昨年11月から今年3月までの5カ月間、韓国の名匠ホン・サンス監督のデビュー30周年を記念して、新作5本を5カ月連続で公開する「月刊ホン・サンス」が開催中だ。このほど、第4弾となる「私たちの一日」のキービジュアル、予告編、場面写真が公開された。
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【フォトギャラリー】「私たちの一日」場面写真
本作は、第76回カンヌ国際映画祭監督週間クロージング作品に選出され、「日常を至福へと昇華させるホン・サンスの才能が光る(Los Angeles Times)」、「大げさな意味を追うより、日々のささやかな喜びこそが心を満たす(IndieWire)」とその柔らかな仕上がりが高く評価された。交わされる穏やかな会話は、次第に人生をめぐるやりとりへと深まり、いつのまにか観る者の心をそっとほぐしていく。ホン・サンス監督の記念すべき30作目となる、何気ない日々を輝かせる至極の会話劇。
あるふたりの人物が、ふたつの家でそれぞれに過ごす1日。ひとりは、友人の家に居候する休業中の女優サンウォン。もうひとりは、小さなアパートで一人暮らしをする詩人のホン・ウィジュ。彼らのもとには将来への不安を抱く若者たちが訪れ、さまざまな質問を投げかける。そんな折、サンウォンの友人の飼い猫がふと姿を消して──。交わりそうで交わらない、ふたりの1日が静かに並走していく。
ふたりの主人公を演じるのは、今やホン・サンス映画には欠かせない存在となったキム・ミニ(「逃げた女」「小川のほとりで」)と、「自由が丘で」(14)など初期からホン・サンス映画に出演してきた名優キ・ジュボン。キ・ジュボンは「川沿いのホテル」(18)でも老詩人役を演じ、ロカルノ国際映画祭で金豹賞(男優賞)を受賞。さらに、「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」(18/ユン・ジョンビン監督)で金正日前国防委員長に扮し話題となった。
公開されたキービジュアルには、キム・ミニと物語のキーとなるもふもふの猫との印象的なシーンを中心に、それぞれの日常のひとコマが切り抜かれている。そのまわりには、猫、コチュジャン入りラーメン、アコースティックギターといったふたつの物語をゆるやかにつなぐアイテムたちが配置される。「人生には刺激(コチュジャン)が必要だ」というコピーが示す通り、何気ない日常の中に、ささやかな驚きやユーモアが潜んでいることを感じさせる仕上がりとなっている。
あわせて公開された場面写真には、キム・ミニ演じる主人公の1日に関わる人物として、友人役のソン・ソンミ(「逃げた女」)、彼女を訪ねる若者役としてパク・ミソ(「WALK UP」)。一方、キ・ジュボン演じる詩人の1日には、彼を訪ねる若者役としてハ・ソングク(「小川のほとりで」)とキム・スンユン(「旅人の必需品」)の姿が切り取られている。ホン・サンス作品を支えてきたベテラン俳優と若手俳優たちが集い、世代を越えた静かでユーモラスな人生問答を繰り広げる。
ユーロスペースほかで、ホン・サンス監督のデビュー30周年を記念した特別企画「月刊ホン・サンス」は開催中。最新作を含む新作5本を月替わりで公開。さらに、一部劇場限定で新作にリンクしたテーマで過去作を振り返る特集「別冊ホン・サンス」では、同じホテルの別室で展開するふたつの物語が交錯する「川沿いのホテル」(2018)を上映。こちらもキム・ミニとキ・ジュボンのコンビが出演している。似ているようでまったく違うふたつの1日を、続けて味わえる贅沢なプログラムとなっている。
【作品情報】
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私たちの一日
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