「ドキュメント72時間」がきっかけで観光スポットに。伊豆にある“もっともイカれたミュージアム”の正体

閉園した「伊豆グリーンパーク」の跡地にできた「まぼろし博覧会」

「ドキュメント72時間」がきっかけで観光スポットに。伊豆にある“もっともイカれたミュージアム”の正体

1月13日(火) 8:51

提供:
静岡県伊東市の伊豆高原といえば、ヌイグルミみたいでかわいいと話題の休火山・大室山に、動物園、遊園地、博物館、美術館が乱立する伊豆でも屈指の観光スポット密集地帯。なかには一風変わった「芸術の森 ろう人形美術館」や「怪しい少年少女博物館」などの施設もあるが、もっともイカれた(褒め言葉)ミュージアムが、2011年7月にオープンした「まぼろし博覧会」だろう。「怪しい少年少女博物館」の姉妹館だ。

「つい立ち寄ってしまう」魔力が

場所は、自動車用サーモスタット会社の創業者が、温度調節技術を活用して90年代に開設した熱帯植物園「伊豆グリーンパーク」の跡地。閉園して廃墟となっていた高低差のある土地には、いまでは数え切れないほどの展示品が雑然と置かれた、国内最大級の巨大ミュージアム系珍スポットとなっている。

私は、オープンした年の2011年10月にさっそく訪問。その後も、2016年2月、2023年1月、2025年11月と計4回訪れている。本当なら、まだ見ぬ異空間を求めてもっと別の場所へ足を運ぶべきなのだが、オープン後も展示スペースが拡張され、日々増殖・進化(深化)するため、「今はどんな感じだろう?」という好奇心に負け、つい立ち寄ってしまうのだ。以前紹介した群馬県の「アダルト保育園」も日々変化して目が離せないのと同じだ。

閉館した秘宝館から「高級乗用車1台分」の金額で…

施設の最大の見どころは、三重県にあった元祖国際秘宝館伊勢館(2007年閉館)から「高級乗用車1台分」の金額でまるごと買い取った膨大な量のエログロ展示品を再利用していること。オープン当初に秘宝館由来で展示できたのは300点(マネキンは200体のうち120体を展示)。

その後展示エリアが拡張され、まだまだ倉庫に眠っていたものが追加展示されている。国立公園内という土地柄、18禁の秘宝館を再現するわけにもいかず、マネキンの多くは着衣姿。昭和〜平成のベストセラーや流行りものを年ごとに展示した「昭和の時代を通り抜け」ゾーンには、こうした元秘宝館出身の艶めかしいマネキンが古い衣装で出迎えてくれる。

かつての秘宝館には、性行為を見世物として展示するだけでは世間的に具合が悪かったため、大義名分的に生命に関する医学的知識の普及を目的とした「衛生博覧会」という展示があった。生殖のメカニズムや胎児の成長などを人体模型で示したものだが、こうした不気味なものは「まぼろし神社~祭礼のゆうべ」ゾーンにまとまっている。

このゾーンは秘宝館にあった淫猥な展示の転用がとりわけ多く、大量のマネキンはかなり露出多めで裸に近いものも多い。それが「藪病院」「梅淋楼(遊廓)」「怨霊寺(お化け屋敷)」というセットでは主役となっている。非常に見応えがあるのだが、お寺部分はかなり暗い。雰囲気が壊れない程度にスマホのライトでも使ってしっかり見学したい部分かもしれない。

ここにしかない見どころが多すぎる

熱帯植物園の巨大な温室は、「大仏殿」ゾーンとして活用されている。植物園時代の草木が繁殖してジャングルのようになった室内には、高さ10mの巨大聖徳太子像がそびえている。そのままだと天井を突き破るため上の方を少し削っているらしい。密林にはモアイ、スフィンクス、オルメカ巨石人頭像、ハニワ像などもいて雑多な古代文明風。もちろんここにもマネキンは随所で来訪を待っている。

高台の拡張されたエリアでは、「ストリップ劇場記念館」が秀逸。閉業した劇場のネオン看板や特大プレート、小屋の中にはリアルなミニ舞台(ストリッパー風に自撮りできる)や入場切符自販機まで置かれていて貴重だ。壁には当時の張り紙もあれば、新たにまとめたストリップの解説も充実していた。秘宝館のマスコット、ニコニコ顔の秘宝おじさんが草むらに無数に生えている「おじさんの森」は見ているだけでハッピーになる。大量の人形が並ぶ「おばあちゃんの部屋」、起き上がり人形ばかり集めた「赤ちゃん人形館」も数に圧倒される。

「ドキュメント72時間」がきっかけで観光スポットに

オーナーの鵜野義嗣氏は青いウイッグにセーラー服姿のセーラちゃんとしてお客さんに大人気だが、元は長年データハウスという出版社の社長で、アンダーカルチャーな本を多数発行してきた。よくあるレトロ博物館や資料館ではありえない性風俗や学生運動(火炎瓶やアジトの再現もある)から、ふつうなら使用済みとして廃棄される生活用品まで、ありとあらゆるものを人間の生きた記録として展示しているのも、そんなバックグラウンドがあるからなのかもしれない。

こんな怪しげな展示施設が、2022年にはNHKの番組「ドキュメント72時間 ゆめまぼろしのテーマパークへようこそ」でも取り上げられ、全国からお客さんが訪れる伊豆の有名観光スポットとなった。だが、驚異的な展示品の数に比してスタッフはごくわずか。

各展示施設の清掃・メンテナンスは必要最低限なこともできていない。エアコンもなく、ところどころ雨漏りもし、あちこちで廃墟感が漂っている(それも魅力的と感じる人がいるのも事実だが)。現実にある場所なのか夢の中にいるのか虚実皮膜で、まさに「まぼろし博覧会」なのである。

<TEXT/関口勇>

【関口勇】
『ワンダーJAPON』編集長(フリーランス・発行元はスタンダーズ)。廃墟、B級スポット、巨大構造物、赤線跡などフツーじゃない場所ばかり紹介。武蔵野美術大学非常勤講師。X(旧Twitter):@isamu_WJ

【関連記事】
「計算して作ったとしたら天才」…地元の漁師が“貝殻だらけの公園”を“20年間無休”で整備した、不思議な理由
東京の“18禁新名所”に広がる「衝撃的な光景」。頽廃・淫靡で妖しく魅力的な濃厚異空間は一見の価値アリ
埼玉の県道沿いに“突如出現するピンク色のカオス空間”所有者を直撃。いつか「町おこしの観光施設に」
「うわっ!」と思わず声が…山間部に突如現れる珍名所「アダルト保育園」。中には「だんみつの部屋」も
“静かな住宅街”に佇む「入りづらい喫茶店」の正体。80代マスターの人生も“破天荒”だった
日刊SPA!

生活 新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