『花より男子』で知られる神尾葉子が、原作・キャラクター原案・脚本を手掛け、『進撃の巨人』のWIT STUDIOがアニメーション制作、『B:The Beginning』の中澤一登が監督を務める完全新作アニメ『プリズム輪舞曲』が、Netflixにて1月15日より世界独占配信される。ロンドンを舞台に繰り広げられる大貴族と留学生の青春ラブストーリーが、ハイクオリティな美しい映像で描かれていく。本作は神尾にとってアニメーション制作初参加作品となる。今回は、作品に携わることになった経緯や、実際に作業をしてみた感想などについて語ってもらった。
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――『プリズム輪舞曲』に神尾先生が参加されることになった経緯についてお聞かせください。
神尾5年前のある日、企画・プロデュースの櫻井(大樹)さんから、SNSのDM(ダイレクトメール)でご連絡をいただいたんです。「大丈夫かな?詐欺かも」って思ったりもしたんですが(笑)、お会いさせていただきました。そこで「1900年代初頭、明治時代に画家を志す日本人の女の子が海外に一人で渡って……」という、少女漫画的なアニメを作りたいという企画をご提案いただいたんです。それがすごく面白くて。少女漫画は私の得意分野でもありましたので、その場ですぐに「やりましょう!」という話になり、次の週にはもうプロットを書いて提出させていただいて……と、トントン拍子に決まっていった感じですね。
――そのときに、神尾先生はどんなお話をされたのか覚えていらっしゃいますか?
神尾イギリス貴族と日本人の女の子による、恋愛を描きたいなと思ったんです。最初は「絵画といえばフランスじゃない?」という話もしていたんですが、当時のフランスは共和制で貴族がいなかったりするのと、『プライドと偏見』のような恋愛を描きたいということで、「じゃあイギリスにしましょうか」ということになりました。こうした設定も、最初に顔を合わせたときの話し合いで決まったことの一つですね。
――その打ち合わせの後、すぐに作業に入ったわけですね?
神尾最初から最後まで、全20話分の原作プロットとなる脚本を書かせていただき、それを監督チームに提出しました。その後、アニメとして映えるように脚色するため、3rdディレクターの藤井咲さんが、尺や描写を絵コンテに合わせてリライトしてくださっています。
――原作・脚本としてストーリーを作り上げていくうえで、大切にしたテーマがあれば教えてください。
神尾自分の好きなことを貫く女性像を描きたいと考えていました。りりが生きた1900年代は、決して女性が生きやすい時代ではなかったと思うんです。好きなことを諦めてお嫁に行くのが当たり前だった時代の中で、りりという一人の女性がどう生きていくのか。そんな彼女の姿を見守っていくような物語を描きたいという想いがありました。
――実際に脚本を書いてみての感想をお聞かせください。
神尾以前、『花より男子』をアニメ化していただいたことがあるのですが、そのときは私が漫画を描き、アニメ制作についてはすべて制作会社さんにお任せするスタンスでした。今回初めてアニメ制作に深く関わらせていただいて、漫画とは違い、アニメは本当に多くの人たちによって作り上げられるものなんだと実感しました。こうした経験は初めてだったので、とても刺激になりましたし、勉強にもなりました。
――脚本作業で印象に残っていることがあれば教えてください。
神尾全20話という構成なので、必ず物語を完結させなければならないんです。そのため、ラストをどうするかについては、櫻井さんや監督とも本当にたくさん話し合いました。その時間もすごく楽しくて(笑)。中澤一登監督は制作陣に意見を求めるタイプの方ですし、スタッフの皆さんがキャラクターをとても気に入ってくださって、いろいろなアイデアが出てくるんです。それを受けて、「そんなにこのキャラに思い入れがあるなら」と、展開を変えたこともありました。「みんなで作っている感覚」こそが、アニメーションの世界なんだなと感じながら、楽しく取り組ませていただきました。
りりを描くうえで大切にした、気持ちのリアリティ
――主人公・一条院りりというキャラクターは、どのようにして生まれたのでしょうか?
神尾ちょうどコロナ禍で、世の中が暗い雰囲気だった時期でした。その中で、この作品を見てくださった方が明るく元気になってくれたらいいなと思い、前向きで好奇心旺盛、ちょっとおっちょこちょいな女の子として、りりのキャラクターを作っていきました。特に大切にしたのは、気持ちのリアリティです。見ている方がしっかり感情移入できる主人公でなければいけないと思っていたので、そこは常に一番大事にしていた軸ですね。
――キットについても教えてください。
神尾キットは実は二転三転していて、最初はもっと子どもっぽいキャラクターだったんです。でも「ちょっと違うね」という話になり、もう少し尖った天才肌のキャラクターに変えていきました。
――この二人の関係性は、どのように描こうと考えていたのでしょうか?
神尾二人は少しずつ惹かれ合っていくんですが、結ばれそうで結ばれない、という展開が全20話を通して続いていきます。なので、毎回「この先どうなるんだろう?」と思ってもらえるようなエピソードや流れになるよう、気を付けていました。
――キャラクターのキャスティングにも関わられていたのでしょうか?
神尾オーディションがありまして、私も含めて櫻井さんや監督たちと話し合いながら決めています。声優さんにあまり詳しくない私でも知っている方ばかりで、「こんなにすごい方たちが集まってくださったんだ」と感動しました。
――アフレコにも立ち会われたんですか?
神尾細かい演技指導をすることはありませんでしたが、「どちらの感情表現がいいですか?」と聞かれたときの最終判断はさせていただきました。とにかく皆さんの演技が素晴らしくて。主人公・りりが泣くシーンでは、種﨑さんの熱演に、ブースのガラス越しにこちらも涙してしまうこともありました。本当にありがたく、素晴らしい演技をしてくださいました。
――キャラクター原案も担当されていますね。
神尾キャラクターデザインはすべて私が描かせていただき、それをもとにキャラクターデザイン・総作画監督の高橋靖子さんが、さまざまな表情の設定を作ってくださいました。皆さん本当に絵がお上手で(笑)。「りりは明るく、見ている人がハッとするような笑顔で笑います」とか、「キットは大きく口を開けて笑わない」といったポイントもあるのですが、言わなくてもきちんと汲み取ってくださっていて、安心してお任せできました。
――完成した映像をご覧になっての感想をお聞かせください。
神尾映像も、声優さんたちの魂のこもった声も、本当に素晴らしくて。もう何も言うことがなくて、ただただたくさんの方に見ていただきたいという気持ちでいっぱいです。特に後半のクライマックスに向けては、驚くような特殊演出もあります。そこは私自身とても好きな、おすすめポイントなので、ぜひ驚きとともに楽しんでいただけたら嬉しいです。
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