2025年8月に東京都に1号店がオープンした、うどん・天ぷら・カレー・ごはん・スイーツが880円(税抜)から食べ放題という「武蔵野うどん小麦晴れ 国分寺並木町店」が“コスパの良さが驚異的”だとして話題を呼んでいる。週末には行列ができるほどの人気店となっているが、うどんや天ぷら、カレーライスはお腹が膨れる料理の代表格でもあり、実際のところどれだけ“元が取れる”のかが気になるところ。
そこで今回は同店を訪問し、大手うどん店チェーン「丸亀製麵」との比較をもとに検証してみた。「オリジン弁当」を展開するオリジン東秀グループが運営元だが、うどん食べ放題という斬新な業態を始めた狙いについても探ってみたい。
最寄り駅からは1キロ以上。平日の15時は待ち時間なし
「武蔵野うどん小麦晴れ」は東京・国分寺市の五日市街道沿いにあり、最寄り駅の西武国分寺線・鷹の台駅からは1キロ以上あるため、基本的には近隣住民をメインの顧客ターゲットに据えていると考えられる。うどんは毎日店内で製麺しており、通常のうどん麺より太いのが特徴。
テーブル席が約10卓、カウンター席9席、小上がりの座敷席6卓というキャパシティーで、他の大手うどんチェーンとは対照的にテーブルは大きめで間隔もゆったりとして天井は高く、広々とした空間となっている。平日の15時頃に訪問したところ、待ち時間なく入店することができ、筆者のほかにテーブル席に2~3名のグループ客が3組、1人客が1名、カウンター席に1名が座っていた。
「最安は880円」で60分間の食べ放題が可能に
席に着くと店員から「当店のご利用は初めてですか?」と質問され、利用時間が60分制限である旨と、最初にうどんメニューのなかから一つを注文するように説明を受けた(未就学児はうどんメニューを頼む必要はなく、ビュッフェコーナーのみの利用も可能)。
注文はタッチパネル端末で行う方式であり、店のイチオシは「つけ汁うどん」の「豚肉つけ汁」(990円)。このほか、「ざる・冷や汁うどん」の「ざるうどん」(880円)、「冷やし豆乳担々つけ汁」(1180円)、生卵が乗せられた「釜玉うどん」の「武蔵野釜玉うどん」(950円)、「釜玉明太とろろうどん」(1180円)、「ぶっかけうどん」の「武蔵野ぶっかけうどん」(950円)、「かけ」の「かけうどん」(880円)、「牛肉盛りうどん」(1480円)などが用意されている。※価格はすべて税抜
どれか一品を注文すると、うどんが食べ放題となるのだが、おかわりは「麺のみ」「かけうどん」「ぶっかけうどん」「釜玉うどん」から選べるため、たとえば最初に「豚肉つけ汁」を注文してつけ汁が余っていれば追加で「麺のみ」を注文できるし、2回目以降はつけ汁うどん以外の「釜玉うどん」などを注文できるといったかたちで、最初に注文したメニューの“縛り”を受けないというのは嬉しい点だ。そして、もっとも低価格な「かけうどん」や「ざるうどん」を注文すれば、880円で食べ放題が可能ということになる。
味も見た目も丸亀製麺のものに近い
今回は「かけうどん」を注文。麺は200g、300g、500g、700gから選ぶことができ、とりあえず200gを選択した。料理の受け取りはセルフ方式となっており、注文から数分で料理の受け取り口上部のパネルに自分の番号札の数字が表示され、自分で歩いて取りに行き、席に戻り、いざ実食。
つゆはすっきりと澄んだ黄金色。非常に薄味で、味も見た目も丸亀製麺のものに近い。よって、どちらかといえば関西風が好みの人に向いているかもしれない(小麦晴れも丸亀製麺も関西風とはうたっていない)。ちなみに丸亀製麺では席に「だししょうゆ」が用意されており、黒っぽい濃い口の関東風が好みの客は、それを入れて味を調整できるようになっている。
麺は店側がアピールするとおり、通常のうどん麺よりも太くなっており、コシがしっかりしていて食べ応えがある。ただ、つるつる感やもちもち感、弾力さといったクオリティとしては、やや丸亀製麺のほうが上手という印象を受けた。トッピングとしては「しょうがおろし」「自家製おかか」「ゆずこしょう」「天かす」「天かす(あおさ)」「天かす(赤じそ)」「ねぎ」をセルフサービスで自由に取って、うどんに乗せられるようになっている。
天ぷらビュッフェは玉石混交
