橋田壽賀子脚本の人気長寿ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)で10歳から12年間、“加津ちゃん”こと野々下加津役を演じていた宇野なおみさん(36歳)。かつて“天才子役”と呼ばれた宇野さんは現在、フリーライター、エッセイストとして活動中です。
そんな宇野さんが30代女性として等身大の思い、ちょっとズッコケな日常をお届けするエッセイ連載。今回は年末年始にオーストラリア・メルボルンを訪れた際の旅行記をお届けします。
カラオケにラーメン、牛丼…そこかしこで感じた日本の気配
皆様、ご機嫌よう、宇野なおみです。今回もオーストラリア・メルボルン旅行記です。
久しぶりの海外旅行に行くことにしたものの、飛行機代や両替に対し円安という壁にぶち当たったり、パスポートをウキウキで受け取りに行った当日に取得料金の減額が発表されたり、メルボルンにやっとたどりついたと思ったら、パニックを起こしてスーツケースを抱えて絶望したり……と、前編ではほぼわたくしの出国までの七転八倒をご披露して終わりました。
今度こそメルボルンの話と美しい風景をお届けしたいと思います。
1日目の夜はメルボニアン達とカラオケに行って終わりまして。そう、メルボルンにもカラオケがあるのです……! 街を歩いていても、和食のお店がそこかしこにあります。
ラーメンやスシはもちろん、牛丼や「日本風カレー」など、バリエーション豊か。店内にはアジア人だけではなく、地元の人らしき方もたくさんいました。
高級住宅街とビーチの街「ブライトン・ビーチ」へ
1日目は英語が聞き取れない、喋れないなど、自分の状態に青ざめていた私ですが、2日目にはすっかり慣れて、知人宅のフルーツをむしゃむしゃする余裕もありました。遠慮ゼロの居候。ちょっとは加津ちゃんを見習ったほうが良い。
だいぶ気温も上がりましたし、シティ(中心部)から電車で30分くらいの、「ブライトン・ビーチ」に行ってみました。東京から考えると葉山あたりかしら、高級住宅街とビーチの街です。
私は建築大好き人間で、街歩きしているだけでも小躍り。道をしょっちゅう間違えていました。グーグルマップが機内モードでも使えることは本当に助かりました。ありがとう、どこかの衛星!
この日は風が強く、海に入るには結構厳しめ。ただ、観光名所である「ベイジング・ボックス」が並び、海の続くビーチは非常に美しかったです。ベイジング・ボックスは文字通り、箱というか、小屋というか。個人所有の海の家のようなもので、中にはビーチチェアやサーフボードなどが置かれているようです。カラフルでさまざまなデザインがあり、素敵なスポット!
小学館さんのふろくだったドラえもんのタイムふろしき柄レジャーシートを持って行ったので、ビーチを眺めランチを食べるなど、チルい時間(初めて使う言葉)を楽しんでみました。
ビーチでは水着の人ももちろんいます。しかし、服のまま足だけひたして波や風を楽しむ、という過ごし方も多いそう。空も海も青いこと青いこと……。日焼け止めはこまめに塗りなおしました。
書店にはMANGAがいっぱい!
そして地元のショッピング街へ行き、本屋に飛び込みました。地球の裏側に行っても私はわたくしです!
そこにはMANGAがぎっしり並び、明らかに地元民の男の子が『ワンパンマン』を読んでいました。絶対ある!と思って探したところ、ありました、『NARUTO』と続編の『BORUTO』!! このBORUTOのアニメ版の主人公を私の幼馴染兼推しの女性声優さんがやっているので、お店の方に許可を取って撮らせてもらいました。
「日本のオリジナル・アニメでは、ボルトを私の友人が演じているの!」とウキウキで伝えたところ、「素敵! 日本のマンガは大人気で、たくさん仕入れていて。ナルトもボルトも人気」と教えていただきました。
他にも、可愛いキッチン雑貨や、クリスマスが終わって安くなったチョコレートなど、ちょっとした買い物を楽しみました。チャリティストアでオーストラリアブランドのワンピースをゲットできて嬉しかったです。
おしゃれな洋服屋さんもあちこちにあり、「日本は冬……夏服を買っても今は意味がない……」とずっと呟いていました。不審者として通報されなくてよかった。
ドラゴンボールやジブリ、サンリオキャラと目が合う旅路
帰国前日には「Great Ocean Road」(グレートオーシャンロード)という、メルボルン郊外のそれはそれは美しい風景を楽しめる観光ツアーに参加しました。
そこですれ違った男性が着ていたドラゴンボールTシャツのキャラクターと目があったり、スタジオジブリのグッズやキティちゃんをつけた女性を街中で見かけたり。思わぬところで見慣れたキャラクターと遭遇しておりました。
川久保玲とヴィヴィアン・ウェストウッドの特集をやっていた美術館へ
