【写真】アレスたちが乗るバイク型の乗り物、“ライトサイクル”がかっこいい!
2025年10月10日に日米同時公開された映画「トロン:アレス」。SF映画に革命をもたらしたといわれる作品のシリーズ最新作だ。本作が2026年1月7日に配信開始されたということで、最新作として何が、どうすごいのか。そのポイントにあらためて迫ってみたい。(以下、ネタバレを含みます)
■SF映画史に燦然と輝く「トロン」シリーズとは?
シリーズ化されると初めから決まってはいなかっただろうが、第1作となる「トロン」は1982年に公開された。現在では「トロン:オリジナル」と称される。同作の何がすごかったのかは、映画史上初めて本格的にコンピューターグラフィックスを駆使した長編映画であること。そして、単なる技術革新というだけでなく、その創造世界もまた多くの人を引きつけるもので、名だたる映画監督や漫画家などのクリエーターに影響を与え、のちのSFエンターテインメントを飛躍させるきっかけになったともいえる。
ソフトウェアメーカーのエンコム社に勤める天才的なコンピュータープログラマー・フリン(ジェフ・ブリッジス)は、新作ゲームのデータを同僚・ディリンジャー(デヴィッド・ワーナー)に横取りされてしまう。証拠をつかもうとハッキングしていると、人間を操る邪悪なコンピューター総合制御システム=MCP(マスターコントロールプログラム)と敵対。レーザー・ビームで電子の世界に送り込まれ、そこで戦いを繰り広げることに。
第2作の「トロン:レガシー」(2010年)は、フリンの息子・サム(ギャレット・ヘドランド)が失踪した父の消息を追ううち、父が創造したコンピューターの世界に偶然入り込み、壮絶な戦いに挑むことになるという展開。
いずれの作品も、人がデジタルの仮想空間に入る夢にあふれた物語。縦横に規則正しく延びる線や、きらびやかなネオンカラーなど、仮想空間を表現した革新的な映像は2作目も進化していて、驚きと興奮に満ちた体験をもたらした。
■最新作も胸を高鳴らせる映像体験
前作から15年。現実でも、コンピューター業界の技術は飛躍的に進歩している。そんな中で、あっと驚く映像体験ができるのだろうかと危惧したファンも少なくなかったはずだ。しかし、それは杞憂に終わった。
その胸の高鳴りは、本編前から始まる。映画は本編映像の前に各配給会社のロゴマークが表示されるのだが、本作のようなディズニー映画はシンデレラ城だ。映画によってシンデレラ城のロゴはアレンジされることがあり、第1作はロゴはないが、第2作はレーザー光線が出ている近未来的なシンデレラ城、最新作は本編を象徴する赤色に彩られたサイバー調になっていた。
おなじみのロゴのアレンジに誘われた本編世界。3作目にして新たな展開を迎えた。第1作のディリンジャーの孫・ジュリアン(エヴァン・ピーターズ)がCEOを務めるディリンジャー社は、AIプログラムを実体化する発明により、現実世界に現れるAI兵士を開発。圧倒的な力とスピード、優れた才能を持ち、倒されても何度でも再生できる史上最強の兵士。そのうちの一人・アレス(ジャレッド・レト)はマスターコントロールを担っていた。
今度はデジタル世界から人間界へと出てくるのだ。ただAI兵士には欠陥があり、生存時間はわずか29分。ジュリアンは、その欠陥を解決する永続コードを見つけたエンコム社の天才プログラマー・イヴ(グレタ・リー)をアレスたちに追うよう命令する。
夜の街に飛び出したアレスたちAI兵士。シリーズ第1作から登場している、ライトサイクルと呼ばれるバイク型の乗り物で駆け抜けるのだが、街の光景の中で赤い光を放つさまが美しい。まさに映像技術の進歩を実感する。
そして、ライトサイクルから出ている光がパトカーを真っ二つにする描写や、第1作、第2作で戦いの武器になった“アイデンティティディスク”も鋭さを増し、最強の兵士の武器として進化した様子をスピーディーかつ鮮やかに映し出し、ワクワクが抑えられなくなる。このワクワクする映像体験が、物語の没入感を高める。それと同時に、進化はあれど、ライトサイクルやアイデンティティディスクといった40年以上前に生まれたものが秀逸なアイテムなのだという面白さにも気付く。
■異変が起きるAI兵士・アレスの姿に引き付けられる
SF映画として伝説、金字塔などと称されるシリーズ。その根幹となる映像は、最新作でも期待を裏切らない。それに加えて、本作の魅力は巧みな物語にもある。
AIが現実を侵食するというのは、映画の世界だけではなく、身近なことにも感じられる昨今。遠い未来、あるいは近い将来にあり得るかもしれない。人間が生み出したものと対峙(たいじ)する恐れという共感性は、前2作以上に突き付けられる。
そして、AI兵士の制限時間である“29分”がいくつもの場面で緊迫感を生む。29分だったら逃げ切れるのではないか、いや逃げ切るには足りないこともあるという絶妙な時間。1分でも最強兵士ならば追いつきそうだし、29分の制限を迎えても、新たに生まれ変わることができるという永続性がありつつ、やはり29分しか生存できなくて…と、ドキドキハラハラの連続だ。
その間、アレスに異変が起きる。予想外の行動に出たアレスは、プログラムとしては欠陥とされるもの。一方、街を縦横無尽に走って破壊もしてしまうAI兵士たちは、暴走のようで人間が作ったプログラム、いわば命令に忠実なのだ。その対比は、デジタルの世界のものでありつつ、人間社会を映し出してもいるように思える。
デジタル界と人間界の境界に立つアレス。“感情”を知り、“学習”し、“体験”していくアレスから目が離せなくなる。それは人の成長に欠かせないものでもある。AIが身近になっているからこそ、考えさせられる人間側の思いとAI側の姿。命、生きることに思いをはせながら、映像、アクションもスケールアップした物語が行きつく先を見届けてほしい。
映画「トロン:アレス」は、ディズニープラスで見放題独占配信中。過去シリーズも配信中。
◆文=ザテレビジョンシネマ部
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