人生に迷ったとき、元気がほしいとき、あるいはただ日常を忘れて泣きたくなるとき――そのような瞬間にそっと寄り添う存在がアニメである。アニメには人生のヒントや生きる力が詰まっている。
本コラム『アニメ大先生』は、「人生で大切なことはすべてアニメが教えてくれる」をテーマに、アニメを通じて得られる学びや気づきを綴る連載である。

連載第16回は、お馴染みの八木美佐子アナウンサーを迎え、年末にふさわしい内容でお届けします。
2025年を締めくくる作品は、今年のアニメ界を象徴するビッグタイトル『機動戦士Gundam GQuuuuuuX（ジークアクス）』。本コラム最多出演（通算12回目）を誇る八木アナが、今年のアニメを象徴する漢字一文字と共に、本作の魅力を熱く語ります。

◆『GQuuuuuuX』で2025年アニメ総決算！今年のアニメ漢字は『続』

気づけば、あっという間に年末です。このコラムを書いている時点では、大掃除へのやる気の兆しがまったくありません。重曹を通販のカートに入れ、「このワンクリックが部屋をきれいにする第一歩だ」と言い聞かせながらも、いまだに指が止まってたまます。足元には、畳んだ洗濯物をためらいなく崩していく犬がいます。畳んでも畳んでも、不意打ちのサメのように襲来する様はB級映画さながら。この光景は嫌いではありませんが、部屋は荒れた大海原です。

さて、今年は「アニメ大先生」としての連載がスタートし、アニメも文章を書くことも好きな私にとって、夢のような一年となりました。読者のみなさん、本当にありがとうございます。
ここで改めて、2025年を振り返らせてください。2025年の世相を表す「今年の漢字」は「熊」でした。では、2025年のアニメシーンを漢字一文字で表すなら？私は「続」を選びます。
節目を迎えた『僕のヒーローアカデミア』や『らんま1/2』など、長く愛されてきたシリーズの続きやリメイクが多く動いた一年だった印象です。

【関連写真】八木さんが書いた「続」と写真をチェック！

その「続」を象徴する一本として、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』を挙げさせてください。「待て。前回のコラムに続き、またガンダムか！ 弾幕薄いぞ！ 何やってんの！」とブライトさんに怒られそうですが、お茶でも飲みながら、広い心で聞いてください。
今年1月の劇場先行版『Beginning』から始まった、あの天地がひっくり返るような衝撃を思い出してほしいのです。

今作はスタジオカラーの参加により、モビルスーツの挙動に生物的なしなやかさと、目を離せない異物感が加わりました。ティザー映像で主人公アマテ・ユズリハが駆るジークアクスが躍動した瞬間、「新しい時代のガンダムが始まる」と確信しました。これが新時代か……！

ところが、劇場で何より驚いたのは、主人公側の快進撃でもなく、「エヴァみ」でもなく、冒頭から差し込まれた「宇宙世紀」でした。シャア・アズナブルとシャリア・ブルの登場です。スクリーンに映し出されたのは、『機動戦士ガンダム』でジオンが勝利した”究極のif”の世界。あまりにも衝撃的でした。この驚きの鮮度をピチピチに保てたのは、ネタバレを自主規制していたガンダムを愛する玄人たちのおかげです。紳士、淑女のみなさま、ありがとうございました。

さらに、令和に突如として脚光を浴びることになったシャリア・ブル。イケおじの概念に強固な思想を持つ私としても、太鼓判を押せる圧倒的なイケてるおじさんです。年長の人格者ニュータイプとしての包容力に、新旧ファンがそろって膝を打った――あれも2025年の忘れがたい光景でした。何より公式でガンダムが赤にされるなんて、誰が想像したでしょうか。

痛快な「掟破り」の連続に沸き、時に混乱しながら放送を追いかけた全12話。１話ごとにSNSで反響が起こり、次の１週間で考察が熟成していく。このサイクルはまるでヤマザキ春のパン祭りならぬ「春のガンダム祭り」でした。

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』は、毎週の考察で視聴者を巻き込む、令和ならではのライブ感に溢れた作品です。来年はどんな「続」に出会えるのか、今から楽しみでなりません。

まだまだ「坊やだからさ」と笑われてしまうような青い文章ですが、来年も『アニメ大先生』コラムと八木美佐子をどうぞよろしくお願いします！
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