「地獄の2時間でした」新幹線で“ハズレ席”を引いた24歳男性の悲劇。特大スーツケースのせいで乗客が口論に…

※画像はイメージです(以下、同)

「地獄の2時間でした」新幹線で“ハズレ席”を引いた24歳男性の悲劇。特大スーツケースのせいで乗客が口論に…

1月9日(金) 15:52

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インバウンドに沸く日本。日本はマナーがよく親切で安全な国だという外国人観光客の声をよく耳にします。確かに諸外国と比べると“優秀”と言える点もあるかもしれませんが、そんな日本にも例外はたくさんあります。

今回は目を疑いたくなるようなマナーの悪さが露呈した、新幹線車内で発生したエピソードです。

初めての東京出張、まさかの“ハズレ席”

入社して一年目の秋。木内さん(仮名・24歳)は、念願だった東京本社への出張を任されました。社会人としての第一歩を刻む機会に胸を躍らせつつも、どこか緊張の色を隠せなかったといいます。指定席は2列席の通路側。新大阪駅を定刻どおりに発車したのぞみ号の窓側席にはまだ誰もいませんでした。

「正直、誰も来ないまま東京まで行けたら嬉しいなって……心の中で本気で祈っていました」と木内さんは苦笑混じりに語ります。

しかし、その淡い期待は京都駅に停車したわずか数分後、あっさり崩れ去りました。ドスドスと通路を歩いてくる大柄の男性。手には、一般的なスーツケースの倍はあろうかという巨大なケースが。そして、男性は木内さんの前で立ち止まると、開口一番こう言ったそうです。

「兄ちゃん、ちょっと狭くなるけど、大事な反物が入ってんねん。足元に置かしてな」

幸先が悪すぎる展開が木内さんを待ち構えていました。どうやら“ハズレ”席だったようです。

地獄の2時間が始まった

反物――。ただ、ぱっと見、そのスーツケースはどう見ても一週間の海外旅行に使われるような大型サイズで、和装の品が入っているようには到底思えず、男性は確認も待たずにケースを窓側の座席前にドン、と置き、そのまま腰を下ろしたといいます。

「冗談抜きで、僕のスペースにもケースが半分食い込んでいたんです。太ももに当たるし、足は窮屈だし……。思わず、『これは地獄の2時間が始まったな』と思いました」

さらに悪いことに、その男性は間髪入れず、匂いの強い幕の内弁当を広げ、ビールをプシュッ。揺れる車内に漂う油と魚の匂い。木内さんは、ただただ耐えるしかなかったといいます。

「そのあと、イヤホンの音漏れがキンキン響く上に、いびきをかきながら爆睡ですよ。正直、通路に逃げようかと思いました」

前席の乗客と一触即発状態

のぞみは速度を増し、名古屋を過ぎようとしていました。周囲の乗客が仕事の資料に目を通したり、仮眠を取ったりしている中、ただ一人、木内さんだけが“隣の騒音と圧迫”に耐えながら東京へ向かっていました。

そして、その騒動の火種は、思わぬ方向へと転がっていきました。

「男性の前に座っている乗客が、ゆっくりとリクライニングを倒そうとしたんです。最初は普通の動作でした。でも……」

何度試しても、倒れない。ほんの数センチ倒れた程度で“ゴン”と引っかかる感触があったようです。理由は明白でした。そう、あの巨大スーツケースです。高さも厚みもあるケースは、前席の背面に完全に接触し、リクライニングを阻んでいたのです。

「前の方が何度かトライしていたのですが、全然倒れないんです。しまいには小さく舌打ちが聞こえました」

男性はイライラした様子で何度も振り返り、状況を確認していました。しかし、当のスーツケース所有者はというと――。

「いびきをかいて熟睡してたんですよ。イヤホンの音漏れを響かせたまま」

そのコントラストが、前席の乗客の怒りに一層火をつけたかもしれません。木内さんは、嫌な予感を抱きはじめていたといいます。

天罰がくだり、静けさが戻る

やがて前席の乗客は、ついに堪忍袋の緒が切れたようでした。深呼吸を一つしたかと思えば、座席に体を預け、全体重をかけてリクライニングを“グッ”と倒しにいったのです。

その瞬間――。

「ベリッ!」

新幹線車内に、何とも言えない異音が響きました。見ると、スーツケースの側面が無残に凹み、形が明らかに変形していました。安物の樹脂ケースだったこともあり、耐えきれずへこんだのでしょう。

「その音で、隣の男性も飛び起きましてね。『なんや!』って怒鳴り声を上げたんです」

男性は凹んだスーツケースを見て激怒。「おい! 何してくれとんねん!」と、前席の乗客に詰め寄ります。一方、前席の乗客も負けていません。

「そっちが非常識だろ! 足元にこんなもん置くなよ!」

言い争いは瞬く間にヒートアップし、ついには互いに腕を掴む形となり、ほぼ小競り合いに発展。周囲の乗客が息をのむ中、木内さんはただ呆然とするしかなかったといいます。

「“やっぱり起こったか……”という気持ちでした。僕は完全に巻き込まれたくなかったので、ただ固まってました」

ほどなくして、周囲の乗客から車掌に通報が入り、数分後、青ざめた表情の車掌が駆けつけました。

「お客様、まず落ち着いてください!」

双方の言い分を聞き取った車掌は、静かに二人を別車両へと誘導。喧嘩の拡大を避けるための措置だったようです。そして ――。

「その後、隣の席は完全に空席になったんです。ようやく、やっと静かになりました」

長い戦いが終わった瞬間でした。

<TEXT/八木正規>

【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営

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