ルーキー・荒木優奈がツアー初優勝を飾った(撮影:上山敬太)
12月31日(水) 12:32
白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■ゴルフ5レディス(9月5~7日、千葉県・ゴルフ5カントリー オークビレッヂ、優勝:荒木優奈)
台風の影響で36ホールに短縮された大会で、荒木優奈は初日「64」、最終日「68」。トータル12アンダーでツアー初優勝を飾った。ルーキーとしては今季2人目の優勝者となった。
初日首位発進は今季5度目。ただ、荒木の中には拭えない不安があった。「初日がトップだと、2日目に悪いことが多い」。実際、これまで何度も失速を経験してきた。だが今回は「きょうで終わる大会。攻め切らないとダメだと思っていた」と、気持ちを切り替えてスタートに立った。
最終日は2番でボギーが先行。流れが悪くなりかけたが、今週初めてタッグを組んだ佐藤大輔キャディの言葉が背中を押した。「プロテストに合格しているんだから、ボギー打っても大丈夫。未来があるんだから楽しくやろう」。その一言で気持ちを立て直し、5番から3連続バーディ。攻める姿勢を取り戻した。
後半に入ると、順位が目まぐるしく入れ替わった。12番、13番で連続バーディを奪い単独首位へ。14番で初めて自分がトップに立っていることを知り、「『うわっ、ガチか』って。残りは難しいホールが続くので気合を入れ直しました」。
その後が、この試合のハイライトだった。14番、15番で迎えた1メートル前後のパーパット。入れごろ外しごろの距離を、迷いなく沈めた。2日目に崩れてきた過去の自分とは違い、荒木は最後まで粘り切った。
表彰式では涙を見せなかったが、普段バッグを預ける佐藤亜衣里キャディに声をかけられた瞬間、「ちょちょぎれるぐらいうれしかった」と大粒の涙を流した。1年前、プロテスト不合格という挫折を味わい、2度目の挑戦でプロになった。その時間が、この優勝につながっていた。
「ルーキーで1勝できたので、来年は年間女王を目標にやりたい」。“2日目の悪さ”を越えた36ホールは、20歳にとって、プロとして歩み出した確かな1シーンだった。
