【写真】柔らかく微笑む、瀬戸康史
橋本愛と瀬戸康史がダブル主演を務めるFODオリジナルドラマ「にこたま」が、12月26日よりFOD・Prime Videoにて配信開始された。
本作は、渡辺ペコ原作の同名コミックを実写ドラマ化したラブストーリー。2009年に連載が開始され、恋愛観、結婚観、家族観といった身近なテーマで多様なあり方を描いた作品を、ドラマでは恋人、結婚、家族の“当たり前”を揺さぶり、“正解のない愛”に向き合う姿を描く。
出会って12年、同棲してなんとなく幸せな日々を過ごす恋人同士の温子(橋本)と晃平(瀬戸)。だがある日、晃平の同僚・高野ゆう子(比嘉愛未)の妊娠が発覚したことで、3人の運命が複雑に絡み合い、それぞれが選択を迫られ、葛藤する姿を深く繊細に紡ぐ。
大学時代からの温子の恋人で弁理士事務所に勤める・岩城晃平を演じる瀬戸にインタビュー。優柔不断ながらも、誰に対しても分け隔てなく接する素直な性格の晃平は、人生の選択を迫られる中で、愛と責任の間で揺れ動く。そんな晃平への印象や瀬戸自身の結婚観、人生の岐路など、たっぷりと語ってもらった。
■「“動いている”というところがまず魅力」
ーーまずは原作を読んだとき、何を感じましたか?
原作の漫画を拝読して、すごく軽快に読めてしまうのが不思議な作品だなと思いました。描かれていることは最悪な事態で、起きていることも重いのに、テンポよく読める。そこがこの作品の魅力であり、自分も演じる上で大事にしなければいけない部分だなと感じました。
ーー本作は、「行間を読む」ドラマだなと個人的には思いました。瀬戸さん自身はお芝居をしていて、本作の映像作品としての魅力はどこに感じましたか?
やはり人間が演じるので、“動いている”というところがまず魅力かなと思います。漫画でいう“次のコマとの間”を僕たちが演じるという感覚ですね。表情の変化の途中だったり、「ここではもしかしたら瞬きをしたかもしれない」「下を向いたかもしれない」といったことだったりを想像しながら演じる。そこが、漫画原作のものを実写で演じる上での面白いところでもあるのかなと思います。
■「一言で言ってしまうと、最低だなと(笑)」
ーーでは、演じる上で意識している晃平ならではの癖や仕草はありますか?
僕が今喋っているような低音の声を封印して、無理のない程度で高めの声を発しています。それと、少し猫背気味にするというのは、晃平の一つの特徴かなと思って意識して取り入れていました。
ーーその特徴は、晃平のどのような性格や背景からくるものとして表現していたのでしょうか?
声に関しては、監督の中の晃平に対するイメージですね。猫背に関しては、この弁理士という仕事はパソコンに向かって作業することが多いので、そういう姿勢が癖付くだろうなと。
ーーなるほど。瀬戸さんは晃平をどういう男性だと思いましたか?
一言で言ってしまうと、最低だなと(笑)。
ーーそうですよね。浮気をしているのもあって、世間的に言ったら「クズ」ですが、その一方で、本作に登場する人物の中で、ある意味では最も人間らしいとも思うのですが…。
そうかな…?人間だったら制御できるのではないかな、と僕は思います。
■「どんなに共通点がない役でも、根幹には自分が在る」
ーー確かに、制御という面ではそうですね。瀬戸さんは晃平に共感する部分はどこかありますか?
一切ないとは言いませんけど、あまりないですね。僕も決して流されないというわけではないし、流されてしまう気持ちももちろんわかるのですが、晃平は「ちょっと制御できなさすぎかな」と思ってしまいます。
ーー大人としては甘い部分がありますよね。
お酒で酔っていたとはいえ…ですよね。もちろん晃平のような的なタイプもいるとは思うのですが、ただ今の時代の若い方は、さまざまな場面でリスクが頭をよぎることが多いんじゃないかなという印象を受けます。そういう時代的なものもあって、晃平にあまり共感できないのかもしれないですね。
ーー今と当時の“当たり前”もだいぶ変わりましたよね。晃平のような自身とはかけ離れた役を演じるのは、大変ではないですか?
