井筒和幸、黒沢清、高橋伴明ら名匠の個性が光る貴重なオムニバス映画「危ない話」「江戸むらさき特急」を特集放送

「危ない話」/(C)1989 SME Visual Works Inc.

井筒和幸、黒沢清、高橋伴明ら名匠の個性が光る貴重なオムニバス映画「危ない話」「江戸むらさき特急」を特集放送

12月30日(火) 18:00

「危ない話」
【写真】井筒和幸監督のオムニバス映画に出演する、若かりし頃の竹中直人

世の中に数多く存在する日本の名作映画。CS放送「衛星劇場」では、「令和によみがえる。懐かしのちょいレア劇場」と題し、これまで配信や放送もされず、しばらく見る機会が少なかった希少な映画を特集放送する。本記事では、2026年1月に放送される「危ない話」(1989年公開)と「江戸むらさき特急」(1995年公開)の2作品を見どころとともに紹介していく。

■名匠3人による“日常に潜む危うさ”がテーマのオムニバス映画「危ない話」

1月2日(金)朝8時30分と1月20日(火)夜6時15分より、井筒和幸、黒沢清、高橋伴明の3人の名監督が“日常に潜む危うさ”をテーマに撮り下ろしたオムニバス・ファンタスティック映画「危ない話」を放送。

オムニバス1本目は、映画「パッチギ!」でブルーリボン最優秀作品賞など多数の映画賞を総なめにしたことで知られる井筒監督が手掛けた「ツタンカーメン王の呪い」。女性に振られた酔っ払いのサラリーマン・吉田茂(竹中直人)が、ふらっと入ったパブで極道集団の抗争に巻き込まれてしまう…というストーリーをシチュエーションコメディ調に描いている。竹中のアナーキーな魅力が全面的に組み込まれており、スリリングな“巻き込まれ型”の恐怖を味わえる一本だ。

2本目は、カンヌ国際映画祭やヴェネツィア国際映画祭などで数々の賞を受賞してきた黒沢監督の「奴らは今夜もやってきた」。ある日、推理作家の園田(石橋蓮司)は田舎の小屋で執筆中に、奇妙なクラシック音楽を耳にする。出所を探っていると、突然股旅姿の大道芸人2人組が現れ襲い掛かってきた。その夜から園田は音楽に付きまとわれ、次第に恐怖の世界へと迷い込んでいく――。

平穏な日常が“異質な何か”によって侵食されていく様子は、黒沢監督のホラー傑作「CURE」や「散歩する侵略者」に通じるものがある。また、アメリカン・ホラーの影響を色濃く受けた黒沢監督らしいサスペンス描写の数々にも注目したい。

そして3本目は、「BOX 袴田事件 命とは」や「桐島です」などで知られる高橋監督の短編「あの日にかえりたい」。物語は、銀行強盗事件を起こした風間(永島敏行)と恋人の千秋(飛田ゆき乃)を中心に描かれる。銀行から6000万円を強奪した2人は、捜査の手から逃れるために別行動をとることに。その後しばらくして、風間は整形した千秋と再会。再び一緒に生活を送り始めたものの、彼女は顔だけでなく性格までも変わってしまっており、2人の関係は次第に崩れていく――。

犯罪者カップルの“純愛”を軸に置きつつ、歪で数奇な運命をたどる2人の関係性を描いた本作。ふとしたことで徐々に壊れてしまう“愛の脆さ”がリアルに描かれている点は、本作の見どころの一つと言えるだろう。

“日常に潜む危うさ”という同じテーマであるにもかかわらず、三者三様の物語を楽しめる「危ない話」。「世にも奇妙な物語」(フジテレビ系)の先駆けのような、どこか不気味さが漂う3つのエピソードからは、各監督の個性が存分ににじみ出ている。
「危ない話」


■豪華キャスト陣が集結、時代劇をパロディ化したオムニバス・コメディ映画「江戸むらさき特急」

衛星劇場では、1月7日(水)深夜1時45分と1月15日(木)深夜1時45分から、時空を超えた“スーパー・ナンセンス・エンターテイメント”時代劇「江戸むらさき特急」も放送する。ほりのぶゆきによる「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の同名パロディ4コマ漫画を、東映京都撮影所が全面協力して映像化された本作。隠密同心の“心得の状”に束縛される十文字隼人(風間杜夫)の苦労と、隠密同心に死なれたら…という姿を描いた「隠密同心の巻」など、全13エピソードで構成された艶笑ムービーとなっている。

「隠密同心の巻」では、勢いよく乗り込んだはずの十文字が「ちょ…ちょっと待って」と怯み出したり、隠密同心の求人を出し面接をするも、個性的な応募者に戸惑ったりなど、クスッと笑えるような要素が満載。他にも、「大奥の巻」「がんばれ金さんの巻」「桃太郎の巻」「八代将軍吉宗の巻」「女ねずみ小僧の巻」「謎の絵師・写楽の巻」などさまざまなエピソードが収録されており、時代劇初心者でも十分楽しめる作品に仕上がっている。また、本作は時代劇のパロディであることから、大石内蔵助や徳川吉宗、遠山金四郎などの偉人が登場。

さらにキャスト陣には、映画「蒲田行進曲」などつかこうへい作品に多数出演し、その高い演技力で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞や菊田一夫演劇賞大賞などを受賞した風間や、歌手としてデビューし、俳優や政治家としても活動してきた中条きよしらが名を連ねる。時代劇の荘厳な雰囲気の中で、豪華キャスト陣が繰り出すコミカルな動きとの“ギャップ”に、思わずクスッとさせられるだろう。

なお、「江戸むらさき特急」はDVD未発売、「危ない話」も現在DVD廃盤となっており、両作ともに各動画配信サービスでも配信されていない。最近はあまり見かけなくなったオムニバス映画を改めて振り返ることで、当時の映画界における挑戦的な作風や、作り手たちの自由な発想を実感できるかもしれない。
「江戸むらさき特急」




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