「麗しい…!」誰もが知る祖父&父をもつ“20歳の若手役者”に注目があつまるワケ

2025年11月、特別番組「パリに息づく”侘び寂び”の世界 〜ブシュロンが描く自然の儚さ〜」(BSテレ東)に出演した市川染五郎

「麗しい…!」誰もが知る祖父&父をもつ“20歳の若手役者”に注目があつまるワケ

1月19日(月) 8:46

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この圧倒的美形。麗しい。いったい、誰なんだ。美し過ぎる……。と、話題になったのは2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)に出演した八代目市川染五郎だった。

2018年の襲名後、歌舞伎界の麗しいプリンスが着実に注目を集めている。2025年の邦画最大(空前)のヒット作『国宝』が歌舞伎への興味・関心を高めながら、染五郎の名は歌舞伎や時代劇にとどまらず、現代劇でも轟いた。

染五郎の美形はむしろ現代劇で際立つということすら証明した。イケメン研究家・加賀谷健が、2026年の出演作に期待を込めながら、市川染五郎の魅力を解説する。

市川染五郎の所作と着こなしが完璧



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1990年代にフジテレビ系でレギュラー放送されていた人気テレビ時代劇『鬼平犯科帳』は、2024年に二代目中村吉右衛門から甥の十代目松本幸四郎へとバトンが繋がれるかたちで新シリーズが幕開けた。

その第1作『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』で主人公の鬼の平蔵こと、長谷川平蔵の若き日を演じたのが市川染五郎である。

同作冒頭、染五郎演じる長谷川銕三郎が夜の江戸を歩いている。そこへ悪漢たちが行く手を阻む。銕三郎に斬りかかるが、彼は刀を抜かない。着物の袖から両手をサッとだし、「てめら相手に刃物はいらねぇ」と言ってそこらの板を手にしてパパッと敵を片付けてしまう。

奥行きある画面に染五郎の低い声は響くが、顔はあまりよく見えない。ここでは敵に応戦する前と片付けた後に袖から両手を出し入れし、ただ美しい低音が聞こえ、うす闇の中で染五郎の着流しが陰影豊かに浮かぶだけでいい。最小限の情報量で切り詰めた演出が、市川染五郎の所作と着こなしを完璧に仕上げるのだ。

歌舞伎の名門・高麗屋のプリンス



上述した冒頭場面は敵を一網打尽にした銕三郎が、静寂が戻った夜の江戸を再度ふらり歩いていく後ろ姿で締めくくられる。そして松本幸四郎演じる平蔵の後ろ姿にオーバーラップするという流れなのだが、先代と当代の染五郎(父子)が演じるからこその説得力がある。

八代目市川染五郎の祖父は、先代の松本幸四郎であり、日本を代表する名優中の名優・二代目松本白鸚である。2005年生まれの染五郎は、2009年に4歳で初めての舞台を踏み、2018年に市川染五郎を襲名した。

当時、歌舞伎の名門・高麗屋のプリンス誕生に注目が集まったが、市川染五郎、松本幸四郎、松本白鸚、三代同時襲名でも大きな話題になった。

現在20歳の染五郎はプリンスの称号に相応しい圧倒的な佇まいを誇る。小栗旬主演の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合、2022年)では源頼朝(大泉洋)の従兄弟・木曽義仲(青木崇高)の嫡男・源義高役をまだ10代の染五郎が演じた。

弓をいじっている可憐な表情が写る初登場場面(第13回)を見たとき、この美形はいったい、誰なんだと目が釘付けになった。実際、当時のSNS上では「麗しい!」といったコメントで沸き上がったほどの注目度だった。

美の化身感が際立つ現代劇



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雄々しい眉、絵に描いたような切れ長などなど、染五郎の麗しさ、美しさには近寄りがたいほどの神々しさがある。『鬼平犯科帳 本所・花屋敷』冒頭場面で暗い画面の中にあってさえはっきりわかる。同作の画面は染五郎の麗しい魅力をあえてうす闇の中に押し込めることで、その近寄りがたさを強調していた。

それでいて歌舞伎由来の重厚感が時代劇での武士役のリアリティをきちんと担保する。普段は歌舞伎俳優として多くの歴史上の人物を演じているのだから当然ではあるのだが、歌舞伎と時代劇でのわずかな演技の違いも心得た役作りは目を見張るものがある。

では、現代劇はどうか。これがまた美しい。むしろ現代劇の方が“美の化身”感が際立つ。ということを証明した問題作がある。美しい重みに釣り合うだけにヘビーな現代劇だ。

西島秀俊演じる主人公の蝶の研究者・榊史郎が自分の息子を含む6人の美しい少年たちを標本にするという、その名も『人間標本』(Prime Video、2025年)で、染五郎は息子・榊至役を演じる。監督は『ヴァイブレータ』(2003年)などの巨匠・廣木隆一。染五郎の美形を現代劇でも陰影豊かに落とし込む。特に父と子の食卓場面が印象的である。

至には著名な画家の祖父から受け継いだ画才があり、史郎はそのことを誇りに思っている。食卓場面で祖父の話題がでるとき、染五郎の曽祖父である初代松本白鸚もまた歌舞伎役者でなければ画家になっていたほどの才能だった血脈に思いいたる。

そして現代の食卓場面で歌舞伎や時代劇のようなメイクを施されていないナチュラルな染五郎を見て、彼の素肌に初めて触れたような新鮮な気持ちがする。

現代劇の染五郎は生々しい。2026年はこうした現代劇でひと味違う美しさの市川染五郎がもっと見てみたい。

<文/加賀谷健>

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【加賀谷健】
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業X:@1895cu

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