【写真】加藤浩次、「タイタンの戦い」に洋の東西で異なる宗教観を考察
映画好きで知られるお笑い芸人・加藤浩次と映画ライターのよしひろまさみちが、毎週1本のおすすめ作品を語り尽くす「加藤浩次とよしひろのサンデーシネマ」(土曜朝8:00-11:00、BS10)。1月10日の放送で取り上げられるのは、2010年公開の「タイタンの戦い」だ。特撮の名匠レイ・ハリーハウゼンによる1981年の同名作を、当時の最新VFXでよみがえらせたタイトルとなっている。番組ではギリシャ神話の英雄ペルセウスの冒険を軸に、「神と人間」という大きなテーマをスペクタクル満載で描いた同作の魅力が語られた。
■日本と西洋の“神話観”の違いが浮かび上がる一本
番組冒頭、加藤浩次はまず、日本と西洋で神話の受け取られ方が違うという点に言及。日本の神話にも多くの神が登場するが、直接神と人間が対立して激しく争う構図はあまり描かれない。対してギリシャ神話では神と人間が感情をむき出しにしてぶつけ合い、ときに報復や反逆まで起こる。加藤は「感覚が違うんだろうなと思う。西洋の神話がすごいのは、神と人間の争いがある。我々、そこってないのよ」と率直に語り、本作に触れる上での前提となる距離感の違いを示した。
そのうえで加藤は、同映画について「楽しめる人と楽しめない人に分かれると思う」ともコメント。よしひろも「日本人では分かれて然るべき」と同調し、文化的背景の差が作品受容に影響することを認めた。ただしペガサスやポセイドンといった耳なじみのある存在も多く登場するため、ファンタジー作品としての間口が広い一本でもある。
鑑賞後、加藤は開口一番に「すごいねぇ。ずっとPV観てるのかと思った」と、作品が表現するスピード感と迫力満載の映像に圧倒された様子だった。本作品が公開された2010年は、まさにVFXが成熟期へ突入したタイミング。レンダリング時間の短縮、アニメーション技術の実写応用など、映像技術の進化が一気に花開いた時代だ。実写の馬をベースに処理されたペガサスのシーンや緊張感あふれるメデューサ戦など、質感と臨場感を両立させた描写はその象徴と言えるだろう。
一方で加藤はここまで技術が発達しても、アナログならではの味はやっぱりあるという思いも口にする。実写特撮が持つ独特の“手触り感”にも言及する加藤に、よしひろも本作をVFX成熟期における「なんでもできることを見せるための“顔見せ映画”の1本」であったと位置づけて“時代性”を浮き彫りにした。
さらに監督ルイ・レテリエが漫画「聖闘士星矢」の大ファンであるという裏話も飛び出す。神々の鎧デザインが同漫画のオマージュであることや、ポスターで「聖闘士星矢」の作者・車田正美とのコラボが実現していることも明かされた。アニメ的文脈との意外な繋がりに、加藤が思わず驚きのリアクションを見せたのも印象的だ。
我々日本人にとって、「タイタンの戦い」は物語の解釈と映像の快楽が拮抗する作品。宗教的価値観の違いゆえに残るかすかな違和感を抱えつつも、圧倒的な映像体験に身を委ねれば映画的そのものの満足感はしっかり残る。猛烈なスピードで技術が発展し続けるなかで、「それでも自分は何に心を動かされるのか」を静かに問いかけてくる一本だ。神話という古い物語を最新技術でどう語り直すのか…その試みを味わう意味でも、「タイタンの戦い」は今なお“観る理由”を持ち続けている作品だと言えるだろう。
■「タイタンの戦い」ストーリー
神と人が共存していた神話の時代。ゼウスの息子でありながら人間として育てられたペルセウスは、冥界の王ハデスに家族を殺されてしまう。ハデスや魔物たちの脅威によって地上が地獄と化す危機に直面する中、復讐に燃えるペルセウスは命知らずの猛者たちを率いてハデス打倒の旅へ出ることに。こうして次々に現れる難敵たちとの死闘を戦い抜き、ついにハデスと人類存亡をかけた最終決戦に臨むペルセウスだが…。
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