中年になると、お金と時間を持て余してしまう人もいる。それが良からぬ方向に向かってしまうこともしばしばだ。就職氷河期世代はこれまでの人生においてさまざまな困難を乗り越えてきたわけだが、40-50代になって迎える新たな難問がこの「暇」だ。人生後半も過酷な彼らは、いかに生き抜いていくべきか?同世代のひろゆき氏が考える。
人間、暇になるとロクでもない方向にお金と時間を使う傾向があります。特に氷河期世代の場合、若いころより使えるお金が増えたうえに、人によっては家庭や会社で必要とされず、承認欲求を埋めようとギャンブルや風俗やお酒にお金を使うことも多いです。
お酒を飲むのはいいのですが、話し相手が欲しくてキャバクラやスナックみたいな疑似的に褒めてくれる空間に行きがちだったりします。もちろん相手が褒めてくれるのは“金ヅルだから”なのですが、そこで勘違いが始まると、承認欲求や征服欲を満たすためにお金を注ぎ込むのが止まらなくなるわけです。
可処分所得、自由時間、承認欲求の3点セットがそろうと、人間はだいたい判断を間違えます。逆に、このうちどれか一つでもつぶせれば、暴走は大幅に減ります。
日本は年功序列で中年になると可処分所得が増える仕組みなので、ここはもう変えようがない。でも、自由時間と承認欲求は調整できます。
特に承認欲求が満たされている人はわりと暴走しないような気がします。家族仲がいい、多様な年代の友人がいる、趣味仲間がいるなど居場所が複数あると、そちらに時間を使うので、道を踏み外す確率は下がります。
暇な時間の存在が、不安増幅装置になる
問題は「暇」そのもの。暇になると、人は余計なことを考えます。しかも、日本人は不安を感じやすい遺伝的傾向があるという説もあるので、暇が不安増幅装置になりがちなのですね。そして、普段は考えないようなことで思い悩み勝手に不安を膨らませ、それを紛らわせようとして浪費に走る……負のループです。
しかも氷河期世代くらいだと行動パターンが固定化して、新しい刺激に触れにくい。そんな状態で暇ができると、仮に承認欲求が満たされていてもユーチューブやSNSの陰謀論にハマるみたいな典型的な失敗コースに陥る可能性もある。刺激を求めて変な方向に行ってしまうので、暇は扱い方を間違えると破滅の原因になるわけです。
そうならないためには、お金をなるべく使わない暇つぶしを見つけるのが一番です。僕の場合は、漫画・ゲーム・映画・読書・料理みたいな安上がりな趣味で暇をつぶします。ブログを書く、絵を描く、楽器を弾く、釣り、家庭菜園、囲碁、将棋、陶芸なんて人もいます。
そして、そういう多くの人がやっている趣味というのは、実際に触れてみるとそれなりに面白かったりするのですね。だから、大事なのは、「やらない」と決めないことじゃないかと思うのです。
とりあえず試して、「なぜ人がそれを趣味にしているのか?」を確認するだけでも十分。それでも毎週ひとつ、人気の趣味を試すだけでも暇はかなりつぶれるし、もし面白いものが見つかればラッキーですよね。すると固定化した行動パターンも崩れるし、そういう安全な暇つぶしを複数持っておくだけで、不安や浪費による暴走はかなり防げる。暇を意図的に設計することは、氷河期世代にとっては重要な行動だと思うのですよ。
構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)
【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』
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