特に大変ではないです。僕が演じる以上、自分からは遠ざけることができないので、どんなに共通点がない役でも、根幹には自分が在る。瀬戸康史という人間の中に、この晃平の要素は小さくても絶対にあるはずなので、そこを信じて演じている感じです。
ーーたとえ演じる役に共感はできなくても、自分の中に同じ人間としての欠片はあると。
そうですね。“違う世界線の俺”という感覚です。
■「できるものは早く終わらせたい」
ーー瀬戸さんは、晃平のような意志の弱さがないにしても、日常のちょっとした誘惑に負ける、たとえばいけないとわかっていても、つい夜中にラーメンを食べてしまうみたいなこともないのでしょうか?
自分ではあまりないと思っています。
ーーすごいですね。時間管理などもきちんとしているのですか?
やらなければいけないことの優先順位はきちんと守ります。この仕事で言えば、まずセリフを覚えなければいけない。覚えるまでには時間がかかります。だから、「ここまで覚える」と決めたら、そこまでは他のことは基本的に何もやりません。たとえば、絵を描きたいと思っても描かないし、ゲームをやりたいと思ってもやらないですね。
ーーすごい…。自己管理をしっかりしているんですね。
というよりは、自分のせいで周りに迷惑をかけるのが嫌なんですよね。あとは僕、せっかちなので、できるものは早く終わらせたいというのもあります。
■「僕は逆にやるべきことを残す方ができない」
ーーやるべきことをまずやってからというのは、芸能界に入る前からの習慣ですか?
子どもの頃からずっとそうですね。特に親から言われていたわけではないのですが、基本的に宿題を終わらせてから遊んでいました。夏休みなどの長期休みのときは、宿題は最初に全部終わらせていましたね。日記とか、そういう日々を過ごさないとできないものはもちろん残りますけど、それ以外はすぐに片付けていました。
ーー私は面倒でつい後回しにしてしまうタイプなので、耳が痛いです(笑)。
面倒くさいというのはわかりますけど、それよりも、その先にある楽しいことのために、今やってしまおうって、僕は思うんですよね。気持ち的にも楽になるし、心も軽くなって気持ち良いじゃないですか。だから、僕は逆にやるべきことを残す方ができないですね。
ーー私も今、「常に心に瀬戸さんを」と思いました。
(笑)。先にやってしまった方が本当に楽ですよ。その解放感を知ったら癖になるはずです。
■「ゆとりがある日々を送りたい」
ーー今話を聞いていて、これは確かに瀬戸さんは晃平に共感できないはずだと腑に落ちました。ちなみに本作の登場人物で瀬戸さんが共感するキャラクターはいますか?
共感とは少し違いますが、(高橋)克実さんが演じる庭師の(村治)源三さんみたいな生き方はいいなと思います。老後を考えたときに、源三さんのようにのんびりと庭で野菜を育てたり、ゆっくり星を眺める時間があったりしたら良いなと。老後と言わず、できることなら今すぐにでも、そんなゆとりがある日々を送りたいですね。
ーーゆったりと時間が流れるような生活、素敵ですね。では、瀬戸さんが本作で最も印象的だったシーンは?
いろいろな意味で重要なシーンがいっぱいあるので迷いますね。「流される、流されない」で言うと、克実さんとのシーンですね。ひょんなことから克実さんと2人になるシーンがあるのですが、そこではもう晃平が流されまくっていて(笑)。「あ、すごいな。こんなに流される?」という感じで印象に残っています。
ーーそれはもう水のような男…晃平川ですね(笑)。
あと、この「にこたま」という作品は食事がたくさん出てきます。食事をしながら話すシーンも多いのですが、克実さんは特に多くて。常にモグモグしながらのお芝居で大変そうでした。しかも、これがまたサラダとか、話しながら食べるには食べにくそうなものが目の前に置かれているんですよね(笑)。
■「(芸能界は)正直最初はあまりやる気がなかった」
ーー本作は人生の岐路に立つ三十代3人の物語が描かれていますが、瀬戸さん自身、人生を振り返って岐路はいつだったと感じますか?
この業界に入った、17歳のときです。元々獣医を目指していたのですが、全然違う方向へ行ったので、大きな分岐点だったなと。
ーーなぜ芸能界の道へ?
