ルノー4L|かつて砂漠を走った冒険車がコレクターズカーへ

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ルノー4L|かつて砂漠を走った冒険車がコレクターズカーへ

1月3日(土) 12:11

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ほぼ毎月のように足を運んでいるヴァンセンヌ旧車会。そのオーガニゼーションの公式フォトグラファーとして活躍しているのが、今回取材したリシャール氏である。生粋のパリジャンであることは、彼にとって誇りであり、同時に揺るぎないアイデンティティでもある。彼のレンズは常に街へと向けられ、クラシックカーを通してパリの日常と非日常を記録してきた。

【画像】かつて砂漠を走ったルノー4Lが、1年以上のレストアを経て「コレクターズカー」に(写真25点)

このルノー4Lとの出会いは2017年に遡る。甥のウィリアムが、学生による人道支援ラリー「4L Trophy」への参加を希望したことが、その始まりだった。1997年にDésertoursによって創設されたこのラリーは、若者たちがルノー4でモロッコの砂漠を目指す、冒険と連帯を象徴するイベントである。

リシャール氏が手に入れた4Lは、すでに過去に4L Trophyを経験したオーナーのもとにあった個体だった。しかしその状態は決して良好とは言えず、各所に錆が見られ、エンジンも始動しない状況だったという。当時のボディカラーは赤だったが、ウィリアムは砂漠を走るにふさわしい、サンドカラーの迷彩的な装いを思い描いていた。

4L Trophyへの参加に向け、車両は大きく手を入れられることになる。レギュレーションへの適合はもちろん、安全性の確保を最優先に、4Lは徹底的な変貌を遂げた。修復と改修に費やした時間は8カ月以上に及んでいる。

準備を終えた4Lは、ウィリアムとその相棒を乗せてモロッコへと向かった。道中ではラジエーターへの飛び石をはじめ、いくつものメカニカルトラブルに見舞われたが、彼らは最後まで走り切ることに成功する。しかし帰路では再びトラブルが発生し、最終的に車両はレッカー車でフランスへ戻ることになった。

帰国後、この4Lはリシャール氏のもとに残された。役目を終えた冒険車を、今度は「コレクションカー」として蘇らせる決断を下したのである。内装はオリジナル仕様へと戻され、バケットシートは当時のブラック内装に換装。再び始まったレストア作業は1年以上を要した。

現在、この4Lはリシャール氏自身の手によって整備・管理されている。名義も本人へと変更され、正式にコレクション登録車として公道を走る存在となった。ヴァンセンヌ旧車会(VEA)の定例ミーティングには毎月第一日曜日に参加し、さらに年2回開催される「トラヴェルセ・ド・パリ」にも姿を見せている。30年以上前の車両が700台以上集うこのイベントにおいて、かつて砂漠を走った4Lは、静かな存在感を放っている。

興味深いのは、リシャール氏がこれまで一度も新車、すなわち現代の量産車を購入したことがないという点だ。4L以外の日常の足として使用しているのは、同じくルノーの5。しかし本人は、パリ市内での生活において「車は必需品ではない」と語る。日常の移動手段の中心は三輪スクーターだ。フランスでは普通免許があれば三輪車に限り400ccまで運転できることもあり、都市生活者にとっては合理的な選択肢となっている。あるいはメトロ。それが最も自然な移動手段なのだろう。

冒険の記憶を刻んだルノー4Lは、いまやコレクションカーとして穏やかな時間を生きている。一方で、パリの日常を行き交うリシャール氏の足取りは、驚くほど軽やかだ。彼にとって車とは、所有するためのステータスではなく、人生のある瞬間をともに走る「相棒」なのかもしれない。


写真・文:櫻井朋成Photography and Words: Tomonari SAKURAI
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