12月30日(火) 22:00
公営住宅とは、国や自治体が低所得世帯向けに提供する賃貸住宅です。最大の特徴は、家賃が市場価格ではなく「世帯の支払い能力」を基準に決められる点にあります。
一般の賃貸住宅では、立地や築年数などで家賃が決まりますが、公営住宅では世帯収入が低いほど家賃も低くなる仕組みです。そのため、同じ地域にある民間賃貸と比べて、家賃が大幅に抑えられるケースも珍しくありません。
住居費は、家計支出のなかでも特に固定化しやすい支出です。家賃を下げることができれば、教育費や生活費に充てられる余力が生まれ、家計の安定につながります。
公営住宅の入居条件でまず確認すべきなのが収入基準です。ここで注意したいのは、判断基準が単純な年収ではないという点です。
公営住宅では、世帯全員の収入を合算し、そこから各種控除を差し引いた「政令月収」が用いられます。
年収300万円の場合、単純に月収換算すると約25万円ですが、扶養控除や給与所得控除に加え、扶養親族に応じた控除額などを反映した結果、実際に算定される政令月収はそれより低い水準になるのが一般的です。そのため、年収300万円程度で子ども2人の世帯であれば、自治体が定める収入基準内に該当する可能性は十分に考えられます。
また、子育て世帯は配慮対象とされることが多く、自治体によっては入居資格や収入基準が通常よりも緩やかに設定されることもあります。最終的な判断は自治体ごとに異なるため、必ず募集要項や案内冊子で最新の基準を確認することが重要です。
収入基準を満たしていても、それだけで入居できるとはかぎりません。公営住宅では、「住宅に困窮しているかどうか」も重要な判断材料になります。
例えば、「子どもの人数に対して住居が著しく狭い」「家賃負担が収入に対して過度に重い」「安全面や衛生面で問題がある」といった状況は、住宅困窮として評価されやすくなります。
したがって、単に家賃を安くしたいという理由だけではなく、現在の住環境が家計や生活にどのような影響を与えているのかを整理しておくことが大切です。
公営住宅の申し込みでは、世帯全員の収入証明や資産状況の確認が行われます。給与収入だけでなく、各種手当や年金なども含めて申告対象となる点に注意が必要です。
また、自ら居住できる住宅を持っている場合や、住宅を取得できるほどの資産(多額の預貯金や不動産)を保有している場合には、収入基準を満たしていても入居が認められないことがあります。
さらに、過去の家賃滞納や税金の未納があると、審査に不利になる可能性もあります。申し込み前に自身の収入や資産、支出を整理し、家計全体を見直しておくことが結果的に入居への近道となります。
公営住宅は低所得世帯を主な対象とした制度であり、特に子育て世帯にとって家賃負担を軽減できる現実的な選択肢となる場合があります。ただし、入居には収入基準や住宅困窮の判断といった明確なルールがあり、単純な年収だけで判断することはできません。
世帯収入の仕組みや家賃の決まり方を正しく理解し、自治体の募集情報を丁寧に確認することで、無理のない家計設計につなげることができます。住居費を見直すことは、将来の教育費や生活の安定にも直結します。住居費の負担が重いと感じたら、公営住宅という制度を正しく知ったうえで、賢く活用することを検討してみましょう。
厚生労働省(国土交通省住宅局住宅総合整備課) 公営住宅制度について
国土交通省 公営住宅制度の概要について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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