【写真】屋久島で語り合う、コリー(ヴィッキー・クリープス)と迅(寛一郎)
河瀬直美監督による映画「たしかにあった幻」が、2月6日(金)より公開される。公開に先立ち、永作博美、長谷川京子、小雪、2025年大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の設計を担当した建築家・藤本壮介氏ら著名人よりコメントが寄せられた。また、コメント入りの特別予告とともに、主人公・コリーと青年・迅が出会う屋久島の大自然を捉えた新たな場面写真が公開された。
■“愛のかたち”と“命のつながり”をモチーフに描く人間ドラマ
本作は、河瀬監督にとって6年ぶりとなる劇映画であり、オリジナル脚本としては8年ぶりとなる作品。“愛のかたち”と“命のつながり”をモチーフに、日本の失踪者と心臓移植の現実を重ねて描く人間ドラマが描かれる。
主人公・コリーを演じるのは、「ファントム・スレッド」(2017年)「蜘蛛の巣を払う女」(2018年)などで知られるルクセンブルク出身のヴィッキー・クリープス。そして、コリーが屋久島で運命的に出会う謎めいた青年・迅を寛一郎が演じ、尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏らも出演する。
物語を支えるテーマは二つ。一つは、先進国の中でドナー数が最下位という日本の臓器移植医療について。もう一つは、年間約8万人にのぼる日本の行方不明者問題だ。
河瀬監督は「あん」(2015年)で差別と偏見の果てに生きる歓びを人々に与えたハンセン病患者の生き様、「光」(2017年)で失われゆく視力に翻弄される人生の中で気づかされた新たな愛を獲得したカメラマンの人生、「朝が来る」(2020)では特別養子縁組で救われた命の尊さと二人の母の絆など、旧来の常識や血縁とは異なる、他者との関係性の中に存在する「愛」を描いてきた。「死」が終わりではないという気づきの先に、移植医療が人の命を繋いでゆき、「生」の意味を問いかける。
■あらすじ
フランスから来日したコリー(ヴィッキー)は、神戸の臓器移植医療センターで働きながら、小児移植医療の促進に取り組んでいたが、西欧とは異なる日本の死生観や倫理観の壁は思った以上に厚く、医療現場の体制の改善や意識改革は困難でもどかしい思いを抱えていた。
そんなコリーの心の支えは、屋久島で運命的に出会った恋人の迅(寛一郎)だったが、彼の誕生日でもある7月7日の七夕に突然、姿を消してしまう。一年後、迅が失踪するはるか前に彼の家族からも捜索願が出されていたことを知ったコリーは、迅の実家である岐阜へと向かう。そこで明かされた事実から迅との出逢いが宿命的だったことがわかり愕然とするコリー。一方、心臓疾患を抱えながら入院していた少女・瞳の病状が急変する。
■アオイヤマダ氏(パフォーミングアーティスト)「生と死の境界線が揺らいだ」
生と死の境界線が揺らいだ。私の鼓動を感じた。大地に波が打ちつけている。心の中の時計を確かめながら、生きた証の火を焚いて、私たちは私たちの道を旅している。この映画が、“生きる”という今にも溶けてしまいそうななにかを私の中に埋めてくれました。
■今西洋介氏(小児科医・新生児科医)「我々の住むこの日本で実際に起きていること」
果たしてここまでリアルに、そして美しく、時に残酷なまでに、日本の小児心臓移植の現状を描いた作品がかつてあっただろうか。この作品が残すメッセージ、そして問題提起は大変重要である多くの子どもたちとご家族が心臓移植を待っている現実は、我々の住むこの日本で実際に起きていることだ。この素晴らしい作品を一人でも多くの方に見て欲しい、そして一緒に考えて欲しい。
■カルロ・シャトリアン氏(映画評論家/2025年東京国際映画祭審査委員長)「これまでのすべての作品と深くつながっている」
「子どもの痛みは、神の最大の謎である」とドストエフスキーの言葉にもあるが、このテーマに向き合うことは、とても大胆な選択だ。幼少期の苦しみを扱うことは重く、私たち誰もが目を背けたくなる問題である。本作は、母性や喪失をめぐる河瀬直美監督のこれまでのすべての作品と深くつながっている。
■小山薫堂氏(放送作家)「様々な『愛』が静かに、そして激しく紡がれる」
河瀬直美が光を散りばめながら描く「気配」と「余白」が好きだ。生と死のあいだで様々な「愛」が静かに、そして激しく紡がれる名作。
■小雪(俳優)「河瀬監督作品の真骨頂」
大切な誰かがそこに在ること、生きているということが幻でなく現実たらしめるのは、そうであると信じる他者の思いの中に存在する。人の繋がりと生と死と、人間が生きるうえで常に傍に在り続ける壮大な答えの見つかりにくいテーマを、ドキュメンタリーとフィクションの狭間で美しく力強く描かれた、河瀬監督作品の真骨頂。
■永作博美(俳優)「人生とはたくさん笑って、笑わせること」
皆さん素晴らしい。誰かを想うことはやめられない。だからふわっとあたたかくなる瞬間に出会えるのだろう。一瞬、力が抜けた少女の笑顔が素敵だった。人生とはたくさん笑って、笑わせることだと思った。
■中野信子氏(脳科学者)「喪失と再生の物語」
喪失と再生の物語が静かにつづられていく。詩情あふれる文学性の高い作風で知られる河瀬直美監督が社会派のテーマに挑んだ意欲作。
■長谷川京子(俳優)「今ここにいる意味を深く考えさせられました」
生と死、さらには今ここにいる意味を深く考えさせられました。生きていること、この世に存在しないこと、どちらが幻なんだろう。わたしは生きていること自体が幻なのではないか、と思う。
■原田マハ氏(作家)「命という名のたしかな幻のせつなさ」
人の命はどこからきて、どこへいくのだろう。その来し方行く末を、本作を通して知ったとき、命という名のたしかな幻のせつなさを、きっとあなたは知るだろう。
■藤本壮介氏(建築家)「いのちは繋がっていく。その痛みと辛さと素晴らしさ」
この映画を見終わったあと、自分のまわりの世界の音と囁きすべてが新鮮に聞こえてきた。日常の些細な音と響きが尊く感じられた。いのちは繋がっていく。その痛みと辛さと素晴らしさ。
※河瀬直美監督の「瀬」は正しくは旧字体
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