“あおり運転”の末に起きた最悪の事故「運転手と勤務先の社長が病室まで謝罪に訪れ…」

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“あおり運転”の末に起きた最悪の事故「運転手と勤務先の社長が病室まで謝罪に訪れ…」

1月6日(火) 8:52

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ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。

自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険の『2025年あおり運転実態調査』によれば、5年以内にあおり運転をされたことがあるドライバーは34.5%であった。また、遭遇したあおり運転は、「後方から激しく接近された」が最多の84.3%。あおり運転された際の対処方法は、「道を譲った(51.1%)」、「何もしなかった(28.8%)」が上位を占め、あおり運転に遭遇しても、冷静に対応するドライバーが目立つことがわかった。

今回は、“あおり運転”によって一瞬で安全が奪われた2人のエピソードを紹介する。

深夜の道路で“走り屋”にあおられて…

鈴木拓也さん(仮名・30代)が大学生の頃、サークル活動の帰りに、友人数人を乗せて車を走らせていた。ルートは、地元でも知られた筑波山を経由。夜中の参道を登っていくことになった。

「この道、昼間でも走りにくいんですよ」

街灯は少なく、カーブが続く道だそうだ。秋口で冷え込みはじめた時期だったこともあり、山にはうっすらと霧もでていた。

「慎重に走るしかないなって思っていました」

そんな山道で、背後から白いスポーツカーが迫ってきた。いわゆる“走り屋”に見えたという。

「どうしよう…」車内を覆った焦りの空気と“その後”の衝撃

鈴木さんはスピードを緩め、スポーツカーを先に行かせようと試みた。しかし、相手は追い越すどころか、さらに車間を詰めてきたのだ。

「ぶつかるんじゃないかって思いました」

ついにはクラクションまで鳴らされ、車内の空気が一変。「やばい」「どうしよう」とみんながパニック状態になった。誰かが叫び、誰かが黙り込む。不安な空気だけが車内に広がっていたそうだ。

「早く抜いてくれって、それしか考えていなかったですね」

すると、スポーツカーが対向車線を大きく踏み越えた。そして、逆方向からきた車と激突したのだ。

「もう、巻き込まれたくない。その一心でした」

鈴木さんたちはそのまま走り去り、山頂のパーキングエリアまで向かったという。

「逃げたって感覚でした。下手したら、私たちも巻き込まれていたかもしれません」

車を止めても、誰ひとり言葉を発しなかった。帰り道も終始無言。

翌朝、事故がニュースになっていないかを確認したが、報道は見当たらなかったようだ。

「どうなったのかはわかりません。でも、関わらなくてよかった。それだけです」

この出来事は、今では同窓会で語られることもあるそうだ。

「笑い話にできるようになったってことは、運がよかったんだと思います」

背後から迫ってきたタンクトレーラー

佐藤遼太さん(仮名・20代)は、仕事を終え、いつも通りにスクーターで帰宅していた。

「ゴールデンウイーク最終日で、道がいつもより混んでいたんです」

渋滞している中、背後からタンクトレーラーが近づき、距離を詰めるような走り方をしてきたという。

「近すぎて、明らかに圧をかけられている感じでした」

「混雑で苛立っているのかもしれない」と佐藤さんは考えた。しかし、速度を上げられる状況ではなく、どうすることもできなかった。

右折レーンの信号待ちで起きた“最悪の事故”

しばらくして信号が赤に変わり、佐藤さんは右折するために右折レーンへ移った。タンクトレーラーも同じレーンに入り、真後ろで止まった。

右折信号が点灯し、発進しようとアクセルをひねった瞬間だった。

背後から強い衝撃が走り、体が押しつぶされる感覚が走ったのだ。

「え、今ぶつかった?って、頭が追いつかなかったです」

そして、足に激痛が走る。このとき佐藤さんは、路上に投げ出されていた。冷たい雨と、アスファルトの感触がはっきり残っているという。

「足が痛い、血で温かい、動かない……もうダメかと思いました」

周囲のドライバーたちが車を降り、声をかけてくれたそうだ。

「大丈夫ですか!」
「がんばって!」

救急車で大学病院に搬送され、入院は合計3か月ほど。手術も複数回に及んだ。「正直、相手が憎くて仕方なかったです」と佐藤さんは振り返る。

事故から2か月ほどが経ってから、運転手と勤務先の社長が病室まで謝罪に訪れたという。佐藤さんは淡々と、自分の状態と治療の経過を伝えた。

「この3か月、どれだけ苦しい思いをしたかを、全部話しました」

その後、運転手は免許を返納し、仕事も失ったと聞かされた。

「自業自得だと思います。“あおり運転”って、相手も自分も、一瞬で壊すんですよ!」

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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