少し麺を食べたあとに、天ぷらうどんをつくるべく、天ぷらのビュッフェコーナーへ向かうと、その種類の多さに驚かされた。「かしわ」「うずら卵」「玉ねぎ」「オクラ」「レンコン」「シューマイ」「ソーセージ」「イカ」「ヤングコーン」「やまいも」「かぼちゃ」「ちくわの磯辺揚げ」と12種類もあり、選ぶのに困るほどだ。そのうち5種類ほどを取ってうどんに乗せてみたが、ふんわりとした厚めの衣がついており、満足いく仕上がりになっていた。
個人的には、大ぶりなサイズの「ヤングコーン」は中も衣もサクサクで非常に美味しいと感じた。ただ、モノによってはやや冷えてベチャつく食感のものも……。食べ放題ゆえに多量の天ぷらをビュッフェコーナーに一定時間置いておく必要があるため、揚げてから時間がたったものも出てしまうというのは致し方ない点といえるだろう。
次に天丼を食すべく、「ごはん」「かしわ飯」コーナーに行き、大きな業務用保温器を開けて小どんぶりに白飯を入れ、それを持って天ぷらコーナーに行き、4品ほどを乗せ、天丼用のタレをかける。食べてみるとごはんは熱々で、“正真正銘の天丼”であった。特にオクラの天ぷらは、オクラが水々しく歯ごたえがあり衣もサクサクで、高いクオリティだと感じた。意外なところではシューマイの天ぷらも美味であった。天つゆが用意されているので、天丼にせずに天ぷらのみでも食べられ、うどんでお腹が張ってしまった人でも楽しめる。
最後にカレーをごはんにかけてカレーライスにして食べてみたが、具はほとんど入っておらず、やや水っぽさを感じてしまった。もっとも、うどんに乗せてカレーうどんにするには向いているのかもしれず、そのような用途も考慮してメニュー開発をしているのかもしれない。
このほか、デザートとして「デザートゼリー」「うどんポテト」「うどん揚げ」「うどんスナック」なども用意されている。席に置かれたタブレットには「制限時間終了まであと●分」と表示されるのも、ありがたい配慮。食事が終わると自分でトレイと食器を返却口に持って行き、対人レジで会計を済ませるという流れだ。
驚異的なコスパだが…万人受けする店ではない?
全体の感想としては、どの料理も「安かろう悪かろう」ということはまったくなく、満足いくクオリティであり、特に食べ盛りの子どもや大食漢の人などにとっては、60分という制限があるとはいえ、これだけバラエティ豊かな料理が1000円以下で食べ放題というのは驚異的なコスパだと評価できるだろう。
一方、それ以外の層の人にとっては、長時間行列に並んでまで利用するほどの価値があるかといえば、評価は分かれるかもしれない。なぜなら、うどんと天ぷら数種類を食べた時点でかなりお腹がいっぱいになるため、あくまで個人的な感想としては、天丼、カレーライス、デザートを食べる必要性を感じなかったからだ。また、たまたま筆者が滞在した時間帯には、店の公式サイトやメニュー表に表示されている「野菜のかき揚げ」が、天ぷらのビュッフェコーナーに1度も置かれることがなかったことは、残念なポイントであった。
今回「武蔵野うどん小麦晴れ」で支払った会計は税込みでは968円だが、丸亀製麺でうどんの「かけ(並)」(420円)、「野菜のかき揚げ」(190円)を注文すると610円となり、地域・時期によるが後者のほうが358円安い。そして、よく知られるとおり丸亀製麺の「野菜のかき揚げ」は、手のひらほどの大きなサイズと球体のような分厚さを持ち、かなりボリューミーで食感はサクサク。うどんと天ぷら数品、ないしかき揚げ1品でお腹いっぱいになる人にとっては、価格と全体のクオリティを勘案すると、丸亀製麺に軍配が上がるという評価になるかもしれない。
とはいえ、「武蔵野うどん小麦晴れ」のコスパが驚異的であることは確かゆえに、もし機会があれば1度は訪れてみたい店といえよう。
<TEXT/山田浩二>
【山田浩二】
飲食チェーンや学習塾、小売り企業を経てIT企業でシステム開発業務に従事。現在はフリーのライターとして主に企業・ITなどのジャンルに関する取材・記事執筆を行っている。
【関連記事】
・
焼肉店の倒産が過去最高。「牛角」「安楽亭」「焼肉ライク」が苦しむ中、“一人勝ち”するチェーン店が。明暗が分かれたワケ
・
“うどん以外”のツマミも充実 「資さんうどんで一人飲み」が想像を超えてきた。初回でハマった記者は「わずか3日後」に再訪
・
二郎系ラーメンを食べ続けて7年。臓器を全摘した今でも「週3ラーメン生活」を続けられるワケ
・
食事デート中、実は女性から「幻滅されている」40・50代男性の特徴5つ。「店員に丁寧」でも気をつけたいポイントが
・
不二家「ケーキ食べ放題」気づけば料金が3倍に…。店舗で“実食レポ”した本音