12月30日(火) 5:30
親世代から「お金はあるから大丈夫」と言われると、心配しつつも踏み込んで聞きづらいものです。ですが、年金だけでどの程度の生活が成り立つかを知っておかないと、いざというときに親が医療費や介護費用で困る可能性があります。
まずは公的年金の受給額を厚生労働省の最新資料で確認しましょう。令和7年度(2025年度)の年金額改定についての資料では、老齢基礎年金の満額は月6万9308円です。一方、老齢厚生年金額は、加入期間に加えて、平均収入などによって大きく変わります。
・国民年金(第1号被保険者)期間中心(20年以上)の女性のケース
平均厚生年金期間:6.5年
平均収入:25.1万円
基礎年金:5万2151円
厚生年金:8485円
・厚生年金期間中心(20年以上)の女性のケース
平均厚生年金期間:33.4年
平均収入:35.6万円
基礎年金:7万566円
厚生年金:6万1551円
また、厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、基礎年金月額を含む厚生年金の平均年金月額は15万289円、女性では11万1413円です。
大まかな年金額を知り、自分の親がそれより多いのか少ないのか、生活費や医療・介護の備えも含めて考えることが、子世代にとっての大切なリスク管理になるでしょう。
では、70代の生活費はどのくらいかかるのでしょうか。総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、高齢単身無職世帯の平均的な消費支出は、月約15万円とされています。
その内訳として、食費は約4万2000円、水道・光熱費は約1万4000円、住居費は約1万3000円などです。仮に受給している年金が国民年金のみだと、満額でもこれらの費用でほぼ使い切ってしまいます。
70代の親が「お金はある」と話す背景には、年金に加え、預貯金や退職金、不動産などの資産がある可能性も考えられます。一方で、医療費や介護費用が今後増えることを踏まえると、子世代として「平均年金額+アルファ」でどの程度の余裕があるのかを把握しておくと安心です。
通帳を見せない背景には、プライバシーへの配慮や「甘えられたくない」といった気持ちがあるのかもしれません。そのため、家族としては心配していることを穏やかに伝えるアプローチが大切です。まずは年金の受給額を共有しましょう。
次に、「最近、医療費が増えそうだから、一緒に家計を見直さない?」といった具体的な理由を添えて話し合い、通帳の確認を促します。もし母親の判断能力に不安がある場合は、成年後見制度の利用も検討しましょう。
親のお金の話はデリケートですが、「何かあってから」では遅くなりがちです。いきなり通帳や具体的な金額を聞くのではなく、「平均の年金額はこれくらいらしいよ」といった公的データをきっかけに、将来の医療や介護、相続の希望などを一緒に整理していくと、話題にしやすくなるでしょう。
また、日本年金機構の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用すれば、自分や親の公的年金見込み額を確認できるため、数字に基づいた具体的な対策を検討しやすくなります。
親の「大丈夫」を鵜呑みにせず、家族で前向きに話し合いを重ねていくことが、将来の不安を小さくしていく一歩になるはずです。
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から1.9%の引上げです~(1~2ページ)
厚生労働省年金局 令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 (参考資料3)厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数(26ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
最高クラスの「年金」は月額いくらもらえるの?受給額を増やすポイントとは