先日70歳を迎えたのですが、私は「低所得者」に分類されます。高額療養費制度の対象となるのですが、何か手続きが必要なのでしょうか?

先日70歳を迎えたのですが、私は「低所得者」に分類されます。高額療養費制度の対象となるのですが、何か手続きが必要なのでしょうか?

12月30日(火) 21:00

70歳になると健康保険の自己負担割合と高額療養費の区分が変更となります。今回は、70歳からの健康保険制度について解説します。

自己負担割合が変更となる

1. 自己負担割合が3割から2割または3割となる
高齢者医療制度では、70歳を境として、自己負担割合が図表1のとおり、原則2割(現役並み所得者は3割)負担に変更となります。
 
(図表1)

 
2. 現役並み所得者の判定方法
現役並み所得者は、図表2のとおり判定されます。
(1)世帯に課税所得が145万円以上の70歳以上75歳未満の被保険者がいるか
(2)同じ世帯の70歳以上75歳未満の被保険者の「基礎控除後の総所得金額等」が210万円以下であるか
(3)同じ世帯の70歳以上75歳未満の被保険者1人の場合は世帯収入が383万円以下、2人以上の世帯の場合は世帯収入が520万円以下であるか
 
(図表2)

 
なお、(3)の場合は、原則として申請して認められると2割負担となりますが、「資格確認書」に2割負担と記載されている場合は、申請は不要です。
 

高額療養費の所得区分と自己負担限度額が変更となる

70歳以上になると、高額療養費が図表3のとおり変更となります(※1)。
 
(図表3)

 
1. 所得区分が細分化される
高額療養費の所得区分が、現役並み所得者がI・II・IIIの3区分となり、一般所得者とは別に、低所得者I・IIに細分化されます。
 
現役並み所得者の区分は、図表3のとおり年収により判定されます。年収が約1160万円を超える場合は区分III、年収が約770万円を超え約1160万円以下の場合は区分II、年収が約370万円を超え約770万円以下の場合は区分Iとなります。
 
自己負担割合で2割負担とされた世帯のうち、世帯全員が住民税非課税である場合は、低所得者の区分となります。そのうち、年収が80万円を超える場合は低所得者II、年収が80万円以下の場合は低所得者Iに区分されます。
 
2. 自己負担限度額は外来と入院及び通院に区分される
自己負担限度額は、図表3のとおり外来(個人ごと)と外来及び入院(世帯ごと)に適用されます。また、高額療養費が適用された月が3ヶ月以上になった場合は、4ヶ月目から多数回該当の額となります。
 
なお、所得区分が一般の場合、通院の年間上限額は14万4000円に設定されています。
 

所得区分や自己負担割合の確認方法

70歳になると自己負担割合が変わりますが、70歳の誕生日までに、市区町村などの保険者から「資格確認書」が届きますので、自己負担割合を確認することができます。
また、マイナ保険証を利用することで、所得区分に応じた自己負担割合と高額療養費が適用されます。
 
もし入院する前に高額療養費の自己負担限度額を知りたければ、市区町村などに「限度額適用認定証」を請求することで確認することができます。
 
なお、スマートフォンなどからマイナポータルにアクセスして、健康保険証メニューに進むと、所得区分、保険証番号、自己負担割合、高額療養費の所得区分を確認することができます。
 

まとめ

70歳以上になると、医療費の自己負担割合が3割から原則2割に下がります。また、高額療養費も所得区分が細分化されるとともに自己負担限度額も変わります。これらの適用を受けるために、特別な手続きを踏む必要はありません(3割判定後に収入による再判定で2割への変更を希望する場合などは除く)。
70歳になるまでに届く「資格確認書」に自己負担割合は記載されていますし、マイナ保険証を利用することで、所得区分に応じた自己負担割合と高額療養費が適用されます。
 
もし、通知された自己負担割合に疑問がある場合や、高額療養費の所得区分が知りたい場合は、市区町村などの保険者に確認するとよいでしょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について
(※2)渋谷区 70歳~74歳の人の医療費の負担割合の判定フローチャート(渋谷区国保)
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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