12月30日(火) 4:40
退職金は勤め先や勤続年数などによって異なりますが、定年退職した場合の退職金支給額は、中小企業では約1150万円(大学卒・モデル退職金)、大企業では平均約1880万円とされています。つまり、今回の退職金1800万円は大企業の退職金に匹敵する水準といえます。
また、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)二人以上世帯」によれば、60代以上の2人以上世帯が保有する金融資産の平均は2516万円、中央値は1173万円です。
公益財団法人生命保険文化センター「2025(令和7)年度生活保障に関する調査≪速報版≫」によると、夫婦2人の老後の生活費は、最低限必要な額が平均で月約24万円、ゆとりある生活には月約39万円とされています。
一方、厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、年金の平均受給月額は、国民年金が約5万9000円、厚生年金が約15万1000円です。
会社員と専業主婦(主夫)という世帯では、平均的な受給額では年金の合計は月約21万円となり、最低限の生活費にも月3万円ほど足りません。しかし、老後資金として1500万円を蓄えていれば、これを取り崩すことで、単純計算で約41年は生活できる計算になります。
夫婦で日本一周する場合、車中泊を中心とした旅なら、半年程度で100万円~200万円が目安です。一方、車中泊以外では宿泊費の負担が大きく、民泊などの格安施設を利用して1日1万円程度に抑えたとしても、宿泊費だけで半年に200万円近くかかります。
退職直後のイベント資金を300万円以内に抑えられれば、突発的な医療費やリフォーム代に備える資金を残せるでしょう。夫婦旅行の費用を差し引いたうえで、残り1500万円で老後をカバーできるかについて、次に検証します。
1500万円を残した場合、年金月21万円に取り崩し月約3万円を加えることで、41年間の生活が可能となる計算です。ただし、インフレや医療費・介護費の増加などにより、不足リスクが生じる可能性があります。
シミュレーション上では、1800万円から旅費として300万円を差し引いた1500万円があれば、生活費の不足分を長期間補えます。しかし、突発的な出費やゆとりある生活を考慮すると、NISAや個人向け国債などを活用し、運用によって資産を増やすことも検討しましょう。
ローリスク・ローリターンの堅実な投資を行えば、老後資金を安全に増やすことができる可能性があります。
退職金1800万円のうち、夫婦旅行に300万円を使っても、1500万円を老後資金として残せば、平均的な年金額と併せて長期の生活は十分に見込める可能性があります。
ただし、インフレや医療費・介護費などの不確実な支出に備える視点は欠かせません。旅行を楽しみつつ安心感を保つには、資金を目的別に分け、NISAや個人向け国債などで堅実に運用することが現実的でしょう。
思い出づくりと老後の安定を両立させるためにも、無理のない範囲で計画的に使うことが大切です。
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2024年 二人以上世帯 各種分類別データ 3 金融資産保有額(金融資産保有世帯)
公益財団法人生命保険文化センター 2025(令和7)年度生活保障に関する調査≪速報版≫ 第III章 老後保障 2.老後生活に対する意識 (2)老後の最低日常生活費(53ページ)、(5)ゆとりある老後生活費(56ページ)
厚生労働省年金局 令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II. 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)、III. 国民年金 (2)給付状況 表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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