マイケル・ジャクソンの物語を描いたミュージカルが見たかったのですが、ちょうど良いチケットが取れず、断念。美術が好きな知人の勧めで、3日目には「NGV」(ナショナル・ギャラリー・オブ・ビクトリア)へ行くことに。「COMME des GARCONS(コム・デ・ギャルソン)」のデザイナー・川久保玲さんと「Vivienne Westwood」のデザイナー・ヴィヴィアン・ウェストウッドをフィーチャーした特別展が開催中でした。
ギャルソンとヴィヴィアン、両ブランドのコレクションとデザイン、その歴史がたっぷりと楽しめましたよ。イギリス出身のヴィヴィアン・ウェストウッド、日本出身の川久保玲は同世代。革命的で強烈なデザインを次々生み出し、ファッション界に衝撃を与えたという共通点にフォーカスしつつ、同時に違いや個性が浮き彫りになっていて面白かったです。
展示の仕方もファッショナブルでドラマティック。2人の女性デザイナーの持つパワーと抗いと挑戦、その信念、美しさを存分に味わうことができました。
このNGVは上野の美術館のように常設展があり、アジアギャラリーのコーナーも。なんと日本のコーナーは別途エリアがあって、茶道具の展示や父方の出身地・岡山の備前焼も展示されていました。オーストラリアで浮世絵師・河鍋暁斎の絵を見ることになるとは思わなかった……。
美術館の入り口には草間彌生のオブジェがどーんとありましたし、大変に美しい州立図書館にも行きましたが、そこにも日本の本について特集展示が組まれていました。ここでこのエッセイの構成を書きました!
美術館や図書館は無料で入れるところも多く、文化への扉が多い街だと感じましたね。
年齢不詳のアジア人として、コミュニケーションの大切さを感じる
初日は道すら聞けなかった私ですが、2日目以降はすっかり本領発揮。本屋さん以外でもいろいろなところで会話を交わしました。目を合わせて英語でガンガン喋るので、「日本人だったの?」って日本人にも言われていましたね。
皆さんとても親切で! しかして、残念ながら日本ですら年相応には見られないので、その優しさが「己が一体何歳だと思われての応対か」、疑問でした……。
つくづく、コミュニケーションは大事だと思いました。と言っても、まずお店に入るときに「ハイ」と挨拶する、「ハウアーユー」と聞かれたら「ファイン」や「グッド!」と答える、高級店では商品に触れたければ店員さんに聞いてから、「サンキュー」や「これが買えて嬉しい」といったことをちゃんと言う。
ちょっとしたやりとりですが、これだけで、お互いにこやかに過ごせます。
小学生で習う英語レベルでも会話は成り立つ
海外旅行は飛行機でも話す機会があるので、できる限り、丁寧に単語だけではなく、文章やプリーズといった依頼の文章で丁寧に喋る。これがいかに重要か、痛感しました。
疲れとかシャイとか、いろいろご事情はあるのでしょうが、空港やお店で話しかけられて、ほとんど無視のような応対の日本人の方が多くて、もったいないなぁと思いました。
もちろん、詐欺とか怪しい誘いは全力で無視&逃げたほうが良いですよ!
美しい海と公園でのんびり過ごす贅沢を経て
南半球の海を、今回生まれて初めて見まして。こんなに青く澄んだ美しいものなのかと、ずっと衝撃を受けていました。砂浜の質も心なしか違うような。
公園やビーチで、出身も国籍も様々な人がのんびりとくつろいでいて、とても豊かな時間が流れていました。携帯が使えなかった私は、本当に何もかもから切り離された状態。自分のことをぼんやり考えたり、無になったりする時間は凄まじい贅沢でした。
街中に広告も少なくこざっぱりとした雰囲気なので、日本に戻った時は情報の洪水で目を白黒させたものです。
なんとなく、自分の今までとこれからについて見えてきた気がしました。
空港の免税店も楽しみにしていたのですが、なんと円安が進みすぎて日本で買ったほうが安いというケースがあり、ショックを受けました。最後まで円安憎し。
そのまま実家に帰り、まずやったことは荷ほどきと床の掃除でした……。メルボルンではプリンセスのように優雅な生活を送っていたので「逆シンデレラじゃないの!!」と悲鳴をあげつつ床磨きしていました。夢の終わりは早かった。
本当に楽しかったです。なかなか難しいと思いますが、ぜひ機会があったら、オーストラリアを訪れてみてください。
ほら、パスポートも安くなりますしネ!
<文/宇野なおみ>
【宇野なおみ】
ライター・エッセイスト。TOEIC930点を活かして通訳・翻訳も手掛ける。元子役で、『渡る世間は鬼ばかり』『ホーホケキョ となりの山田くん』などに出演。趣味は漫画含む読書、茶道と歌舞伎鑑賞。よく書き、よく喋る。YouTube「なおみのーと」/Instagram(naomi_1826)/X(@Naomi_Uno)をゆるゆる運営中
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