。本来なら減速し、歩行者を優先すべき場面だった。

「ひとりずつ威圧するような感じで、見ていて怖かったです」

車内には複数人が乗っており、中の様子がわかったそうだ。騒がしい雰囲気で、近づきたくないと思った。

「ほんの少しタイミングがズレていたら、事故になっていたと思います」

電柱の陰から現れた警察官

このまま何事もなく走り去るだろうか……。中村さんがそう感じた直後だった。横断歩道を過ぎた先の電柱の陰から、白バイの警官が現れたのだ。

「急に出てきた感じでしたね」

運転手は警官の存在に気づかないまま通過し、直後に鋭い笛の音が響いた。車はすぐに停車させられ、横断歩行者妨害で取り締まりを受けていた。

「言い訳をしているようでしたが、警察官は淡々と対応していました」

最終的に、運転手は違反を認めたのだという。

「その場で止められたのを見て、怖さと同時に安心しました」

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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