12月30日(火) 4:20
今回のケースでは、夫の年金は月16万円、妻のパート収入は月5万円で、世帯収入は月21万円です。この水準を65歳以降も維持するには、妻が年金でパート収入と同程度以上を得られるかどうかが鍵となるでしょう。
日本年金機構によると、令和7年度の老齢基礎年金の満額は月6万9308円(昭和31年4月1日以前生まれの方は月6万9108円)です。夫の年金月16万円は男性の厚生年金の平均年金月額と同程度で、妻のパート分は老齢基礎年金を満額受給できればカバーできる計算です。
妻のパートが厚生年金保険加入の要件を満たしているなら将来の受給額が増えますが、これまで厚生年金保険に加入した実績がない場合は老齢基礎年金のみです。
日本年金機構によれば、夫婦合計で標準モデル世帯(平均的な収入で40年間就業した場合に受け取り始める老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金満額)は月約23万円ですが、加入年数や保険料納付済期間などによってはこれより少なくなります。ねんきん定期便などで正確な見込み額を確認しましょう。
夫婦の老後生活費の目安は、月25万円程度とされています。ただし、物価の高い都市部ではさらに費用がかかり、定期的な通院が必要な疾患がある場合などは、医療費が高額になるケースもあるでしょう。
年金収入が月21万円の夫婦では、毎月4万円の赤字が生じ、20年間で約1000万円が不足する計算になります。医療費の増加や物価上昇を考えると、生活費の負担は今後さらに重くなるでしょう。年金だけでの生活は厳しく、十分な貯蓄を確保するか、堅実な運用によって資産を増やす必要があります。
現在の生活水準を確実に維持するには、年金増額策、追加収入確保、支出最適化の3つが効果的です。まず、年金の繰下げ受給が検討できます。65歳から最大75歳まで、受給開始を1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額され、75歳受給なら最大84%増えることになります。
次に、65歳以降もパートを継続して収入を確保します。在職老齢年金の制度では、老齢厚生年金と給与の1ヶ月の合計が支給停止調整額を超えなければ、パート収入を得ていても、年金は満額受給が可能です。
3つ目は、固定費の見直しです。生活費や保険料を見直すことで、月に数万円程度の支出を減らせるかもしれません。あわせて、NISAで月1万円を積み立て、年利3%で運用すれば、20年で330万円近い老後資金を形成できる可能性があります。
これらを組み合わせれば、赤字を回避し、ゆとりある生活を実現する助けとなるでしょう。
年金月16万円+パート収入月5万円という現在の生活水準は、65歳以降も工夫次第で維持可能だといえます。
ただし、年金だけでは老後生活費の目安である月25万円に届かず、何もしなければ赤字が生じるかもしれません。年金の繰下げ受給で受給額を増やし、無理のない範囲でパート勤務を継続しつつ、固定費の見直しや少額からの資産運用を組み合わせることが現実的な対策です。
ねんきん定期便などで受給額を確認し、早めに準備を進めることが、安心できる老後につながるでしょう。
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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