12月30日(火) 5:00
70代の友人が「稼いだら年金を減らされた」とおっしゃるのは、在職老齢年金制度によるものと考えられます。
この制度は、厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受け取る場合に適用され、日本年金機構によると、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されます。
令和6年4月から令和7年3月までは50万円が支給停止の基準でしたが、令和7年4月以降は51万円に引き上げられました。老齢基礎年金は給与などにかかわらず全額支給されるため、影響は老齢厚生年金部分のみです。
なお、70歳以降も厚生年金適用事業所に勤める場合は、厚生年金保険の被保険者ではありませんが、在職による支給停止調整は継続します。
在職老齢年金の計算式はシンプルで、日本年金機構によると、「基本月額+総報酬月額相当額の合計額」が51万円(令和7年度の支給停止調整額)以下なら全額支給、それを超える場合は次の計算式で支給額が決められます。
・基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2
総報酬月額相当額は「(その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12」で算出され、賞与が多いと押し上げられます。
「年金+収入が50万円近い=現役時代にかなり稼いでいた」という見方には一定の根拠があります。前述の通り、在職老齢年金は老齢厚生年金の金額と現在の給与の合計額によって支給調整が行われる仕組みです。
まず、在職老齢年金が適用されるのは、老齢厚生年金を受け取りながら、厚生年金保険に加入して働いている人や、70歳以降も厚生年金保険の加入事業所で働いている人です。
その人の老齢厚生年金の月額と、現在の賞与を含む給与の1ヶ月の合計が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給調整の対象となります。
この老齢厚生年金の金額は、現役時代の報酬水準と厚生年金保険の加入期間などをもとに計算されているため、在職老齢年金による支給調整の結果には、現在の働き方だけでなく、過去の加入実績も間接的に影響します。
一方、自営業や業務委託など、厚生年金保険の適用事業所で働いていない場合は、この制度の対象外です。そのため、年金が在職老齢年金で減額されるかどうかは、現在の働き方に加え、老齢厚生年金の金額と現在の給与水準との組み合わせによって決まります。
定年後も仕事を続けたいが、給与が高くて年金の減額を避けたいという場合は、雇用形態や賞与を含めた収入の受け取り方を含め、在職老齢年金の計算の仕組みと支給停止調整額を踏まえて働き方を検討することが重要になります。
稼いだら年金が減らされたと聞くと、「現役時代にかなり稼いでいたからでは」と考えてしまいがちですが、在職老齢年金は、現役時代の報酬水準だけで一方的に決まる制度ではありません。
老齢厚生年金の金額(現役時代の報酬や加入期間などを反映)と、現在の給与を合算し、あらかじめ定められた計算式に基づいて、基準額を超えた分だけが調整される仕組みです。
制度の考え方を知っていれば、友人や知人の話に振り回されることなく、自分の年金と収入の関係を冷静に受け止められるでしょう。
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み(2ページ)
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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