平屋と2階建て、どちらを建てたほうがお得なのでしょうか?後悔しないためにも、YouTubeでプロならではの視点で住宅の情報を発信する平松建築の平松明展さんに、平屋と2階建てのメリットとデメリットをそれぞれ解説してもらいました。
平屋は資産価値が落ちにくい!?
まずは平屋のメリットから。
「間取りにもよりますが、平屋はシンプルな生活動線を作ることができる。老後も安心して暮らすことができますし、階段部分をほかのスペースに活用できるのもいいですね。2階建てよりも地震に強くて壊れにくいのも平屋の大きな強みです。私は熊本地震や能登半島地震の被災地を視察しましたが、平屋で潰れている家は少なかったです」
さらに平屋には、資産価値が落ちにくいといううれしいメリットも。
「戸建ての場合、平屋で庭の広い物件というのは根強い人気があります。たとえば、同じ地域で平屋と2階建ての見学会を開催すると、平屋のほうに2倍ほど人が集まることも珍しくありません。ニーズが高いので、将来的に高く売れる可能性がありますし、メンテナンスコストも優れているので、住み続けるにしても維持費が比較的かからないと思います」
2階建てはコストパフォーマンスが高い
では、2階建てにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
「平屋と比べて、2階建ては新築時のコストパフォーマンスがいい。坪数や外壁のサイズ、屋根の形が同じ平屋と2階建てを建てようとした場合、2階建てのほうが安くなります。なぜかというと、2階建ては屋根面積や基礎面積が小さくなりますし、外壁面積も少なくできるから。平屋と2階建てを一般的な30~35坪の住宅で比較すると、200万~300万円程度の差が出ることが多いです。2階建ては敷地面積が少なくて住むので、土地を有効活用できるのも利点ですね」
2階があることでさまざまなメリットも考えられると言います。
「2階部分は防犯性が高くてプライベートな空間を確保しやしですし、眺望や採光の面でも平屋より有利です。屋根が高くなれば、周囲の建物の影の影響を受けにくくなるので、太陽光発電も行いやすくなります」
平屋と2階建てのデメリットは?
それぞれメリットがある一方で、デメリットも存在します。
「平屋は土地や建設コストが高くなりがちです。プライバシーと防犯性が下がる傾向にありますし、外壁面積が多くなる分、光熱費が高くなる可能性も考えられる。太陽光発電でカバーしようにも、周囲に高い建物があると太陽光発電の効率が落ちてしまうかもしれません。また、災害面のリスクでいうと、水害に弱いのも平屋のデメリットと言えるでしょう」
一方、2階建てにはどのようなデメリットが考えられるのでしょうか。
「階段を昇り降りするのは、老後が大変かもしれません。将来的に2階を使わなくなると無駄になってしまいますし、場合によってはバリアフリー対策も必要になってくると思います。あと、災害時、建物が倒壊する確率は平屋よりも2階建てのほうが高くなります。構造計算をしっかり行ったうえで、『耐震等級3』を取得するなど、耐震性能に優れた家を建てるようにしてください」
将来のライフスタイルを見据えて選ぶ
メリット・デメリットがあると、どちらを建てるといいか迷ってしまうかもしれません。平屋と2階建てはどういった人におすすめなのかも教えてもらいました。
「十分な土地面積を有効活用したい方や老後も住み続けようと考えている方、メンテナンスコストを抑えたいと考えている方は、平屋が向いています。一方で2階建は、都会に住んでいて購入できる土地がせまい方、土地と建築コストを抑えたい方、階段の昇り降りが苦にならない若い方が向いていると言えるでしょう」
費用で比較する際は、長期的な視点で考えるのが重要と指摘します。
「土地や建設費だけで比較しがちですが、本来は光熱費やメンテナンス費用、固定資産税なども考慮して、平屋と2階建てのどちらを建てるか考えたほうが安心です。そこまで考えるのはたいへんかもしれませんが、後悔しない家づくりを実現するためも、長期的な広い視点で判断するようにしましょう」
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