親が今の事務所にオーディションの書類を送ったら、受かってしまって。たまたま受かった人間なので、正直最初はあまりやる気がなかったです。獣医になりたい気持ちも残っていたので余計に。「とりあえずやってみるか」的な感覚で始めたら、どんどんお芝居が楽しくなっていったんですよね。
ーー「楽しい」というスイッチはどこで入ったのですか?
本格的に入ったのは23〜4歳の頃だと思います。それまでは結構辛かったのですが、頑張って続けていました。
■「変なプライドをボコボコにへし折ってもらえて…そこから変われた」
ーーきっかけは何だったのでしょうか?
作品で言うと、白井晃さん演出の舞台『マーキュリー・ファーMercury Fur』です。あれは26歳くらいだったかな。そこで、演出家の白井さんに変なプライドをボコボコにへし折ってもらえて…そこから変われたんですよね。変な力が抜けたと言いますか。指摘していただいたことによってガツンと沈むというよりも、スッキリしたんです。目を覚まさせてもらえたような感覚でした。なので、本当に感謝しています。この業界に入るきっかけを作ってくれた親にも感謝していますし、自分を変えてくださった白井さんにも感謝しています。
ーーその前後で、作品に対する思いや向き合い方にどのような変化があったのでしょうか?
バチッと変わったというよりも、本当に徐々に…という感じですね。それ以降の仕事が、力が抜けてお芝居ができるようになって、それによって心に余裕も生まれた。作品に対してもっと深く追求できるようになりました。
ーーそれまでの「力が入ったお芝居」というのは、どういうものだったのでしょうか?
分かりやすく言うと、「どう目立とうか」と。お芝居というよりは、そういう何か余計なことをいっぱいやってしまっていたような気がします。かっこつけていたと言いますか…。
■「結婚生活を続ける上で大切なのは“尊敬”」
ーー瀬戸さんは役者として早くから第一線で活躍していた印象があったので意外です。本作では“新しい家族のかたち”も描かれていますが、瀬戸さんの“家族のかたち”を教えてください。瀬戸家ならではのルールや言葉などは何かありますか?たとえば、私の家ではテレビのリモコンのことを「チャンネル機」と呼んでいて、それをふと家族以外の会話で使うと、「何それ?」ときょとんとされることが多いのですが…。
え、本当ですか?「チャンネル」って言わないんですか!?「チャンネル」って呼ぶの普通じゃないんですか!?僕の家では「チャンネル取って」って言うので、そうなるとそれが一つ、家族のかたちですね。ちょっと恥ずかしいです(笑)。あと、これは家族の習慣ではなく、僕独自のルールになってしまうのですが、寝る前にいつも手を合わせてご先祖様に「(今日も)ありがとうございました」と心の中で言っています。
ーー素敵な習慣ですね。本作では、結婚に関して特に複雑に絡み合っている印象がありますが、瀬戸さん自身は、結婚において何が最も大切だと考えていますか?決め手は何だったのでしょうか?
「うちの場合は」という言い方しかできないのですが、たとえばいろいろな洋服を並べられたときに選ぶものが一緒など、好きなものが似ていて感覚的に同じ部分がたくさんあります。だから、必然的に運命も感じますよね。それが決め手でしょうか。そして、結婚生活を続ける上で大切なのは、僕は“尊敬”です。
■「僕ら夫婦の感覚が似ているので、違う方向に行くことがない」
ーー「尊敬」ですか。では、“家族”として生活する上ではどうですか?家族は一番近い存在だからこそ、時に複雑になる部分もあるのかなと思うのですが…。
うちはシンプルですね。それは多分、僕ら夫婦の感覚が似ているので、違う方向に行くことがあまりないからかもしれません。揉めることがほぼないので、シンプルなんですよね。
ーー瀬戸さん自身が家族以外でも人と揉めることがあまりないタイプなのでしょうか?
揉めるような友達はいないですね。基本的に僕は僕がいたい人といる、ただそれだけなので、全部シンプルなんです。
ーー人間関係全般において、すごく良好なんですね。お話を聞いていると、まるで人生の「師匠」と言いたくなるような、人生に迷いがない印象を受けます。
ありがとうございます(笑)。迷いはないですね。ただ僕が選ぶだけなので。
取材・文=戸塚安友奈
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