1月19日(月) 4:30
「年収がバレるかもしれない」と言われるのは、マイナ保険証により、高額療養費制度に必要な情報を医療現場の人が見られることが挙げられます。高額療養費制度とは、ひと月の医療費の負担が決められた自己負担上限額を超えた場合に、超えた分を支給してもらえる制度です。
厚生労働省保険局によると、高額療養費制度の上限額は年齢や所得によって変わります。69歳以下の場合、収入の目安とひと月の上限額は表1の通りです。
表1
| 収入の基準 | ひと月の上限額(世帯ごと) |
|---|---|
| 年収約1160万円~ | 25万2600円+(医療費-84万2000円)×1% |
| 年収約770万円~1160万円 | 16万7400円+(医療費-55万8000円)×1% |
| 年収約370万円~770万円 | 8万100円+(医療費-26万7000円)×1% |
| ~年収約370万円 | 5万7600円 |
| 住民税非課税者 | 3万5400円 |
出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」を基に筆者作成
なお、計算に用いる医療費とは、自己負担分ではなく、3割負担などで金額が差し引かれる前の本来の金額です。もし3割負担で30万円を支払ったとすると、医療費100万円で計算する必要があります。
マイナ保険証ができる前は、「限度額適用認定証」を窓口で提示しない限り、一度自分で全額負担をしてから、申請することで後日給付金を受け取れる仕組みでした。しかし、マイナ保険証を利用することで、事前申請がなくても、窓口負担は上限額までに抑えられます。
この高額療養費制度の認定をその場で受けるに当たって、医療機関側に適用される収入の区分が分かるため「年収がバレる」と言う人もいるようです。
しかし、実際には細かな年収がバレるわけではありません。元々決められている収入区分が分かるだけであり、表1にあるように「約370万円~770万円」など、その幅も広く設定されています。マイナ保険証を利用するだけで正確な年収バレまですることは基本的にないでしょう。
マイナ保険証とは、名前の通りマイナンバーカードを利用した保険証形式のことです。厚生労働省によると、マイナ保険証の特徴として以下の5つが挙げられています。
・過去の診療情報や薬剤情報などをオンラインで確認できる
・高額療養費制度を事前の手続きなしで適用できる
・救急現場で搬送先の選定に活用できる
・確定申告時マイナポータルで医療費控除が簡単にできる
・医療現場での過去の薬情報や健診などに関する情報照会の負担を軽減できる
上記から分かるように、病院で見られるのはあくまでも必要な情報のみです。
マイナ保険証は便利な制度ですが、マイナンバーカードなので有効期限が存在します。デジタル庁によると、マイナンバーカード発行時点で18歳以上の場合はカード発行から10回目の誕生日まで、18歳未満ならカード発行から5回目の誕生日までが期限です。
また、健康保険証として利用する際に必要な電子証明書の有効期限は、年齢に関わらず電子証明書の発行から5回目の誕生日までとされています。有効期限が近づくと更新手続きが必要になるため、忘れないようにしましょう。
ほかにも、マイナンバーカードを紛失すると、再発行まで時間がかかります。再発行までの間はマイナ保険証の代わりに「資格確認書」を提示するか、自分でいったん全額負担をしてあとで還付申請をする必要があります。マイナンバーカードはなくさないように注意しましょう。
マイナ保険証を利用すると、診療情報や薬剤情報などをオンライン上で確認できます。また、高額療養費制度において、事前申請なしで窓口負担を上限額までに抑えられるのも特徴です。
高額療養費制度の利用に当たって、所得の区分が医療機関側に分かることから年収バレを危惧する声もあるようです。しかし、詳細な年収が分かるわけではないため、過度に懸念する必要はなく、制度内容を理解したうえで利用を判断するとよいでしょう。
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)(5ページ)
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット
デジタル庁 マイナンバーカードおよび電子証明書の有効期限・更新
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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