12月30日(火) 2:30
退職金を老後資金としていくら残すべきか悩む夫婦は多いでしょう。まずは最新の生活費データを基に必要額を確認します。
総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯(夫婦のみ)の月平均消費支出は約25万7000円ですが、手取り収入(可処分所得)は約22万2000円で、月約3万4000円の赤字とされています。これを30年(65歳~95歳)で試算すると、約1224万円不足します。
医療費やインフレを加味すれば、老後のゆとりある生活には最低でも2000万円程度は必要でしょう。仮に、退職金2000万円を月10万円ずつ取り崩す場合、16年と8ヶ月ほどで尽きる計算です。
退職金2000万円は、大企業に勤めた場合の支給水準と考えられます。厚生労働省 中央労働委員会「令和5年退職金、年金及び定年制事情調査」によれば、大企業の平均退職金支給額は定年退職の場合で約1880万円です。
日本年金機構によると、2025年度における厚生年金の夫婦2人分の標準的な受給額(老齢基礎年金を含む)は、月額約23万3000円とされています。国民年金の満額は月6万9308円です。これに退職金2000万円を加え、月5万円ずつ取り崩して生活すれば、約33年間は資金が持つ計算になります。
ただし、年金以外に収入がない場合、「退職金は自由に使っていい」といった考えは、老後の生活に大きなリスクを伴うかもしれません。
退職金をすべて貯金して寝かせておくと、インフレの影響で資産の実質価値が目減りする可能性があります。一部を活用し、分散して運用するのがおすすめです。
まずは住宅ローンの繰り上げ返済を行い、利子の負担を減らして家計にゆとりを持たせる方法が挙げられます。また、旅行や趣味に予算を充てることで、精神的な豊かさを得ることも大切です。ただし、気づかないうちに使いすぎないよう、あらかじめ予算を決めておくと安心です。
残った退職金は、投資用資金として運用することも検討できます。NISAなどを活用し、株式や投資信託に分散投資することで、インフレ対策や資産の維持・増加が期待できます。
ここで重要なのは、ハイリスクな投資を避けることです。大きな利益を狙うのではなく、元本を守りながら堅実に少しずつ資産を増やす意識が大切です。個人向け国債など、低リスクの運用方法も併用するとよいでしょう。
退職金2000万円は大企業並みの水準ですが、年金だけでは毎月数万円の不足が生じる可能性があるのが現実です。全額を自由に使ってしまうのはリスクが高く、一定額は老後資金として確保しておく必要があります。一方で、すべてを使わずに眠らせる必要もありません。
生活の安心を確保したうえで、住宅ローン返済や娯楽への支出、低リスクの運用に分けて活用することが、後悔しにくい退職金の使い方といえるでしょう。
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
厚生労働省 中央労働委員会 令和5年賃金事情等総合調査 令和5年退職金、年金及び定年制事情調査 3 退職金額(1)平均退職金支給額(6ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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