【漫画】本編を読む
妻にスイーツを買って帰る、気遣いのできるエリート夫・薬師寺シュウ。一方で、無職かつギャンブル好きという肩書きを持つ毒山ゴン。どちらの家庭が崩壊するかと聞かれれば、多くの人は迷わず毒山家を思い浮かべるだろう。しかし、横山了一さんの漫画「どちらかの家庭が崩壊する漫画」は、その予想を心地よく裏切ってくる。
■「良い夫」に見える人ほど気づきにくい違和感
物語が進むにつれ浮かび上がるのは、シュウの“世間体の良さ”の裏に隠された冷たさだ。夜泣きで疲弊する妻の隣で平然と眠り続け、自分で動けば済むことすら妻任せにする日常。一方のゴンは収入こそ不安定だが、子どものトラブルには真っ先に動き、妻と同じ目線で家庭に向き合っている。読者の多くが「どちらが家族に寄り添っているかは明白」と感じるのも無理はない。
シュウの言動は一つひとつを見ると些細だが、積み重なることで確実に妻の心を削っていくタイプの厄介さを持っている。決定打がないからこそ周囲からは見えにくく、本人も無自覚なまま“良い夫”を演じ続けてしまう。そのリアルさが、読者の怒りや共感を一気に引き寄せた。
■義母キャラはSNSの体験談がヒントに
さらに強烈なのがシュウの母の存在だ。物腰は柔らかいが、善意を盾に踏み込んでくるタイプの義母像は、SNSに溢れる実体験をもとに作られたという。横山さんは、悪意をむき出しにする義母ではなく、「良かれと思って」行動することで嫁を追い詰める人物像を意識したと語っている。この設定には、同じく漫画家で妻の加藤マユミさんの助言も大きく影響しているそうだ。
■読者の鬱憤を受け止める“壊れる家庭”という装置
本作が支持される理由は、単なる悪者探しでは終わらない点にある。育児や家庭の中で溜まりがちな違和感や怒りを、フィクションとして一度すくい上げ、読者に「これはおかしい」と言語化させてくれるからだ。シュウや義母に強いヘイトが集まる一方で、「わかりすぎてつらい」「自分の話かと思った」という声が後を絶たないのも、その証拠だろう。
無職かエリートかではなく、家庭を壊すのは“寄り添う気持ちを持たないこと”。そう静かに突きつけてくるこの作品の行き着く先を、ぜひ見届けてほしい。
取材協力:横山了一(@yokoyama_bancho)、加藤マユミ(@katomayumi)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
【関連記事】
・
【漫画】本編を読む
・
大晦日に崩壊したのは一体どちらの家庭?薬師寺家&毒山家、それぞれの戦いをあなたは目撃したか?「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」【作者に聞いた】
・
タワマン最上階のセレブ義母VS古くて貧乏な実家!?衝撃の貧富の比較漫画に爆笑必至!【作者に聞く】
・
【義母のいびりにモラハラ夫】極限のストレスの中、近所の爽やかな旦那さんに安らぎを求めてしまい…